絵のタイトルはコートダジュールにしました。コートダジュールは地理名ではなく、特徴のある地域の概念総称であると思います。地理名ではマントンです。南フランスにあり、イタリアの国境までの紺碧海岸といわれるほど太陽と海の青さが美しい所で、地中海性気候で乾燥する夏には、ヴァカンスを過ごす寒い所の地域から観光客が多数訪れる高級住宅街でリゾート地でもあります。
　私が初めてコートダジュールを訪れたのは56年前でした。寒い国からの富裕層が、温かさと太陽と青い海にあこがれて娯楽のあるリゾートとして利用し、短期滞在も長期滞在もできるように街が形成されていました。
　その後、数回コートダジュールに行きましたが、娯楽やスポーツが多く揃えられ、世界中からの観光客も多くなり、形の在り方の基本は変わりませんが、多様性のあるリゾートとして変貌してきました。そういう時間の隔たりを経てコートダジュールは、いっそうリゾート感覚が、コートダジュールという地域一帯の総称になりました。このマントンの風景も教会があり、カラフルなアパートメントやホテルやマーケット、高級住宅群、商業空間などの建物があり、ヨットハーバーには多くのヨットが停泊しています。町の路地は古い建物が並んでいて生活と哀愁を感じ、なにか、ほっと癒されて心を豊かにします。
　ニース、サントロペ、カンヌ、モナコなどもコートダジュールのひとつの都市です。すなわち、コートダジュールはそれらの都市の持っている概念的、時間空間でもあると感じます。