女性交流会2024福井大会・東京会第2回女性交流会
語り合うことの意味を感じて
杉本 由美子(東京都建築士事務所協会副会長、(株)杉本由美子建築設計事務所)
福井大会で挨拶する上野浩也日事連会長。
福井でのワールドカフェ開催風景。ラウンドごとにテーブルのメンバーが半数が移動する。
日事連女性活躍推進WGの発足を報告する清吾幸子大阪会理事とワーキングのメンバー。
女性交流会2024福井大会──3回目の開催
 日事連(日本建築士事務所協会連合会)大会の公式行事として、第3回目となる「女性交流会2024福井大会」が2024(令和6)年10月11日(金)に開催された。参加者は、59名(7ブロック、21単位会)の女性建築士とオブザーバー7名。東京会からは、女性建築士9名とオブザーバーとして千鳥義典東京都建築士事務所協会会長が参加した。
 今回のテーマは「つなぐ建築、になう人──今、私たちが考え、できること」。
 熊本、島根・鳥取と続き、第3回目の女性交流会ということで、1年ぶりに会う顔に懐かしさを感じた。交流会は昨年と同様にワールドカフェ形式であったが、今回は、オブザーバーの日時連理事や単位会会長の男性にも、ワールドカフェのテーブルに加わっていただくといういう形で行われた。これは、働く女性たちが何を考え、何を問題と思っているのかを実際に肌で感じることのできる大変よい試みであったと感じた(女性交流会の内容については、『日事連』2025年1月号「女性交流会2024福井大会報告レポート」を掲載)。
 また、清吾幸子日事連理事(大阪会)より、日事連に女性活躍推進WGが発足したことが報告され、日事連において、今後の女性の活躍への強い期待が実感された。
 最後に、次回開催地である新潟会へバトンが渡され、毎回恒例のおいしいお弁当をいただいた。今回は、福井の名物「おろしそば&ソースかつ丼」、おろしそばのさっぱりとソースかつの濃い力強さのバランスが絶妙だった。
東京でのワールドカフェ。38名の女性参加者にオブザーバーとして千鳥会長ほかも参加。
東京会 第2回女性交流会──ワールドカフェと見学会
 2025(令和7)年2月4日(火)、東京会第2回女性交流会(ワールドカフェ&見学会)が、「ビジョンセンター東京虎ノ門」にて開催された。参加者は、当会女性会員と会員事務所の女性スタッフ38名、オブザーバーとして千鳥会長のほか、寺崎雅彦日本設計インテグレイテッドデザイン部主管、小松達也東京都建築士事務所協会専務理事に参加いただいた。また、日刊建設工業新聞社、建設通信新聞社、建材ナビジャーナルの3社が取材で入った。
女性が働きやすいは、男性も働きやすい
 ワールドカフェに先立ち、千鳥会長よりご挨拶と「働く環境・働きやすい環境」についての説明が行われた。千鳥会長は、『建築画報』(2016年5月)で、「かがやく女性・かがやく組織」として巻頭対談と「働きやすい組織像」として日本設計の女性社員7名によるディスカッションを行っている。
 その経緯により、今回の女性交流会では、ワールドカフェに続き、女性活躍推進へ先進的な環境づくりを実践されている日本設計本社の見学会をお願いすることになった。
千鳥会長のお話は、社会の変化と技術の進化の相互作用、ソフト面とハード面の相互作用、「女性が働きやすいは男性も働きやすい」という内容で、今後の女性の活躍について考える大変心強い後押しとなった。
ワールドカフェのお品書き/今年の抱負を一文字で
 今回のワールドカフェのテーマは、「個人と事務所が共に成長できる、フラットで自由に発言できる職場の雰囲気づくり」であり、カフェのお品書きとして以下の4つの話題が用意された。

・あなたにとり「働きやすい」とは、実践していること、変わったこと?
・チームで仕事をする時のコミュニケーションの工夫は?
・辞めようと思ったことは? そしてとどまったきっかけは?
・働き方改革の中、私的時間とのバランス、理想の働く時間の本音は?

 まず参加者全員が、自己紹介の名札に「今年の抱負」を一文字で記入した。書かれた一文字は、「再、楽、建、新、変、勇、輝、努、実、基、挑、笑、勉、縁、進、成、脱、礎、孝、秤、休、抗、穏……」など。
 思った以上に、前向きで強い意志を感じる一文字が多い気がする一方、少し大変なのかな? 疲れているのかなとも思える文字も見受けられた。
 第1ラウンド(15分)、第2ラウンド(15分)、第3ラウンド(20分)と席を移動しながら、テーマや自分が選んだ今年の漢字一文字について順番に話していく。うれしそうに今の自分の仕事について話す人、ちょっと辛そうに悩みを話す人、年齢も背景も環境も違う同士だが何かわかりあえるものがある。そんな中で私が何度も耳にした言葉が「やっぱり(建築が)好きだから」。いろいろあるけど続けている、たぶんこれからも続けていくであろうということを表す、交流会参加者の多くの人に共通する言葉だと思った。
結果を求めないワールドカフェ
 ワールドカフェ終了後のアンケートの結果では、以下のような意見があった。(抜粋)

・日本設計で女性活躍推進へ先進的な環境づくりが実践されていることが解り嬉しかった。
・いろいろなキャリアの意見を聞け、今後のキャリアを考えるきっかけとなった。
・働き方だけでなく、キャリアについても話したい。
・さまざまな意見や考え方を聞けて刺激となった。
・事務所で言いづらいことも同じ女性だから仕事に限らず、日々の話などフラットに話せるとよい。
・継続した会が、何より女性交流の後押しとなる。

 結果を求めないワールドカフェ。結果を求めないからこそ、それぞれが何かを感じ、今後仕事を続けていく中できっと後押しとなることもあるのではと感じた。
日本設計本社のある虎ノ門ヒルズを背景に記念撮影。
(撮影:建材ナビ)
「虎ノ門ヒルズ」日本設計本社見学会
 見学会に先立ち、寺崎様から日本設計本社について説明をいただいた。
 日本設計の設計による「虎ノ門ヒルズ」は、立体道路制度により幹線道路を跨いだ複合超高層であり、道路を超えて街と人と緑をつなげている。虎ノ門エリアのまちづくりの延長としてのワークプレイスである。
 庭園の説明を聞き、途中、参加者みんなで「虎ノ門ヒルズ」を背に記念撮影をした後、34階へ。2班に分かれての見学となった。
 34階・35階に入居する日本設計本社の専有面積はフロア当たり3,400㎡、社員数約1,000人。都市のようなオフィス、都市を感じるオフィスである。全方位に開けた2層連続の周回空間は「ミチ」であり、「ミチ」を軸とした一筆書きの連続空間+フリーアドレスで交流を促す。「ミチ」とふたつの階段が立体的回遊性で出会いを促進する。周回空間は、各方位の都市(新宿・霞が関、八重洲・日本橋、渋谷・六本木、品川)のイメージをインテリアに取り入れている。働き方としては、個々が時間・場所を自由に選択しながらも、「チーム」内のコミュニケーションを活性化し、協調性・協働性を維持するために、さまざまなことが試され、取り入れられている。今後の働く環境と働き方を考えるにあたって、大変勉強になった。
楽しく盛り上がった懇親会。
(撮影:筆者)
懇親会
 新橋駅前「ニュー新橋ビル」のイタリアンレストランにて懇親会を開催した。千鳥会長と小松専務も最後まで参加され、非常に盛り上がった楽しい時間となった。ワールドカフェで話し足りなかった部分を補うかのようにそれぞれみんなが我先にと話す話す。あちらこちらから高らかで楽しそうな笑い声が響きわたり、今日はじめて会った者同士と思えないほどに打ちとけた楽しい夜はあっという間に更けていった。
みんな話したい、聞いてほしい
 今回の女性交流会を通して、アンケートを読んで感じたことは、「みんな話したいんだ。聞いてほしいんだ」ということである。普段は黙って淡々と仕事をこなしいても、みんなそれぞれ思っていることや思いはいろいろあって、「話したい、聞いてほしい、他の人の考えを聞きたい、これってどうなの?」と日々思っている。環境や背景、それぞれひとりひとりが違っていても、根っこ(建築)が同じ通しで話すことは単純に楽しい。そして仕事を続けていくにあたってそんな時間はとても大切である。今後もこの東京会女性交流会がそのような場として続いていって欲しいと心から思う。
杉本 由美子(すぎもと・ゆみこ)
東京都建築士事務所協会副会長、(株)杉本由美子建築設計事務所代表取締役
1966年 千葉県生まれ/2007年 東京理科大学大学院修了/設計事務所勤務を経て2000年独立、現在に至る