令和8年度 国への予算要望を提出

自由民主党東京都支部連合会に要望書を提出。

要望書表紙
当会は、令和7(2025)年10月29日、令和8年度国家予算等に関し、東京建築設計関連事務所協会協議会(通称TARC)のメンバーである(一社)東京構造設計事務所協会、(一社)東京都設備設計事務所協会及び(一社)日本建築積算事務所協会関東支部の3団体並びに東京都建築士事務所政経研究会と共同して、自由民主党東京都支部連合会に対し次の5項目の要望書を提出しました。
以下に提出した要望書の概要を示します。
1 既存住宅状況調査の実施義務化と補助金制度の創設
売主・買主が安心して中古住宅を取引することができる市場環境の整備並びに既存住宅流通市場の活性化に向け、新築の引渡後一定期間(10年)を経過した既存住宅の媒介契約を締結する際に既存住宅状況調査の実施を義務付けると共に、既存住宅の売主に対し既存住宅状況調査の費用を補填するための補助金制度を創設して頂きますよう要望いたします。
平成30(2018)年4月の宅地建物取引業法の改正により、中古住宅の売買の際に行われる重要事項説明に、既存住宅状況調査の実施の有無及び実施している場合にはその結果について説明することが義務づけられました。売主・買主が安心して中古住宅を取引することができる市場環境の整備並びに既存住宅流通市場の活性化に向け、新築の引渡後一定期間(10年)を経過した既存住宅の媒介契約を締結する際に既存住宅状況調査の実施を義務付けると共に、既存住宅の売主に対し既存住宅状況調査の費用を補填するための補助金制度を創設して頂きますよう要望いたします。
この調査により、売主は中古住宅引渡し後のトラブルの可能性を減少させ、買主も安心して中古住宅を購入することができ、既存住宅流通市場の整備と活性化に繋がります。
しかしながら、国土交通省のアンケート調査によると、既存住宅状況調査の実施状況は 約32.4%に留まっており、「金銭的負担」と「調査実施による取引の遅れ」が大きな障害となっております。
他方、住宅の品質確保の促進等に関する法律及び特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律によりその履行を保証する仕組みが構築されているため、新築の引渡後10年を経過した既存住宅に限定して調査を義務化することが現実的です。
つきましては、標記のとおり要望いたします。
2 建築設備設計者不足解消のための効果的な施策の実施
現在、建築設計業界では建築設備設計者不足が大変深刻な状況で、これがネックとなり設計業務を受託することが困難な事態が多発しています。また、建築設備設計者は省エネ導入や再エネ促進、設備改修等において重要な役割を果たしていますが、これらの対応も不十分となることが危惧されます。つきましては、建築設備設計者不足を解消するため、建築設備士試験の受験資格について一級建築士同様に実務経験を除外する要件の緩和、受験料引下げ等の受験者負担の軽減等、効果的な施策を講じて頂きますよう要望いたします。
国は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、改正建築物省エネ法による建築物の省エネ基準適合義務化など積極的な政策を実施しています。現在、建築設計業界では建築設備設計者不足が大変深刻な状況で、これがネックとなり設計業務を受託することが困難な事態が多発しています。また、建築設備設計者は省エネ導入や再エネ促進、設備改修等において重要な役割を果たしていますが、これらの対応も不十分となることが危惧されます。つきましては、建築設備設計者不足を解消するため、建築設備士試験の受験資格について一級建築士同様に実務経験を除外する要件の緩和、受験料引下げ等の受験者負担の軽減等、効果的な施策を講じて頂きますよう要望いたします。
このような設備設計に対する需要の高まりも相俟って建築設計業界では建築設備設計者不足が深刻な状況となっています。また、将来の設備設計を担う技術者、後継者不足も懸念されています。
さらに、建築設備設計者が不足しているため、設計業務の依頼を辞退するなど、設計業務を受託することが困難な事態が多発しています。
東京・神奈川・千葉・埼玉の各建築士事務所協会が正会員を対象に建築設備設計者の不足の実態を調査したアンケートにおいて、(会社内部の)設備設計者が「足りていない」及び「全く足りていない」と回答した会員が約87%、設備設計を外部委託する際に困ったことが「よくある」及び「時々ある」と回答した会員が約82%を占めています。特に電気設備設計の設計者が最も不足しているとの結果が出ています。
つきましては、標記のとおり要望いたします。
3 改修設計に係る標準的な発注仕様書の策定と料率算定基準の設定
既存建築物の改修設計において、業務の標準的な発注仕様書の策定をご検討頂きたく要望いたします。
その上で、現地調査、基本計画・基本設計及び実施設計等の各設計業務の料率算定基準を設定して頂くよう要望いたします。
設計業務には大きく分けて新築設計と改修設計のふたつがあり、新築の設計料率については、令和6(2024)年1月9日発出の国土交通省告示第8号において詳細が定められているのに対し、改修設計についてはこの告示にあたるような基準が示されていないことから、適切な設計料率が設定されずに発注がなされている状況が散見されます。既存建築物の改修設計において、業務の標準的な発注仕様書の策定をご検討頂きたく要望いたします。
その上で、現地調査、基本計画・基本設計及び実施設計等の各設計業務の料率算定基準を設定して頂くよう要望いたします。
また、改修設計の発注仕様書の内容と受託業務の実態とが乖離している状況が見受けられます。たとえば、実施設計のみを受託した場合であっても、その前段階である現地調査や基本計画、基本設計の実施を求められる場合があります。
改修設計の発注仕様書の内容に不明確な部分があるために想定以上の業務負担が課される一方で、改修設計料率が未整備の現状も相俟って充分な報酬を受領できず、建築設計事務所の経営に大きな影響を与えています。
つきましては、標記のとおり要望いたします。
4 耐震改修工事における大規模の修繕・大規模の模様替えの適用除外の取り扱い
木造建築物の耐震改修工事における屋根ふき材下地合板の取替え及び同じ場所での階段の付け替えに関しては、現状復旧工事と同等の改修であり、当該改修後の建築物が構造耐力上安全であることを耐震診断等により確認していることを鑑み、建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替えに該当しない取り扱いとし、建築確認の対象から除外して頂きますよう要望いたします。
令和7(2025)年4月の建築基準法改正に伴い、木造建築物(階数2以上又は延べ面積200㎡超)における大規模の修繕及び大規模の模様替えに対して、確認申請が必要となりました。また、大規模の修繕及び大規模の模様替えに該当するかの判断については、令和6(2024)年2月8日付け国住指第355号並びに令和6(2024)年8月28日付け国住指第208号において、その具体的な取扱いが技術的助言として通知されています。木造建築物の耐震改修工事における屋根ふき材下地合板の取替え及び同じ場所での階段の付け替えに関しては、現状復旧工事と同等の改修であり、当該改修後の建築物が構造耐力上安全であることを耐震診断等により確認していることを鑑み、建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替えに該当しない取り扱いとし、建築確認の対象から除外して頂きますよう要望いたします。
木造建築物の耐震改修工事において、屋根ふき材を撤去した場合、そのほとんどの下地合板は雨水による腐食で老朽化しており、取り替えの必要性があります。また、耐震化工事と併せてバリアフリー化の改修工事を行いますが、旧耐震建築物の高齢者住宅では、緩やかな階段に改修して欲しいとの要望が多くあります。その場合、上記技術的助言の取り扱いによれば、大規模の修繕及び大規模の模様替えに該当し、確認申請が必要となります。これは消費者にとって過大な費用負担が増加して耐震改修工事を躊躇することになり、耐震化に向けた取り組みに歯止めがかかるのは明白です。
つきましては、標記のとおり要望いたします。
5 民泊事業届出における建築士関与の義務化と共通安全基準の策定
民泊制度における建築的安全性と健全な運用を確保するため、全国の自治体において民泊届出時に建築士の関与を義務化し、建築的観点から建築基準法に準じる共通安全基準を全国共通の様式として策定し、建築物の構造・避難・防火・衛生等の安全性を担保する制度を設けることを要望いたします。
訪日外国人観光客の急増や地域経済の活性化、空き家の有効活用といった社会的要請を背景に、平成30(2018)年に住宅宿泊事業法(新法民泊)が施行され、旅館業法による営業許可を要せず、届出のみで住宅を民泊施設として提供できる制度が整備されました。民泊制度における建築的安全性と健全な運用を確保するため、全国の自治体において民泊届出時に建築士の関与を義務化し、建築的観点から建築基準法に準じる共通安全基準を全国共通の様式として策定し、建築物の構造・避難・防火・衛生等の安全性を担保する制度を設けることを要望いたします。
そのため、既存住宅が建築士や行政による構造・防火などのチェックを受けないまま転用される例が少なからず見られます。また、自治体ごとに条例や運用ルールが統一されておらず、建築士の関与やチェックリストの運用に大きな差異があるため、安全性や社会的受容性の面で深刻な課題が生じています。
こうした課題を解決するには、建築法規と実務に精通し、国家資格として法的責任と倫理的責任を負う建築士の関与が不可欠です。
つきましては、標記のとおり要望いたします。
カテゴリー:東京都建築士事務所協会関連
タグ:予算要望








