テクノロジー+ 第17回
リサイクルトナー技術資料
安藤 雅弘(株式会社地球屋)
リサイクルトナーとは
 リサイクルトナーとは、使用済みのトナーカートリッジを回収し、パーツのクリーニング、傷んだ部品の交換、トナー充填などの再生作業を施し、リサイクルトナーとして再利用するものです。
 純正品のトナーの半分以下の価格で購入できるだけでなく、カートリッジ容器やパーツを複数回使用することで、廃棄物を減らし、CO2の削減にも貢献できます。
リサイクルの工程
1. 回収品チェック
 回収されたカートリッジが、再生可能かチェックします。
 可能なものは再生へ、破損や劣化のあるものは分解し、素材ごとに分別されて次のエネルギーへと再生されます。
2. 分解・清掃
 弊社既定の再生工程に沿って、分解・清掃されます。
 専用の集塵設備でトナーを除去し、溶剤で徹底的に洗浄していきます。
3. 組立・部品交換・充填
 既定の手順に従って組み立てていきます。
 劣化している部品があれば、新品と交換します(トナーの場合は、組立後に規定量のトナーを充填します)。
4. 印字テスト
 組み上がったカートリッジはすべて、実機で印刷テストを行います。数種類のテストを完全に通過したカートリッジのみが、製品となります。
5. 出荷梱包
 最終チェックを厳重に行い、清掃とパッケージをし、保証書を同封して商品となります。
パーツの役割と再生技術
A4カラー文書 ISO/IEC24712(複数文書の連続印刷)
リサイクルトナー印字枚数について
 「リサイクルされたトナーが安いのは、純正品に比べて印字枚数が少ないから」といった認識がされている場合がありますが、これはまったくの誤解です。
 再生トナーに充填されているのは、純正品トナーとまったく同じものではありませんが、同等の品質を持つ、信頼できるものです。これを、自社再生工場にてISO*規格に基づいた印刷テストを行い、純正品と同等の枚数が印字できるようテストを重ね、基準を満たしたトナー量が算出・充填され、製品となっています。
* ISO:国際標準化機構
 (International Organization for Standardization)
リサイクルによる廃棄物削減効果
 2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減、吸収作用の保全および強化をする必要があります。
 温室効果ガスの中でCO2は代表的なガスであり、総排出量のうち91.4%を占めています。化石燃料の焼却による発生が84.9%で、温室効果ガスの排出削減の取り組みでは、このCO2の排出削減が重要視されます。
 リユース、リデュースを促進し、廃棄物を削減する取り組みにリサイクルトナーを選んでみてはいかがでしょうか。
安藤 雅弘(あんどう・まさひろ)
株式会社地球屋代表取締役
1972年 岡山県倉敷市生まれ/1999年9月有限会社地球屋設立/2009年 現株式会社地球屋に組織変更/2022年 千葉県習志野市に東京営業所開設