東京消防庁からのお知らせ
特定小規模施設用自動火災報知設備の設置範囲の拡大及び火災予防条例に基づく自動火災報知設備の特例について
東京消防庁予防部予防課
はじめに
 消防法施行令(以下「令」)第21条による自動火災報知設備(以下「自火報」)のうち一定の小規模な施設においては、令第29条の4の規定に基づき、自火報に代えて、特定小規模施設用自動火災報知設備(以下「特小自火報」)を用いることができます。特小自火報は、感知器が相互に無線で連動し、警報を発する連動型警報機能付感知器を用いることで、受信機が不要となり、自火報より簡易な工事で設置することができます。この特小自火報については、火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第1号)、特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号。以下「特小省令」)及び特定小規模施設用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成20年消防庁告示第25号)が令和6(2024)年7月23日に改正され、設置範囲の拡大が行われました。
 また東京消防庁管内では、令第21条以外に、火災予防条例(以下「条例」)第41条により自火報の設置が義務付けられています。そのため、改正された特小省令との整合を図り、条例により設置が必要となる自火報についても、一定の規模、用途に限り、特小自火報を用いることができる特例の基準を策定しました。
 本稿では、特小自火報の法令改正の概要と、条例第41条に基づく自火報に代えて特小自火報を設置することができる特例基準の概要を紹介します。
特小省令等の改正内容
(1)設置範囲の拡大
 特小自火報を用いることができる対象物として、次のアからウまでに掲げる防火対象物又はその部分が追加されました(延べ面積又は床面積が300㎡未満のものに限る)。
 この追加により原則として、延べ面積又は床面積が300㎡未満の全ての用途の防火対象物に特小自火報が使用できるようになりました(指定可燃物を一定数量以上貯蔵する施設等の一部の対象物を除く)。
ア 令別表第一(9)項イ(延べ面積200㎡以上のもの)、(13)項ロ、(17)項に掲げる防火対象物
イ 特定一階段等防火対象物※
ウ 令第21条第1項第9号、10号及び13号に掲げる防火対象物又はその部分
※地階又は3階以上の階に特定防火対象物の用途が存する防火対象物で階段が屋内一系統もの(消防法施行規則(以下「規則」)第23条第4項7号ヘ)

(2)設置及び維持の基準の見直し
ア これまでは、全ての感知器を連動型警報機能付感知器とした場合で、警戒区域が1の防火対象物に限り、受信機が不要とすることができました。
 改正後は、警戒区域が2以上となる防火対象物であっても、全ての感知器が火災の発生した警戒区域を特定することができる連動型警報機能付感知器(以下「新感知器」)」であれば、受信機を不要とすることができるようになりました。
イ 特定一階段等防火対象物又は警戒区域が2以上の防火対象物における特小自火報の感知器は、建築基準法第2条第4号に規定する居室及び床面積が2㎡以上の収納室、倉庫、機械室その他これらに類する室に加え、階段及び傾斜路、廊下及び通路並びにエレベーターの昇降路、リネンシュート及びパイプダクトその他これらに類するものにも設置することとされました。
図❶
3階建て宿泊施設(特定一階段等防火対象物、300㎡未満)における新感知器を用いた特小自火報の設置例
特小自火報の感知器の設置例
図❶は、3階建て宿泊施設の例(延べ面積300㎡未満)です。この場合、3階層のため警戒区域が2以上となりますが、新感知器を設置することで、受信機が不要となります。また、特定一階段等防火対象物のため、廊下や階段(垂直距離7.5mにつき1個以上)にも感知器を設置する必要があります。
特例の適用例①(主要構造部が耐火・準耐火構造以外)
特例の適用例②(主要構造部が耐火・準耐火構造以外)
条例第41条に基づく自火報に代えて、特小自火報を設置することができる特例基準について
 令第29条の4による設備である特小自火報は、令第21条に基づく自火報に代えて用いることができる設備であり、法令上、条例第41条に基づく自火報に代えて用いることはできません。しかし、条例第41条では、「特定主要構造部を耐火構造としたもの」又は「建築基準法第2条第9号の3イ若しくはロ」のいずれかに該当するもの以外の構造の共同住宅等において、小規模な防火対象物にも自火報の設置が必要となります。そのため、それらの防火対象物のうち、延べ面積が500㎡未満のものに限り、特例により特小自火報を設置することができる基準を、次の(1)、(2)のとおり策定しました。
(1)条例第41条第1項第1号又は第2号に掲げる防火対象物又はその部分のうち、延べ面積又は床面積が500㎡未満のもの(特例の適用例①参照)
(2)条例第41条第4項各号(第3号を除く。)及び第5項並びに第6項の規定により規則第23条第4項第1号ヘに掲げる部分に感知器、発信機、地区音響装置等を設けなければならない、規則第13条1項第2号に定める小規模特定用途複合防火対象物(以下「小特」という。)のうち、延べ面積が500㎡未満のもの(特例の適用例②参照)
おわりに
 今回の改正により設置範囲が拡大され、特小自火報を設置する防火対象物の増加が見込まれます。しかし、防火対象物の構造等によっては、連動型警報機能付感知器の無線が届かず、施設全体に火災の発生を報知することができない状況も予想されます。電波が届かない場合は、特小自火報を設置できないため、事前に設置場所の電波の受信状況を確認したうえで設置するようにしてください。
 特小自火報の設置に際し、疑義が生じた場合は管轄消防署にご相談ください。
カテゴリー:建築法規 / 行政