青年部会基礎セミナー:一級建築士製図試験実践演習
青年部会|平成30(2018)年8月9日(木)@本会会議室
宮﨑 勲|(東京都建築士事務所協会北支部、青年部会幹事、株式会社宮﨑建築工房一級建築士事務所)
 
セミナー風景。(撮影:宮﨑 勲)
 設計という業務を履行していく上で、建築士という資格は欠かせないものである。しかしながら年々建築士の合格者数が減り続けているのが現状である。
 実際、設計事務所に勤務しながら資格を取得するというのはたいへんな努力が必要である。大手ゼネコン、ハウスメーカーであれば企業として資格取得のためのバックアップもあるが、母体の小さい設計事務所では必須資格でありながら、そこまでのサポートをしている設計事務所は皆無である。設計事務所単体でのサポートが困難なのであれば、法定団体である建築士事務所協会が未来を担う若手建築士を何かサポートしても良いのではないか。これが当該セミナーの原点である。
 所属一級建築士のなかで50才以上の人が全体の6割以上を占めている現在、若き建築士が育っていくことは今後の設計事務所のあり方にとって大切なことであり、青年部会としては、そのサポートが少しでもできればと考えている。
 今回のセミナー開催にあたり、私たちの考え方に賛同して頂いた総合資格学院の協力を仰ぎ、学科試験直後であり演習問題などがまだ出回っていない時期に、無理を言って演習課題及び解答の作成引き受けていただいた。また当日の講師派遣も快く引き受けていただき格安でセミナーが開催できたことに感謝の意を表する。
 当日は青年部会員および一般会員から21名の参加があった。今回、初めての試みとして受講料に会員との差を設け、非会員からも参加を募った。非会員は設計事務所勤務の若手で、今年一級建築士製図試験を受験する人に限定し数十人に声を掛けた。しかしながら残念なことに平日の夜に仕事を抜けられる人はひとりもいなかった。これが現在の設計事務所の実態なのかと思うとやりきれない気持ちである。
 講義はまず平成30年度出題課題である「健康づくりのためのスポーツ施設」のポイント説明から。パッシブデザイン及び、今年からより実務に即した計画が求められそうな防火区画、避難施設に関して、そしてスポーツ施設の考え方について。次にそれぞれすべての条件を踏まえた上での平面的、断面的ゾーニングのまとめ方について。
 その後演習課題の読取り方、そして実際にエスキースを1時間強。最後に計画の解答・解説を行った。
 建築士試験セミナーは前回の学科に続き今回が2回目である。今後継続させていくことにより、建築士事務所協会は設計を志している人をサポートしている、そして建築士事務所協会に加入するメリットがここにある、ということを伝えていければと思う。
宮﨑 勲(みやざき・いさお)
東京都建築士事務所協会北支部、青年部会幹事、株式会社宮﨑建築工房一級建築士事務所
1973年 東京生まれ/1995年 日本大学生産工学部建築工学科卒業