千代⽥区建築技術者講習会と応急危険度判定員講習会
千代田支部|令和6(2024)年2月13日(火)@千代⽥区役所
古田 秀行(東京都建築士事務所協会千代田支部編集員、株式会社エノア総合計画事務所)
 千代⽥区環境まちづくり部建築指導課が主催、東京都建築⼠事務所協会千代⽥⽀部が後援となり「第59回千代⽥区建築技術者講習会及び第19回千代⽥区応急危険度判定員講習会」が2⽉13⽇、千代⽥区役所1階の区⺠ホールにおいて4年ぶりに開催された。
 今回のテーマは4部構成であった。
特別講演の様子。
講演する土井原泉さん。
保存利用されている「九段会館テラス」のエントランス。
九段会館テラスの桜とライトアップ。(撮影:筆者)
1. 特別講演「九段会館プロジェクトにおける保存再⽣⼿法」
 本プロジェクトの設計に携われた、⿅島建設の⼟井原泉さんの講演。令和4(2022)年「九段会館テラス」として再スタート、平成29(2017)年に⼀般競争⼊札により、東急不動産と⿅島建設が落札し、建替え保存作業が⾏われ、その過程でのエピソードをお話いただいた。歴史を振り返ると昭和5(1930)年に「軍⼈会館」として建設、終戦時からGHQに接収、昭和28(1953)年に返還され「九段会館」として開業、平成23(2011)年の東⽇本⼤震災により被災閉館した歴史がある。今回のプロジェクトにおいては、3つのコンセプト「環境を最⼤限に活かす」、「レトロモダン」、「先端を⾏くワーカープレイス」を軸に計画を進められたそうである。改修⼯事中に発⾒された創建当時の内装もあり、まさに⼯事を⾏いながらの保存再⽣作業となったという。また既存部分の免震レトロフイット、コンクリートの再アルカリ化⼯事等の構造的な補強も⾏われており、技術的にもたいへん興味深い講演内容であった。
2. 建築⾏政に係る最近の動向について
 建築指導課設備審査担当より「省エネ等に関する法改正について(設備関係)」と題し、建築物省エネ法の改正に関する説明を中⼼に解説があった。令和7年4⽉以降に着⼯する原則すべての住宅・建築について省エネ基準適合が義務付けられることとなる。次に建築指導課建築審査担当より、令和6(2024)年4⽉1⽇施⾏の「改正建築基準法について」と題し、主要構造部規制の合理化、既存不適格建築物の増築等に係る規制の合理化等、多岐に及ぶ項⽬の解説があった。
3. 宅地造成及び特定盛⼟等規制法について
 建築指導課⻑より東京都では令和6(2024)年7⽉頃を⽬途に盛⼟規制法に基づく規制の開始が⾏われる旨の説明があった。
4. 被災建築物応急危険度判定員講習
 建築指導課安全対策担当より応急危険度判定に係る千代⽥区での取り組み状況について説明があった。

 当⽇は千代⽥区の技術者中⼼に70名ほどが参加し熱⼼に聴講され、充実した講習会となった。
古田 秀行(ふるた・ひでゆき)
東京都建築士事務所協会千代田支部編集員、株式会社エノア総合計画事務所
1957年 東京生まれ/1979年 日本大学生産工学部建築工学科卒業/株式会社間組建築設計部を経て、2003年 株式会社エノア総合計画事務所入社、現在、取締役 計画設計部統括部長