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房前 寿明(東京都建築士事務所協会目黒支部副支部長、ユニップデザイン株式会社)
昨年よりしばしば沖縄へ出張している。現在、関東は真冬であるが、ここ沖縄はコート要らずで半袖姿も見かける。少し汗ばむこともある小春日和はとても心地がいい。
 はるばる出張の目的は保育所の設計監理である。余談だが実はここ沖縄は東京に次いで待機児童が多いそうだ。沖縄の建築物は9割以上がコンクリート造である。沖縄のコンクリート建築は、大正時代に建築技手の清村勉によって導入されたといわれる。台風に強く、耐火性があり、シロアリの被害がない。
当初、保育所建築ということで木造を検討したが、大規模となると流通性や慣例に乏しく今回は見送ることにした。沖縄での設計は、強い日差しや暴風雨、湿気やシロアリ、通常本土で使っている仕様がないなど、色々と厄介である。その反面、沖縄ならではのものもある。地震地域係数が0.7、暖房いらず、赤瓦屋根や琉球石灰岩、建物を守るシーサーや花ブロックなどの特有なものが存在する。
今回は花ブロック工場にうかがった。大小様々な穴の形は古来のものや最新作や特注品など、どれも見ても飽きないが製作は試行錯誤が多いようだ。視察後、コンクリートの煩雑とした建物群から解放されたいと、まちなみから覗いた海の方に向かった。やはり沖縄といえば自然、青い空と水平線が続く海である。ポカポカ陽気に打ち寄せる波の音、珊瑚の砂浜でしばし思いに耽る。我に返ると、手前の護岸の仕上材料が気になり早速現場へ写真を送った。
房前 寿明(ふさまえ・としあき)
東京都建築士事務所協会目黒支部副支部長、ユニップデザイン株式会社
1971年 大分県大分市生まれ/1996年 九州芸術工科大学 生活環境専攻 博士課程前期 修了/1996年 仙田満+株式会社環境デザイン研究所 勤務/2003年 プロ・ジェクト、長谷山純一級建築士事務所 勤務/2007年 ユニップデザイン株式会社 設立、現在に至る
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