世田谷支部技術研修会 「すみだパークプレイスⅡ」見学会
世田谷支部|令和4(2022)年8月20日(土)@墨田区横川一丁目
鈴木 紘子(東京都建築士事務所協会世田谷支部、(株)MMAAA)
東京スカイツリーを望む屋上バーベキューテラス。(撮影:筆者)
幾何学的な木製タイル。
6階レストラン。
6階よりフットサルコートを見下ろす。
5階フットサルコート。
5階フットサルコートでの参加者の記念撮影。
 今回の技術研修会は墨田区横川に建つ複合施設「すみだパークプレイスⅡ」を見学した。参加者は当日13時に現地に集合し、施設全体の基本設計と監修をされた尚建築工房の佐賀井尚さん、実施設計と施工を担当された岡建工事株式会社の担当者おふたりに施設概要を説明していただいた。
 「すみだパークプレイスⅡ」はその名の通り、隣接した敷地に建つ平成29(2017)年開業の「すみだパークプレイス」(2と同じく複合施設。建築面積1,000㎡程度)の2号店である。「周辺地域に密着した新たな賑わいづくり」を目指した施設だそうだ。近隣にはダンススタジオ、劇場もあり、辺り一帯が墨田区の文化活動の拠点となっているようだった。
 参加者は施設概要の説明を受けた後、1階から順に、6階、屋上、地下1階駐車場の順に内部を見学した。1階から4階はトラックヤード、スタジオ、医療系の店舗、演劇練習スタジオ、倉庫等であり、建物規模による基準法上の排煙や区画の処理に関し非常に苦心されたそうだ。
 5階のフットサルコートは2層の吹き抜けとなっており、6階のレストランからコートの様子を見ることができる計画である。白線がフットサルコートの国際規格であり、この寸法から建物外形を決定されたそうだ。最上階で、かつ天井高が3mを超えると梁の耐火被覆は不要となるという法的な解説もうかがった。
 コートの床仕上げは十分な強度とクッション性を担保するため、下からダンパー、置き床、パーチクル、ベニヤ、ゴム、ベニヤ2層、クッション、の7層構成となっていた。プロのフットサル選手とともに適切な使用感となるよう検証を重ねられたそうだ。
 6階のレストランには、スポーツ関連のスペースや稽古場が併設されていることから、表彰や発表、スポーツ観戦の場としても使用できるよう客席の奥に袖付きの舞台と大きなスクリーンが設けられており、複合施設ならではの工夫が随所に施されていた。
 内装には国内初採用というポーランド産の幾何学的な木タイルや、木にしか見えないクロス等、普段目にすることのない素材が採用されており遊び心を感じる仕様であった。
 屋上のバーベキューテラスはスカイツリーが一望できる非常に開放的な場所となっていた。
 熱波激しい天候であったが、多数の参加者と共に複合施設のあり方や設計におけるポイント等について意見交換を行うことができ、たいへん有意義な見学会となった。

■すみだパークプレイスⅡ
所在地:墨田区横川1-1-10
建築面積:1,968.30㎡(595.41坪)
延床面積:11,070.07㎡(3,348.69坪)
構造:鉄骨造(一部SRC造)
階数:地下1階、地上6階
各階使用用途
 地下1階:駐車場
 1階:倉庫、トラックヤード、店舗、エントランス
 2階:店舗、レンタルスペース、倉庫
 3階:演劇練習スタジオ、倉庫
 4階:演劇練習スタジオ、倉庫
 5階:フットサルコート
 6階:レストラン
 屋上階:バーベキューテラス
基本設計・設計監修:一級建築士事務所有限会社尚建築工房
実施設計・施工:岡建工事株式会社
鈴木 紘子(すずき・ひろこ)
東京都建築士事務所協会世田谷支部、(株)MMAAA
1996年 京都生まれ/2014年 千葉大学工学部建築学科卒業/現在、(株)MMAAA