VOICE
牧村 和紀
在宅勤務や外出自粛など、生活環境が変わってから数年経ちますが、昨年ぐらいから「久しぶりの〇〇」という言葉を聞く機会が増えてきています。久しぶりに「誰かに会う」、「何処かへ行く」、「イベントに参加する」など。
私も昨年は久しぶりにスポーツ観戦やコンサート鑑賞に行きました。感染防止対策のため、声を出しての応援・声援はなしなど、まだこれまで通りの楽しみ方はできないものの、実際にその空間にいて観たり、聴いたりしないとできない体験は、やはりいいものだなと再認識することができました。
また、年明けにはこちらも久しぶりに少し長めの旅行に行きました。今回の旅行で訪れた名所のひとつは姫路城。平成5年12月、奈良の法隆寺とともに日本で初の世界文化遺産となったこの城ですが、城の美しさは1羽の白鷺(しらさぎ)に喩えられて「白鷺城」とも呼ばれ、姫路駅から広がるその光景は圧巻。天守を中心に堀や土塀をらせん状に配し、敵を惑わす迷路のような設計となっていて、天守に向かうまで道のりは不思議で楽しい体験でした。旅行では、できる限り歩いて行動する「まち歩き」をするように心掛けています。予測していなかった発見とのふとした出会いが、旅の思い出を楽しく豊かなものしてくれます。
行動範囲が狭まっていた中、久しぶりに電車に乗って遠くの街を訪れ、観光をして、その土地の美味しいものを食べる。まだこれまで通りにできない部分もありますが、こういった機会がもっと増えるといいなと思える時間でした。
これまで普通にできていたことが、この数年で大きく様変わりしました。「久しぶり」で実感する「当たり前の日常の大切さ」と、世の中の状況によって起こる「変化」。この両方が楽しめる様になれればいいな、と思いつつ日々過ごしています。
牧村 和紀(まきむら・かずき)
東京都建築士事務所協会会誌専門委員会委員、株式会社日建設計
1971年 東京生まれ/1994年 多摩美術大学美術学部建築学科卒業/卒業後、設計事務所に入所。その1年後渡英/ 1999年 AAスクール卒業/2001年 株式会社日建設計入社、都市開発部門を経て、現在 広報室に所属
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