日刊建設工業新聞社連携企画座談会 その❷
支部活動を通じて協会の現在と未来を考える
千鳥 義典(東京都建築士事務所協会会長)
鈴鹿 美穂(台東支部長)
金本 成叔(江戸川支部長)
佐藤 武文(八王子支部長)
石橋 勉(北部支部長)
文責:牧野 洋久(日刊建設工業新聞社)
鈴鹿 美穂(台東支部長)
金本 成叔(江戸川支部長)
佐藤 武文(八王子支部長)
石橋 勉(北部支部長)
文責:牧野 洋久(日刊建設工業新聞社)

座談会風景。右より、千鳥、鈴鹿、金本、佐藤、石橋の各氏。令和6(2024)年11月27日、協会本部にて。
日刊建設工業新聞社との連携により、「支部活動を通じて協会の現在と未来を考える」をテーマにした座談会を開いた。第1回は令和6(2024)年7月に行い、本誌令和6年9月号に掲載した。第2回は同11月27日に本部で開催。千鳥義典会長と、鈴鹿美穂台東支部長(第2ブロック)、金本成叔江戸川支部長(第5ブロック)、佐藤武文八王子支部長(第6ブロック)、石橋勉北部支部長(6第ブロック)の4人が登壇し、今後を展望した。
首都直下地震に備える
能登半島地震など自然災害が相次いで発生している中で、安全・安心への関心が高まっている。江戸川支部では、新耐震基準に適合しているものの、平成12(2000)年以降の耐震規定強化に対応していない、いわゆる「グレーゾーン住宅」問題に力を入れている。該当する物件約60件を探して耐震性能の調査したところ、「ほとんどで耐震性能が不足していた」(金本支部長)。連携する江戸川区は、グレーゾーン住宅への支援制度を設けている。金本支部長は「能登半島地震以降に200件以上(内グレーゾーン10件)の相談が来た。今後も行政と連携して地域の耐震化を進めていきたい」との認識だ。台東支部は、弁護士ら10の士業で構成する「台東区災害ネットワーク専門職会議」に参画しており、台東区との協定により大震災発生時に法律相談を行う体制を整えている。訓練の位置付けで年2回の「下町よろず相談会」も実施中だ。鈴鹿支部長は「専門家が日ごろから交流していることが大切」と強調する。
地域に合わせて貢献
佐藤支部長は八王子市と連携しながら、住宅マスタープランなどの検討への支援などに取り組んでいる状況を説明した。空き家が問題になっている状況にも言及。条件を満たした場合にバリアフリー法への適合が免除される制度により、空き家をグループホームや障害者福祉施設に転用することも後押ししている。市や地域とのつながりを大事にしており、「密接な協力体制をとることでいざという時にいろいろなやりとりができる」と話した。6市にまたがる北部支部を率いる石橋支部長は、支部全体で連携しながら耐震相談会などに対応している。「耐震対策などは市によって施策に温度差がある。市職員から他市の情報を聞かれることも多い。進んでいる事例を橋渡し役のように話している」(石橋支部長)。幅広い情報を持っているからこそ、より深い貢献ができる面があると言えよう。
工夫を凝らして会員増強へ
各支部とも、支部活動のさらなる活発化や次世代を担う若手・中堅を含めた会員増強が重要との認識で一致する。石橋支部長は、対面での会合とウェブ会議を併用しながら効率的に活動することの重要性を指摘するとともに、「懇親会や旅行という旧態依然のやり方で誘うことが、若い人にとってどうなのか」と問題提起した。非会員の建築士事務所へのアプローチも重要だ。八王子支部は、令和7(2025)年4月に施行される改正建築物省エネ法をテーマに講演会を実施した。佐藤支部長は「非会員も含めて80人が参加し、会員増強につながった」と話す。
江戸川支部は、非会員向けにセミナーを開催した。地盤柱状図の見方と建築士賠償責任補償制度(けんばい)、改正建築基準法の3つをテーマにしたところ、約20人が参加した。金本支部長は「情報が集まる場だとアピールできれば入会につなげられる」と期待を込める。
持続可能なあり方を
持続可能な仕事のあり方も議論になった。金本支部長は「行政の仕事が価格競争で良いのだろうか」と入札制度の改善の必要性を訴えた。鈴鹿支部長は、協力事務所のマッチングサービス「アーキ・パートナー」が始まったことに触れ、「事務所同士がチームを組んで仕事ができるような体制づくりを始めている」と語った。石橋支部長は「良い仕事をするためにはコストが必要だ。建築士に対する社会的評価をもっと上げていかなければいけない」と強調した。働き方改革の観点からは佐藤支部長が「社員にとって働きやすい環境づくりをしたいと思っている。個々の社員それぞれが望んでいる生活の形がある。そうしたことを重視していかないといけない」との認識を示した。金本支部長は「私自身はひとりで事務所を運営し、働くのは夕方までにしている。こうした働き方ができることも魅力だ」と語った。
鈴鹿支部長は「働き方改革にもバランスが必要」と疑問を呈し、「やりたくて建築の仕事をしている。建築の魅力が仕事の原動力になるはず。もっと魅力を発信しないといけない」との考えを示した。石橋支部長は自身の会社が改修工事なども手掛けていることから、現場の職人を含めた建設業界全体を見据えた対応の必要性に言及し、「コスト面を含めて、設計者としてしっかりと説明していかないといけない」と述べた。
よりよい形で地域を継承していくことを重視する方向性は各支部とも共通する。「手づくり感の良さをもっと出していきたい」(金本支部長)、「下町地域の特性を活かしたまちづくりに貢献したい」(鈴鹿支部長)、「後世に向け街の特色を守っていきたい」(佐藤支部長)、「良い物をつくりたいという原点を大事にしたい」(石橋支部長)といった声が上がった。
千鳥会長は「良い活動をお互いに参考にしながら役立ててもらいたい。都民から頼られる存在としてこれからも活動していきたい」と締めくくった。

千鳥 義典(ちどり・よしのり)
東京都建築士事務所協会会長・新宿支部、日本設計株式会社
1955年 東京都生まれ/1978年 横浜国立大学工学部建築学科卒業/1980年 同大学大学院修了/1980年 日本設計入社/2013年 代表取締役社長/2020年 取締役会長/2023年 最高顧問/新宿支部
1955年 東京都生まれ/1978年 横浜国立大学工学部建築学科卒業/1980年 同大学大学院修了/1980年 日本設計入社/2013年 代表取締役社長/2020年 取締役会長/2023年 最高顧問/新宿支部

鈴鹿 美穂(すずか・みほ)
建築家、東京都建築士事務所協会台東支部支部長、川島鈴鹿建築計画
1966年 神奈川県生まれ/1989年 東京家政学院大学卒業/1999年 川島鈴鹿建築計画設立
1966年 神奈川県生まれ/1989年 東京家政学院大学卒業/1999年 川島鈴鹿建築計画設立

金本 成叔(かなもと・なりひろ)
アトリエ金本一級建築士事務所、江戸川支部支部長
1972年 東京都生まれ/1998年 東京理科大学大学院工学研究科修了/2003年 事務所開設
1972年 東京都生まれ/1998年 東京理科大学大学院工学研究科修了/2003年 事務所開設

佐藤 武文(さとう・たけふみ)
東京都建築士事務所協会八王子支部支部長、株式会社三和設計
1950年 山梨県生まれ/1973年 日本大学理工学部建築学科卒業/設計事務所を経て、1983年 株式会社三和設計設立
1950年 山梨県生まれ/1973年 日本大学理工学部建築学科卒業/設計事務所を経て、1983年 株式会社三和設計設立

石橋 勉(いしばし・つとむ)
東京都建築士事務所協会北部支部支部長、イトム建築工房
1959年 東京都生まれ/1986年 工学院大学建築学科卒業/マツミハウジング(株)1994年まで勤務/1995年(有)イトム建築工房設立
1959年 東京都生まれ/1986年 工学院大学建築学科卒業/マツミハウジング(株)1994年まで勤務/1995年(有)イトム建築工房設立

牧野 洋久(まきの・ひろひさ)
日刊建設工業新聞社
1975年 北海道生まれ/1997年 東京都立大学土木工学科卒業/建設会社などを経て、2001年 日刊建設工業新聞社入社/2021年 編集部部長
1975年 北海道生まれ/1997年 東京都立大学土木工学科卒業/建設会社などを経て、2001年 日刊建設工業新聞社入社/2021年 編集部部長
カテゴリー:東京都建築士事務所協会関連







