VOICE
井出 幸子(東京都建築士事務所協会豊島支部 副理事、UIFA JAPON(国際女性建築家会議日本支部)広報担当理事、(株)井出幸子建築設計室一級建築士事務所)
年の瀬に思うこと、新年に向けて
 常々私たちは、建築は面白いと実感している。けれど建築の面白さを伝えること、目利き育てができているのだろうか、とふと思うことがある。
 その逡巡から今年のトピックを書いてみたい。
DAC(デンマーク建築センター)
DAC(Danish Architecture Center)
 9月、コペンハーゲンのデンマーク建築センターが面白かった。
 造形の持っている力や楽しさを、身体を動かしながら習得していくことができそうな場所だった。
 流麗にスパイラルに立ち上がっていく造形が階段に展開する模型。
 実際に設置された上下階をつなぐスパイラルチューブ(遊園地のよう)に入り込んで落下感を満喫。
 壁に仕込んだパネルを引き抜き、水の変化、橋の構造、ランドスケープって? など、問いや解決法などを覗く。
 インタラクティブなやりとりを通して、身体でいろいろ知っていく。こんな建築センターって日本にあったか。
UIFA JAPON 1×1コレクション展
「手書き」「触って、開いて、観る展示」
 7月、建築を学んだ女性たちに、今の自分を振り返り「きっかけとなったアートワークは何? その説明? プロファイル?」と問いかけ、その47人の回答3点セットを収めた「UIFA JAPON※1×1コレクション展」が建築会館ギャラリーで開催された。(※UIFA JAPON 国際女性建築家会議日本支部)
 IAWA(国際女性建築家アーカイブ)が各国で進めているこの企画の共通の条件の中に、「説明は手書きで」、「触ることができる展示など」とある。トレペなどを折り畳んで展示し、触って開いてみてもらった作品もあった。来場者の感想の中に、手書きのメッセージの力は大きかったとある。その人の「人となりの物語」を読み進めると、ついつい最後まで読んでしまった。そして、47人の「虎に翼」に出会った、など。
北アルプス国際芸術祭2024
北アルプス国際芸術祭2024
 11月、高い樹木から渦巻きに吊られるメガネレンズのすだれ(カナダ人アーティスト「囁きは嵐の目の中に」)。レンズ越しに展開する湖べりのイルージョンを子どもも大人もグルグル周りながら、あるいは座って、じっと移ろいに浸っていた。「いいよね!!」と。
実家銭湯解体
実家銭湯解体
12月、70年近くあり続けた実家の銭湯(2代目鉄骨造)を解体した。大きな湯船、洗い場、格天井で大鏡のある脱衣場(初代木造)。家族写真は銭湯の坪庭だった。生活のリズムは特殊だったけれど、得がたい空間体験を親に感謝する年の瀬となった。
 解体仮囲いのシートが一時的に外されたとき、男女浴槽の上のモザイク画を初めて一緒に見ることができた、と近隣の人たちが通りがかりに写真を撮りまくっていたらしい(写真は向かいのお寿司屋さんからLINEでいただいた)。
井出 幸子(いで・さちこ)
東京都建築士事務所協会豊島支部 副理事、UIFA JAPON(国際女性建築家会議日本支部)広報担当理事、(株)井出幸子建築設計室一級建築士事務所
1950年 東京都生まれ/1972年 日本女子大学住居学科卒//1972〜2012年 (株)アール・アイ・エー勤務、各種計画・意匠設計に従事/2012年 (株)井出幸子建築設計室一級建築士事務所設立
カテゴリー:その他の読み物
タグ:VOICE編集後記