支部リレー東京まち歩きMAP②:台東支部
谷中、寺町めぐりMAP(台地エリア)
文:鈴鹿 美穂(東京都建築士事務所協会台東支部、川島鈴鹿建築計画)
写真・MAP制作:大平 孝至(東京都建築士事務所協会会誌専門委員会・台東支部、株式会社ダイリン一級建築士事務所)
 台東区には上野、浅草という、日本を代表すると言ってもいいほどの名所がある。のみならず、ここ数年は蔵前も、感度の高い店が集まるエリアとして注目が集まり、土日は観光地の様を呈している。今回ご紹介する谷中も、街の散策が楽しいエリアとして「谷根千」(谷中、根津、千駄木)の名もあるように、世代を超えて人気を集めていることはご存じの通りである。
 台東区は自転車での移動で事足りるほど小さな区で、ほとんどが平坦な土地だが、谷中地区はかなりの高低差がある。江戸時代から寛永寺を囲んで寺が多く、現在に至る寺のまちである。細い路地に民家が並び、木立も残る懐かしい風情が、谷中の魅力となっている。
 台東区はこの街の魅力の保持と、木密地域の課題解決の両立に苦心している。台東支部としても、このふたつの課題とは向き合わなければならない。そのような動きの中で、谷中地区担当である台東区地域整備第三課から講師を招いての、谷中まち歩き研修を行うことになった。
 谷中をさらにふたつの特色で分け、そのひとつ台地エリアの「寺町」に今回の散策コースがある。寺、路地、町家など、「谷中らしさ」と聞いて人びとが思い浮かべるエレメントが残る、谷中を知るにはまずここを歩くといい、というコースである。まち歩き研修では2時間程度で散策した。
 地図には次回紹介する低地エリアの「谷中、路地めぐり」のコースも記載した。下町の路地を巡るまち歩きのおもしろさがあるので、こちらもぜひ歩いていただきたい。
①上野桜木会館。保養施設として使用されていた明治末建築の民家。
①上野桜木会館。耐震診断後に2階を減築。台東区が所有し集会所に活用。
②桜緑荘。大正建築の民家に魅せられた住人が住みつつ管理。一部を開放。
③カヤバ珈琲。大正5年築の町家。昭和13年から喫茶店を営業。
④吉田屋酒店。明治43年築の商家建築を、谷中6丁目から移築。
④吉田屋酒店内部。内部には酒屋の道具などが展示されている。
⑤SCAI THE BATHHOUSE。昭和26年築の銭湯をギャラリーに改修。
⑥あたり。昭和13年築の3軒の町家。店と工房をつなぐ路地。
⑥あたり。昭和の路地に迷い込んだかのような場所。
⑦大名時計博物館。昭和26年に設立。和時計コレクションを展示。
⑧三崎坂(さんさきざか)にある町家を改修したカフェ猫衛門。
⑧三崎坂の町家、御菓子司 荻野(左)と花定。右は初音六地蔵。
⑨花重。谷中霊園前の花屋。明治10年築の国の登録有形文化財。
⑩ふじむらや。明治8年に建てられた墓地茶屋。
⑪のんびり屋(「間間間」さんけんま)。町家が店として再生されている事例。
⑫すぺーす小倉屋。大正5年築のもと質店。台東区が蔵と店の保存を計画。
⑬観音寺築地塀。赤穂浪士ゆかりの寺。築地塀は幕末頃。
⑭朝倉彫塑館。昭和10年築の朝倉文夫のアトリエ、住まい。登録有形文化財。まち歩き研修参加者とともに。
⑮未来定番研究所と吉川錻力(ブリキ)店。谷中らしい町家が隣り合う。
⑯初音小路。細い路地に小さな店が並ぶ。ここを抜けて、日暮里駅がゴール。
鈴鹿 美穂(すずか・みほ)
建築家、東京都建築士事務所協会台東支部、川島鈴鹿建築計画共同代表
1966年 神奈川県生まれ/1989年 東京家政学院大学卒業/1999年 川島鈴鹿建築計画設立
大平 孝至(おおひら・たかし)
東京都建築士事務所協会会誌専門委員会・台東支部、株式会社ダイリン一級建築士事務所
1984年 東京電機大学建築学科卒業/株式会社ダイリン一級建築士事務所勤務。マクドナルド、松屋、鳥貴族等、チェーン展開の飲食店の建築設計及び店舗デザイン設計をする
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