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この原稿を書いているのは8月猛暑の真只中である。テレビでは怪談特集も多く組まれている。中でも面白いなと思った企画があった。「中の人は物語る」と題して特定の業界、趣味の世界でよく知られている不思議な現象、あるいはゾッとする怪談を集めたものだ。建築・設計業界でもこの手の不思議な現象や怪談は多くあるのではないだろうか?私は一時期、某チェーン店舗の改修設計担当であったので、全国の店舗を調べて廻った。意匠・設備・制作とチームを組んで店舗を廻るのである。営業中は調査できないため、営業後か、営業前に行う。今は営業時間が短縮傾向だが、このころは早朝5時から深夜25時までというのが多かった。現地調査にはいれるのは、大抵23時以降か、早朝4時前であった。
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今でも忘れられないのが、ある造成地に建っていた店舗のトイレである。深夜3時ごろである。異音が聴こえてくるのだ。でも他の人には聴こえない。改修工事の調査として来ているので、ある程度原因を突き止めなければならない。必死になって、出たり入ったりを繰り返したが、そのうち止まってしまった。何も特定できないまま、その店舗での調査を終えたのである。のちのち聞くと店舗のスタッフの間では有名な話であったそうだ。造成する前の土地に慰霊碑があり、その嘆きの声だという(信じるか、信じないかは貴方次第です)。★
もうひとつは、店舗の改修工事中の話。改修工事は深夜も工事を行う。1階が駐車場、2階が店舗というピロティタイプの店舗である。土地のオーナーがお寺であるため、店舗の隣地は寺院であった。3泊4日通しで工事が行われるのだが、現場スタッフ達が夜に何か声がしてくるとしきりにいう。「昨日も声がしてきたし、今夜も、」と恐れている。最終日は私も立ち会ったのだが、この日はとにかく忙しくそんな余裕はなかった。そして無事に改修工事は終わり、店はオープンしたのだった。竣工記録として写真を撮ったのだが、ここで事件が起こった。ほかの人が撮影した写真に写らないはずのものが写っていたのである。そしてこの店舗は、その後も業態変更を繰り返し、今は解体されてしまった。★
次に面白いのが、この店舗関連の怪談の舞台である。第1位:トイレ(女子トイレの方が多い)、第2位:従業員控室(更衣室も含む)、第3位:バックヤードである。なぜか客席というのはあまり舞台にならない。お話としては、いじめを苦にした女子高生の恨み・嘆きや、店長との人間関係に苦しんで、というのが多い。元の土地が、お寺、井戸というのも定番だ。現調写真に何かが写りこむというのもよくある。トイレや更衣室には鏡があるのでどうしても何かが写りこみやすいからであろう。オチとしては、自分の指だったりするのだが。また「音」といのも多い。誰もいないのに音がした、泣き声がしたというのである。それに、急に扉がしまった、開かなくなったという話もある。深夜にこういう体験があると、やはりドッキリしてしまい、多くの人の記憶に残るのだろうと思う。★
さて、このようなゾクゾクするような「中の人は物語る」話も、コア東京では募集しております。各支部編集員の方にどうぞお届けください。

小山 美季子(こやま・みきこ)
東京都建築士事務所協会理事・江東支部、(株)ノムラアークス東京一級建築士事務所
1961年 鳥取県生まれ/住宅メーカー、インテリアデザイン事務所勤務を経て、(株)ノムラプロダクツ入社/2022年 乃村工藝社グループ再編によりノムラプロダクツ、スクエア、TNP3社合併により(株)ノムラアークス東京一級建築士事務所在籍/江東支部
1961年 鳥取県生まれ/住宅メーカー、インテリアデザイン事務所勤務を経て、(株)ノムラプロダクツ入社/2022年 乃村工藝社グループ再編によりノムラプロダクツ、スクエア、TNP3社合併により(株)ノムラアークス東京一級建築士事務所在籍/江東支部








