年頭のご挨拶
児玉 耕二(東京都建築士事務所協会会長、一般社団法人日本建築士事務所協会連合会会長、江東支部、株式会社久米設計)
 あけましておめでとうございます。
 会員の皆様並びに賛助会員の皆様におかれましては日頃より当協会の活動にご協力いただき感謝申し上げます。
 コロナ禍はなかなか収束とはいきませんが、社会経済活動は感染予防をしながら次第に活発になってきています。当協会でも関係の皆様のご理解ご協力を得て、昨年6月には定時総会を明治記念館において対面形式で挙行し、また9月には3年ぶりに建築ふれあいフェアを開催することができました。当協会にとって重要な行事が無事実施できたことは関係の方々のご理解と会員の皆様の積極的協力の成果であり大変喜ばしく、意義深いものがあると思います。
 一方でコロナ禍をきっかけとしてさまざまな課題が顕在化し変化対応が加速される中、設計業務も働き方も大きな変革を求められています。中長期的視野に立っての業務改革や協会活動のあり方など見直し検討する必要があり、これらの課題にも積極的に取り組んでまいります。
 当協会では都議会や国会議員に対する予算要望を毎年続けています。昨年は旧耐震建築物の耐震改修助成をいわゆるグレーゾーン住宅にも拡大する要望を行い、都議会でも取り上げられ実現に向けて一歩前進できました。今年も都に対する具体的な要望を伝え都政での実現に結びつけたいと考えています(グレーゾーン木造住宅報告書参照)。
 いま国を挙げて「カーボンニュートラル2050」を目指してのグリーン化が促進されています。われわれの業界においてもZEB、ZEHの実現や省エネ推進の加速が求められており、省エネの徹底普及が急がれるところです。身近なところから地球環境保全につながることまで積極的にグリーン化を推進して参ります。
 また建築設計界では今後BIMの進展や業務のデジタル化が急速に進み常態化すると思われます。事務所内外含めての業務改善や業務チームの構成の仕方等が変化しつつあり、業務革新や業務開拓のためにも、当協会の未来に向けてのデジタル環境の整備とともに、さまざまなネットワークの構築拡大に注力してまいります。
 東京建築賞は昭和49(1974)年に始まり、今年で49回目となります。堅実で建築の質の向上と地域のまちづくりに寄与する作品が選ばれ顕彰されてきています。応募作品は建物の規模用途も設計者の年代も、さらに関東甲信越地域全域に及ぶ立地環境も多種多様です。特に最近は脱炭素社会への提案や木材活用の作品が増え、若い人の応募も目立っており、歓迎すべきことです。今後さらに地域貢献し情熱溢れる作品が増えることを期待しています。
 青年部会の活動も活発に行われており、当協会内部での活動に加え、7月には活動報告会をWebで開催して全国の単位会青年部会に発信し、9月の熊本での話創会では活動事例を紹介して全国の青年部会のリーダー的な役割も果たしています。今年は関東甲信越ブロックを巻き込んだ活動の展開が期待されています。
 ポストコロナの意味も含め大きな転換点では中長期な視点で考えることも重要です。昨年から総務財務委員会で当協会の財務に関わる中長期ビジョンの検討や予算方針の作成に着手しました。また、日事連では創立60周年を機に次の10年を見据えて「60周年に“あるべき姿”を求めて」をテーマに建築設計界の未来を考え、議論を始めています。コロナ禍においても先を見据えて事務所協会の活動は着実に前進しており、先輩の方々が築かれた当協会への信頼を礎に、更なる当協会の発展に努めてまいります。
 これらの施策の推進や活動活性化には会員の皆様の理解と協力が不可欠であり、これからも積極的協力と叱咤激励をお願いします。
 結びに、皆様のご活躍とご健康を祈念申し上げ、私の年頭の挨拶といたします。
児玉 耕二(こだま・こうじ)
東京都建築士事務所協会会長、江東支部、株式会社久米設計
1951年 宮崎県生まれ/東京大学大学院修士課程修了/1976年株式会社久米設計入社/同取締役副社長を経て現在、同顧問/2017年 一般社団法人東京都建築士事務所協会会長/2020年 一般社団法人日本建築士事務所協会連合会(日事連)会長