木場の集合住宅見学会に参加して
江東支部|令和7(2025)年7月24日(木)@木場
藤井 達生(東京都建築士事務所協会江東支部副支部長、藤井建築設計事務所)
南東側外観。*1
東側夕景見上げ。*2
5〜7階の3層メゾネット住戸。*1
3〜4階の2層メゾネット住戸。*1
(撮影:*1藤井浩司、*2日暮雄一)

 江東支部の建物見学会に参加した。今回見学したのは、江東支部副支部長の山﨑栄介氏(株式会社栄建築研究所)が6年前に設計監理をされた「木場の集合住宅」。東京メトロ東西線木場駅から徒歩1分、敷地の南側が永代通りに面し、日当たりの良さも兼ね備えた立地に建つ建物である。

竣工6年目の見学会
 実は、竣工当時も見学会(本誌2019年5月号掲載)が開催されたが、今回は、6年を経過してどのように建物が変化しているのか、どのような住まい方をしているのかを見ていただきたいという山﨑氏の発案で、あらためて江東支部役員で見学する運びとなった。
 建物は、7階建てで、1階にパンとシュークリームで有名な洋菓子店のPUDOR(プドル)が入っている。2階がシングル向け、3~4階が2層メゾネットのカップル向け、5~7階が3層メゾネットのファミリー向け住戸となっている。
 外観は、江戸格子のひとつである高麗屋格子をモチーフにしたデザインという説明を受けた。木場のまちなみからイメージされた特徴的な縦ルーバーは、メンテナンスフリーの再生木が採用されており、コンクリート打ち放しの目地とサッシの納まりが工夫されていることで、交通量の多い大通りに面している建物でありながら、外観は雨だれなどの汚れが感じられない。
 見せていただいた資料には、ディテールへの研究を重ねられ、ひとつひとつの部位を丁寧に大事に大切に設計をされている姿勢が感じられた。6年の経過を感じさせない外観とインテリアの印象を持った。
 上階が山﨑氏のご自宅で、メゾネットの内部階段には、「木場の集合住宅」の数々の模型やドローイングが展示され、設計にとても長い時間をかけて真摯に取り組まれたことがわかった。リビングの大きなテーブルを支部の皆で囲み、当時の設計図や資料を拝見した。
建築家の真剣な眼差しで
 江東支部は、竹中工務店や久米設計、阿波設計事務所などの大手設計事務所とともに少数精鋭で活躍をされている建築士事務所が所属している。今回も皆で参加させていただいたが、各人の図面を見る目がとても厳しく真剣で、山﨑氏の設計や現場での苦労話、失敗談、住み始めてからわかる後悔など、竣工時の見学会とは違う忌憚のない裏話を食い入るように聞き、あるいは共感をし、いつもの会合や役員会の和やかな雰囲気にはない、建築家の真剣な眼差しや空気が感じられた。
 きっと普段、自社の仕事で建築と向き合う時も同じように真剣なのだと思うが、そういった表情の一面に接することができた。それと同時に、私自身も刺激や勇気をいただき、今回の見学会に参加したことは、とても勉強になり励みになった。
江東支部の皆の建築に対する真摯な姿勢をあらためて感じられたこと、そして、今回見学した建物は、皆にそういった真剣な空気を引き出すほどの想いのこもった建築であるのだと感じられ、とても有意義な見学会であった。
 山﨑氏は、この「木場の集合住宅」で、世界7カ国でいくつもの賞を受賞されているが、あらためてその功績に納得がいく建物であると、支部の皆で共感した次第である。
藤井 達生(ふじい・たつお)
東京都建築士事務所協会江東支部副支部長、藤井建築設計事務所
1965年 東京生まれ/1988年 芝浦工業大学建築学科卒業/1988年 株式会社石川洋美建築計画研究室 入社/2021年 株式会社藤井建築設計事務所 設立、現在に至る