
ふたつの都市には長い歴史の繋がりがあり、尾島町のねぷたまつりは今年で四〇周年を迎えた。
民家の間に通る道路の脇に屋台が並び、約一〇台の山車灯籠が練り歩く。迫力ある武者絵が描かれた灯籠や太鼓を勇敢に叩く奏者を乗せた山車が、薄暗くなってきた田舎町を照らす。
私は昔からお祭りが大好きで、一参加者として、けらけら笑って過ごすのが恒例の楽しみ方だが、お囃子を聴きながら頭に浮かんだのは、今年の頭に亡くなった大学院時代の恩師のことだった。五四歳だった。
私は当時、「目的が異なる人びとの、場の共有のあり方」について研究していたのだが、その対象に選んだのが都市空間を舞台にしたイベントだった。
先生は「祭りは、日常を過ごすために都市を歩く人と祭りを目的とした人が混在していて、おもしろい空間をつくり出しているよね」と強く興味を示してくれた。
踏査は、それはそれは楽しかったが、机に向かってまとめることが難しく、修士論文提出の締切一〇分前に、ゼミ室の隅で先生と一緒に仕上げた。
先生がいなかったら卒業できなかった。優しすぎる先生に甘えた、ろくでもない学生だったから、卒業後は罪悪感で先生に一度も会うことができなかった。
私は、例年よりだいぶ落ち着いて、ゆっくり灯籠の後ろを歩いた。

樺澤 みずき(かばさわ・みずき)
東京都建築士事務所協会千代田支部、日建設計、一級建築士
2018年 東京工業大学大学院卒業/2023年日建設計入社/プレゼンテーション部に配属され、現在に至る
2018年 東京工業大学大学院卒業/2023年日建設計入社/プレゼンテーション部に配属され、現在に至る
カテゴリー:歴史と文化 / 都市 / まちなみ / 保存
タグ:思い出のスケッチ








