東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
設計|鹿島建設、久米設計
第49回東京建築賞|一般部門二類 優秀賞
東側外観。
  • 東側外観。
  • 立体広場「スキップテラス」全景。右側に浜松町駅から竹芝埠頭に延びる歩行者デッキがある。*
  • 6階オフィスロビー前の屋上庭園。
  • 6階オフィスロビー。
  • 配置図
  • 断面図
建築主:
東急不動産株式会社、鹿島建設株式会社
表彰建築士
事務所:
鹿島建設株式会社一級建築士事務所
株式会社久米設計一級建築士事務所
施工:
鹿島建設株式会社
所在地:
東京都港区海岸1-7-1
主要用途:
事務所、展示場、集会場、店舗
構造:
S造(CFT)、地下部:SRC造
階数:
地上40階、地下2階、塔屋1階
敷地面積:
12,156.65㎡
建築面積:
9,558.24㎡
延床面積:
182,052.01㎡
竣工:
2020年5月
撮影:
川澄・小林研二写真事務所、*新建築社写真部
設計趣旨:
 東京ポートシティ竹芝は、東京都公募による「都市再生ステップアップ・プロジェクト」と呼ばれる官民連携の再開発事業である。竹芝地区は、浜松町駅の至近に位置し、近傍には東京湾(竹芝ふ頭)、旧芝離宮恩賜庭園、浜離宮恩賜庭園といった豊かな海と緑を有しながらも、首都高速による浜松町エリアとの往来の難しさ、更新時期を迎えた都有施設の集積により、まちの魅力を十分発揮できずにいた。
 そこで、浜松町駅から竹芝ふ頭までを全長500mの歩行者デッキでつなぎ、新たなビジネス拠点となるオフィスタワーには海へ向かう緑豊かな立体広場「スキップテラス」を設けた。ワークプレイスとしての利用に加えて、産業貿易センターの展示場や、飲食店舗、エリアマネジメント拠点等がテラスに面し、さまざまな官民連携による賑わいの創出と竹芝地区の活性化を目指した。
 この開発が起点となり、周辺地区の建て替えも促進され、竹芝地区の人の流れは変わってきている。
(浅見 邦一、渡部 茂)
浅見 邦一(あさみ・くにかず)
鹿島建設建築設計本部建築設計統括グループリーダー
1963年 東京都生まれ/1987年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1989年 同大学院理工学研究科建設工学修士課程修了後、鹿島建設入社/現在、同社建築設計本部建築設計統括グループリーダー
渡部 茂(わたべ・しげる)
鹿島建設建築設計本部建築設計統括チーフアーキテクト
1976年 北海道生まれ/1999年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/2001年 同大学院理工学研究科建設工学修士課程修了後、鹿島建設入社/同社建築設計本部建築設計統括チーフアーキテクト
選考評:
 東京都公募の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」という官民連携による再開発プロジェクトである。東京都から70年間定期借地で借り受けた1.2万㎡の敷地に、地下2階、地上40階建てのオフィスタワーと、地上18階建てのレジデンスタワーからなる総延床面積18万㎡の大規模複合施設である。
 浜松町駅から首都高速を跨いで、竹芝駅、竹芝埠頭に至る全長500mの歩行者デッキも整備され、オフィスタワーの低層部にはイベントホール、飲食店舗、都立産業貿易センター、多目的スタジオ、会員制シェアオフィス等が配置され、6階のオフィスロビーを介して、高層部には大手IT企業の本社が入居している。
 低層部の8層のステップテラスには緑豊かなにぎわいの立体広場が創出され、生物多様性保全に関するさまざまな取り組みも行われている。高層部のファサードは海に対して大きく開き、旧芝離宮恩賜庭園、浜離宮恩賜庭園と調和する横基調の端正なデザインとなっている。また、環境・社会への配慮に対してDBJグリーンビルディング認証の最高ランクも取得し、多様なアクティビティを生み出す官民連携のエリアマネジメント活動など、竹芝地区の魅力あるまちづくりに貢献している。
(伊香賀 俊治)
伊香賀 俊治(いかが・としはる)
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授
1959年生まれ/早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了/(株)日建設計 環境計画室長、東京大学助教授を経て、2006年より現職/専門分野は建築・都市環境工学/博士(工学)/日本学術会議連携会員、日本建築学会副会長