女性交流会2023レポート
第45回建築士事務所全国大会(鳥取・島根大会)の公式行事として開催
横村 隆子(東京都建築士事務所協会常任理事・足立支部、一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計)
挨拶する児玉耕二日事連会長。
会場風景。自分へのメッセージカードをカプセルへこめた。
記念撮影。
(撮影:筆者)
 一昨年の熊本大会でキックオフした「女性交流会」が日事連公式行事として認められ、2023(令和5)年10月13日、午前10時から「生みだす建築、はぐくむ人~今、私たちが伝えていきたいこと~」をテーマに開催された。東京会からは杉本由美子副会長、各ブロックから1名の女性建築士総勢6名と、オブザーバー千鳥義典東京会会長が参加した。
 実行委員長の須山光子島根会理事から、「神在月のこの時に第1回開催となり、主テーマを軸に『働き方、暮らし方』を考え、次世代に夢を託し活気ある未来の建築活動への一助にしたい」旨の開会挨拶をいただいた。また、女性交流会の公式行事化に尽力をいただいた児玉耕二日本建築士事務所協会連合会(日事連)会長より、「女性交流会が発足したが大切なのは継続すること、そして今後の成果を期待する」との挨拶があった。その後20の単位会からの女性参加者59名(年齢層30代から80代)とオブザーバー6名が紹介された。
ワークセッション
 交流会テーマは「10年後の働き方、暮らし方をデザインしよう!」。発足したばかりの女性交流会を繋げるためにも、全体での議論よりも話しやすく意見交換できる場を目指し、短時間で交流できるワールドカフェ方式とした。最初に、東京会の働き方改革推進ワーキンググループが発行した冊子『働き方改革推進レポート|ニューノーマルの働き方に向けて』で2回行った働き方活躍支援懇談会「女性から見た建築士事務所運営」、「Withコロナからの再生・どんな働き方をデザインするのか」について説明の要請をいただいた。そこで懇談会での意見や課題、そして男女共「無意識のバイアス」の思い込みの障壁が社会にまだあり、意識改革が必要なこと、アンコンシャスバイアスの他業界研修事例も紹介した。
 ワールドカフェは、各テーブル4名で、15分間のディスカッションごとに皆が別テーブルへ3回移動し、机上の模造紙に各自が意見や移動により得た他テーブルの情報を書き、議事録はなく、ひとりが28名の意見に短時間で触れられる。この安心できるカフェスタイルが功を奏し、初対面とは思えないほどに皆が活発に思いを互いに伝えた。私のテーブルでは若い世代から共働共育モデル情報が少なく不安が多い、シニア世代から若い世代の働き方や暮らし方の考えをもっと聞きたい、異業種交流への期待等の話が出た。共感できることや気づきも多く、有意義な時間であった。カフェ後に未来の自分に向けてメッセージを記し、カプセルに思いを詰め持ち帰った。テーマ「私たちの伝えていきたいこと」は「社会に向かってジェンダーの枠も超え、未来の建築活動へ夢を発信し続けよう」となり、次回開催地の福井へと繋がれた。
総括
 女性事務所会員が少数で青年と合同の単位会や、女性部会のある単位会、女性部会はなく女性全会員が全委員会に参加し視野拡大を計る会などさまざまで、先のレポート紹介時に、東京会では諸先輩の頃からジェンダー枠をつくらないスタンスのもと、働き方改革WGや委員会、支部等で少なからず女性が活躍している。たとえば日事連60周年記念誌委員会で楽しく見やすい紙面づくりに鈴鹿美穂台東支部長が尽力していて、『コア東京』の連載で参加3支部の女性会員が担当した「支部リレー東京まち歩きMAP」のコピーを配布したところ、ガイドブックと違うまち案内だと好評だった。
 参加メンバーの感想は、「女性交流会は、年に1回全国から集まって交流するだけでも、じゅうぶん有意義」、「女性交流会があると参加の機会が生まれ全国に輪が広がる」、「女性が出てくることの成果により各単位会に新しい動きが生まれることへ期待」と継続されることを願ってる。また「東京会の中でさえ女性の活動があまり見えてない」の意見もあり、現状を認識する必要があることから、参加メンバーが実行委員となり2月9日「女性交流会」開催の企画をして皆さまに案内した。
 この機会に女性建築士事務所会員や会員事務所の女性スタッフの見える化とネットワークづくりへぜひ参加ください。この先、いい形で女性が活動できるよう願っています。
横村 隆子(よこむら・たかこ)
東京都建築士事務所協会常任理事・足立支部、一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計 1955年 東京生まれ/1977年 日本大学理工学部建築学科卒業/1996年 一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計開設