青年部会富山・金沢研修旅行
東京都建築士事務所協会
宮﨑 勲(東京都建築士事務所協会北支部、青年部会幹事、株式会社宮﨑建築工房一級建築士事務所)
富山きときと空港。
鮎料理。
移動バス。
大建工業井波工場。
 平成29(2017)年12月1日〜2日の研修旅行期間中の天気予報はずっと雨。わずらわしさを心配しながら、いざ「富山きときと空港」に降り立つと、そこには青空。良い旅となる予感を胸に旅がスタートした。参加メンバーは脇宗一郎青年部会長以下10名だった。
 空港から、井波彫刻で有名な富山県南砺市井波地区にある「大建工業井波工場」に向けてバスにて出発。このバスは大建工業様のご厚意により用意していただいた。途中鮎料理に舌鼓をうち、昼過ぎに工場に到着。この時点で青空が見えなくなり、暗雲が立ち込め始める。
大建工業井波工場での講義。
大建工業井波工場見学
 工場では内海健一工場長より、井波彫刻を含め木工の町・井波の伝統、大建工業井波工場の沿革、主要製造商品である木製建具に関して講義をしていただいた。
 その後工場内の見学。30,000㎡もの広さの工場だが同時に製造作業に携わっている人は10名にも満たない。想像以上のオートメーション化に現代の工業化建材というものを感じると同時に、梱包前の最終点検に関しては人が行うというところが品質管理の原理原則なのかなと考えさせられた。
 新商品の開発においては、施設用途に応じ可動耐久試験を10万回、20万回、30万回と行っている。稀に安価な住宅用木製建具が店舗内装に使われているのを見かけるが、耐久力試験の趣旨から考えるとこれは好ましくないことであることを改めて認識することとなった。製造建具はバーコード管理により受注内容に応じ、建具仕様、個数を常に変化させる受注生産体制にも興味を覚えた。
石川会との交流。
石川会(石川県建築士事務所協会)との交流
 見学後はバスで一路金沢へ。外は土砂降りの雨。この後の石川会との活動報告懇親会が心配になる。宿にチェックインしてひと休みした後、石川会の方の待つ金沢市片町へ。いつの間にか雨も収まっていた。
 会場、および交流会は石川会理事、山岸敬広さんの取り仕切りである。東京会(東京都建築士事務所協会)からの依頼に対し、親身に対応していただいた。石川会から若手15名が参加し交流会がスタートした。
 それぞれ自己紹介のあと、東京会からは青年部会が発足してから今に至るまでの活動内容を、資料と共に説明した。石川会からも現在の若手会員の状況、今後について話を聞いた。
 報告のあとは引き続き懇親会へ。お酒も入り東京会、石川会と本音で熱く語り合い、2次会3次会、中には4次会まで行った者もいたとかいないとか。また石川会の方々はとても心の熱い方が多く、皆がとても団結している印象を受けた。石川会の皆様には感謝のひと言に尽きる。
金沢21世紀美術館前で記念撮影。
鈴木大拙館の水庭。
近江町市場。
近江町市場での食事。
ひがし茶屋街。
金沢のまちと建築巡り
 翌12月2日は、まず2004年にヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞、2010年にプリツカー賞など数多くの賞を受賞されているSANAA(妹島和世+西沢立衛)設計の「金沢21世紀美術館」(2004年)を見学。美術館でありながら建物には表と裏のないガラスのアートサークルが採用され、トップライトや光庭など明るさや開放感にも配慮されており、公園のような身近さを感じられる施設であった。
 次に谷口吉生氏設計の「鈴木大拙館」(2011年)を見学。禅の思想を世界に広めた仏教哲学者鈴木大拙のミュージアム。シンプルなデザインの建物で、ただぼーっと眺めるだけで「禅」の思想を感じた気になりそうな建物であり、庭園であった。
 その後、「近江町市場」(近江町いちば館、設計:RIA、2009年)で昼食の後は、国の重要伝統的建造物群保存地区「ひがし茶屋街」にて金沢の歴史を感じ、ここで見学行程はすべて終了。帰りは小松空港より羽田空港へ。
 当初終日雨の予報だった旅は2日間とも晴天に恵まれ、これもわれわれ若手の結束と思いの強さの賜物と勝手に解釈。2日間ではあったが、たいへん濃密な時間を過ごせたと感じられたと共に、来年もどこかの建築仲間と同じ時を過ごしたいと感じられる旅であった。
 来年はもっと多くの若手が参加してくれることを願う。
宮﨑 勲(みやざき・いさお)
東京都建築士事務所協会北支部、青年部会幹事、株式会社宮﨑建築工房一級建築士事務所
1973年 東京生まれ/1995年 日本大学生産工学部建築工学科卒業