国および東京都からの回答
東京都建築士事務所協会およびTARC(東京建築設計関連事務所協会協議会)の要望書に対して
 当会は、(一社)東京構造設計事務所協会、(一社)東京都設備設計事務所協会および(一社)日本建築積算事務所協会関東支部の3団体と共同して、令和4(2022)年10月6日に国に対し要望書を提出すると共に、令和4(2022)年9月9日および9月13日に東京都に対し要望書を提出しました。 各要望理由は、『コア東京』2022年10月号および2022年11月号並びに「コア東京web」に掲載しました。
令和5年度国家予算、税制改正等に関する要望の回答について
自由民主党東京都支部連合会
会長|萩生田 光一 政調会長|平 将明

要望1:令和2年4月に改正意匠法が施行され、建築物・内装の意匠登録が出来るようになりました。建築の「意匠」を創作者の権利として保護しようという、この新しい制度の今後の定着と発展を目指して、特許庁など関係行政庁と、建築設計関連団体との間の定期的な懇談の場を設けていただきたく、要望いたします。

回答:
○令和元年の意匠法改正によって、「建築物」が新たに意匠法の保護対象に加えられたことに伴い、特許庁はこれまでも一部の建築設計関連団体(※)の方々と法改正の内容及び施行後の審査等について、意見交換等を実施してきたところ。
※建築士関係団体
 (公社)日本建築士会連合会(士会連)
 (一社)日本建築士事務所協会連合会(日事連)
 ※(東京都建築士事務所協会も会員としてご所属)
 (公社)日本建築家協会(JIA) 知的財産協会(JIPA)
 建設部会建材意匠懇話会
〇今般、東京都建築士事務所協会から、建築物・内装の意匠権に関する定期的な懇談の実施について、ご要望をいただき大変光栄。新法の施行から約3年が経過し、建築物に関する様々な登録事例も出てきていることを踏まえ、具体的な審査の運用や、ユーザーの皆様からのご要望、ご不明点等について、特許庁と貴協会の皆様との間で積極的に意見交換をさせていただければ幸い。今後の早期の意見交換の実施について特許庁から貴協会へ連絡し、日程調整等をさせていただきたい。
〇ご要望をいただいた後、昨年10月14日に、特許庁の意匠課長から東京都建築士事務所協会に意見交換を実施するためのご連絡を差し上げた。その際、ご担当者からは、ご要望受け入れへの感謝と共に、関連する団体のご要望等をとりまとめてから改めて特許庁へ連絡するとのお返事をいただいたところ。先方からのご連絡があり次第会合を開催する予定。

【担当国会議員(山田美樹衆院議員)からのコメント】
○改正意匠法について、制度を利用されるお立場からフィードバックやご提案をいただけることは、行政側にとっても有難い機会だと拝察します。
○関係団体のご意見を取りまとめていただき、ぜひ積極的なご意見やご提案をよろしくお願いいたします。


要望2:既存建築物の改修設計の業務内容は建物用途や改修目的によって大きく違い、千差万別であり、発注者と受託者が共通した理解のもとに業務を遂行することが困難な場合も少なくありません。業務ビルや病院施設、共同住宅などの代表的な建物用途について、業務区分(調査、基本計画、基本設計、実施設計、工事監理)毎に業務内容を明示した標準仕様書の策定をご検討いただくと共に、各設計業務の業務報酬基準を設定していただきたく要望いたします。
 さらに、適正な設計業務期間の策定、並びに改修内容・範囲の変更が生じた場合は業務期間の延長についてもご配慮いただきたく要望いたします。

回答:
○現在、「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成31年国土交通省告示第98号)」について、中央建築士審査会及び基準検討委員会(※)において改正を検討しているところです。
※1 建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成31 年国土交通省告示第98号)検討委員会
○ご指摘の改修設計業務に係る業務報酬基準については、当該審査会および委員会において検討課題としていますが、標準的な業務の設定が難しいなど多くの課題が示されているところです。
○なお、発注内容等は個々の契約に基づいて決まるものであり、改修設計に限らず、国として標準的な発注仕様書を定めることは困難と考えています。

【担当国会議員(山田美樹衆院議員)からのコメント】
○業務報酬基準については、昨今の賃上げの流れに鑑み、不当に低いことがないよう、基準検討委員会等の議論を注視してまいります。
○標準仕様書の策定については、国として標準的な発注仕様書を定めるのは難しいとしても、トラブルの類型を整理していくことで、必要な対策を検討していくことが可能だと考えます。引き続き、問題のあった事例や全体的な傾向について情報収集を進め対策を講じていくことを、行政に強く申し入れてまいります。
令和5年度東京都予算に対する要望について
東京都議会自由民主党
幹事長|三宅 正彦 政調会長|菅野 弘一

要望1:木造住宅で、昭和56年6月から平成12年5月までの間に建てられた住宅の耐震性能を確保し、安全で安心できる都市生活の実現のために、東京都において木造住宅(「グレーゾーン住宅」)への耐震助成制度を創設するとともに、都内の各区市町村における現行耐震助成制度の拡充を強力に指導していただくよう、要望いたします。

回答:
 都は、住宅耐震化を促進するため、所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に、戸建住宅等への助成を行っており、令和3年度からは助成額の引上げやこれまで助成の対象外としていた整備地域外における除却工事を助成の対象とするなど、制度の拡充を図っています。
 さらに、都民の生命と財産を守り、地域の防災性を向上させるため、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅についても令和5年度から耐震化の支援を開始します。
 今後も区市町村と連携して耐震化に取り組んでまいります。
令和5年度予算額
住宅の耐震化のための助成制度 565,214千円
(都市整備局)


要望2:学校施設の教室環境においては換気状況が建築物環境衛生管理基準に照らして必ずしも適正な状態にあるとはいえず、コロナ禍の中で環境改善に向けた対策は喫緊の課題となっています。教室環境の改善に向けた実態調査の実施を要望いたします。また、この実態調査の実施にあたっては私共協会も積極的協力をする用意があり、一括のご下命を要望いたします。

回答:
 各私立学校の学校施設及び教室環境については、学校保健安全法等の関係法令等に基づき、学校及び学校設置者の責任で維持管理等に努めています。教室環境調査の実施も、各学校及び学校設置者により判断されるものです
(生活文化スポーツ局)
 都立学校では教室のドアと窓の常時開放やサーキュレーターを使用した強制換気を行い、CO2測定器により換気状況を確認するとともに、ビル管理技術者又は学校薬剤師により定期的な検査を実施し、効果的な換気に努めています。
 都立学校の新築・改築時には、施設規模を問わず建築物衛生法の求める換気の基準を満たすよう、十分な機能を備えた空調設備等の整備を進めています。
(教育庁)


要望3:既存建築物の改修設計の業務内容は建物用途や改修目的によって大きく違い、千差万別であり、発注者と受託者が共通した理解のもとに業務を遂行することが困難な場合も少なくありません。業務ビルや病院施設、共同住宅などの代表的な建物用途について、業務区分(調査、基本計画、基本設計、実施設計、工事監理)毎に業務内容を明示した標準仕様書の策定をご検討いただくと共に、各設計業務の業務報酬基準を設定していただきたく要望いたします。
 さらに、適正な設計業務期間の策定、並びに改修内容・範囲の変更が生じた場合は業務期間の延長についてもご配慮いただきたく要望いたします。

回答:
 既存建築物の改修設計においては、実施設計に先立ち与条件の整理が必要なものは基本設計を行うとともに、詳細な現地調査が必要なものは具体的な調査方法を仕様書に明示し発注しています。
 また、令和3年度から、仕様書に当該業務の標準業務時間数を明示し、業務量の目安を把握できるよう改正しています。
 業務期間については、改修内容・範囲を踏まえ、完了した類似案件等を参考に適正な設計期間を設定しています。
 また、改修内容や範囲などの発注者による要件変更、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、想定外の事由により設計期間が確保できない場合には、工期変更を行っています。
(財務局)


要望4:既存建築物の改修設計に係る積算業務の発注においては、改修設計業務の終末工程となる積算業務の適正な業務期間を確保いただきたく要望いたします。
 さらに、既存建築物の改修設計においては事前の現状把握が難しいため、詳細な現地調査や改修設計の内容変更が生じる事例も少なくありません。改修内容・範囲の変更が生じた場合は業務期間の延長並びに積算業務報酬についてもご配慮いただきたく要望いたします。

回答:
 設計業務委託に関しては、契約後、受注者が提出した業務工程表を確認し、積算作業工程も含め、工程を管理しています。
 また、改修内容や範囲などの発注者による要件変更、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、想定外の事由により設計期間が確保できない場合には、工期変更を行い、必要に応じて委託料変更を行っています。
 引き続き、積算期間も考慮した工程管理を行うほか、適切な工期設定や工期・委託料の変更など対応を行っていきます。
(財務局)