踊る阿呆に……阿波おどりで新春懇親会
杉並支部|平成31(2019)年1月22日(火)@阿佐ヶ谷・新東京会館
村田 くるみ(東京都建築士事務所協会杉並支部副支部長、支部編集員、冬木建築工房)
踊りながら会場を巡る「江戸っ子連」の皆さん。
踊る会長。(撮影:筆者)
 「新東京会館」ホールの形状は細長い長方形で、入口からステージまで奥行の深さを感じさせる。平成31年新春懇親会(来賓33名、会員29名、協力会員10名出席)は、佐藤孝子支部長挨拶に続いて、田中良杉並区長はじめ来賓の方々にご挨拶をいただいた後、和やかな歓談に入った。と、遠く下座の入口の外から、鐘と太鼓の音が小さく聴こえて……。音は涌き上がるように大きさを増し、「江戸っ子連」の皆さん15名が練り踊りながら会場にゆるゆると流れ込んで来た。
 高円寺で毎年8月に開催される「東京 高円寺阿波おどり」。踊り手は160連(チーム)合わせて1万人、観客が100万人にも及ぶ。それにしても徳島の「阿波おどり」がなぜ高円寺で? 昭和32(1957)年、高円寺の数ある商店街のひとつ高南商盛会(現パル商店街)に青年部が発足し、その記念イベントとしたのがきっかけ。商店街の狭い通りでは祭りの櫓も建たない、神輿は高価だと悩んだ時に「四国には踊りながら道を進む祭りがあるらしい」という声が出て誕生した。しかし当初は「阿波おどり」と名づけるのは憚られ「高円寺ばか踊り」と称し、お囃子もチンドン屋に依頼したという。それが今では杉並区立芸術会館(座・高円寺)に阿波おどりホールが設けられるほどとなった。設計者の伊東豊雄さんは2009年講演で、建物を「まちから建物に練り踊りながら入って来て踊りながら出て行けるような空間に」と語っている。
 さて会場奥のステージでは、勇壮な男踊りと躍動的な女踊りが交互に繰り出される。「江戸っ子連」は徳島の「阿呆連」の唯一の弟子連。毎週、練習を重ね、年1回、師匠連を訪ねては研鑽と交流を欠かさないそうだ。そして、高円寺の子どもたちは学校で阿波おどりを学ぶ。杉並支部では、佐藤支部長の「杉並ならではの風物、芸能で、参会の皆様をおもてなししたい」という強い思いにより、平成29(2017)年より和太鼓、阿佐ヶ谷ジャズ、そして阿波おどりを新春懇親会のアトラクションに据えている。
 ひとしきり見物を楽しんだら、最後はあなたも一緒に踊る番。「右手を出したら同じ右足を前に出して。」と即席の手ほどきを受け、会場中央の花と料理の長テーブルの回りをグルグルと踊りの列が廻り始めた。なんともすごい熱気だ。
 さあ、同じ阿呆なら踊らにゃ損損……。
村田 くるみ(むらた・くるみ)
東京都建築士事務所協会杉並支部副支部長、支部編集員、冬木建築工房
大分県生まれ/お茶の水女子大学文教育学部卒業/家族の駐在に伴い、アメリカ、オーストラリア等で専業主婦の後、子育てを終えてから建築士に