社労士豆知識 第59回
業務改善助成金(通常コース)を活かして、生産性UP!
豊田 雄介(とよだ社労士オフィス、特定社会保険労務士)
表①
通常コースの概要
 業務改善助成金は、賃金引上げに際しての負担を軽減することにより最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ることを目的としており、通常コースでは、「事業場内で最も低い賃金」を一定額以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)などを行った場合に、その費用の一部を助成するものです。
支給対象となる取り組み
(1)賃金引上げ計画を策定すること。
 雇入れ後3カ月を経過した労働者のうち、事業場内で最も低い時間当たりの賃金額(以下、「事業場内最低賃金」という)を表①のコース区分ごとに定められた引上げ額以上に引き上げるとともに、就業規則等でその引上げ後の賃金額を事業場で使用する労働者の下限の賃金額とすることを定める必要があります。
(2)生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等を行い、その費用を支出すること。
対象となる事業場
(1)サービス業であれば、①資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の法人であるか、②常時使用する企業全体の労働者数が100人以下である中小企業事業者であること。(他の業種は、厚労省HPでご確認ください。)
(2)日本国内の事業場で所属する労働者が100人以下であること。
(3)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること。
助成額及び助成率(生産性要件=労働者付加価値増)
 支給対象となる取り組みの(2)で要した費用に、表①で定める助成率を乗じた額、または次表の人数に応じて定める上限額の、いずれか低い額を支給します。
事業場内最低賃金の引上げ
(1)すべての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
(2)賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。
(3)事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。
不交付要件
 ある一定の期間に、労働者を解雇したり、賃金額を下げたり、労働関係法令に違反して司法処分となったり、労働保険料を支払っていなかったりすると、交付の対象となりません。(他にもいくつか要件があります。)
対象となる経費
 生産性向上、労働能力の増進に資する設備投資であって、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、機械装置等購入費、造作費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、委託費に対して行われます。
手続きの流れ
 申請書・計画等を所轄都道府県労働局に提出→交付決定後、事業実施→労働局に結果を報告→支給

 申請期限は令和5年1月31日、事業完了の期限は3月31日です。令和4年11月30日現在の情報ですので、詳しくは、所轄労働局、または助成金を扱う社労士にご確認ください。
豊田 雄介(とよだ・ゆうすけ)
とよだ社労士オフィス代表、特定社会保険労務士
1975年 埼玉県草加市生まれ/1997年 明治大学商学部卒業/4社で20年余り、企業の人事部門に勤務し、現在、台東区台東にて開業中。就業規則の作成・改定を得意としている。
カテゴリー:建築法規 / 行政
タグ:社労士