國學院大學 総合学修館(6号館)
設計|日建設計
第47回東京建築賞|一般一類部門優秀賞
南東より俯瞰する。南側は神社。
  • 南東より俯瞰する。南側は神社。
  • 教室から学習ラウンジを望む。
  • 断面図
  • 光環境シミュレーション
  • 温熱・風環境シミュレーション
  • ダイアグラム
建築主:
学校法人國學院大學
設計:
株式会社日建設計一級建築士事務所
施工:
松井建設株式会社
所在地:
東京都渋谷区東4-10-28
主要用途:
大学
構造:
SRC造、一部S造
階数:
地上3階、地下2階
敷地面積:
773.07㎡
建築面積:
462.44㎡
延床面積:
1,993.02㎡
工事期間:
2017年4月〜2019年3月
撮影:
島尾 望|エスエス
設計趣旨:
 都心の神社と住宅地の狭間に立つ大学の「離れ」の計画である。
 周辺は神社の氏子町としての歴史的背景を手掛かりに豊かな環境を築き上げている。
 この「大きな環境」とともに、住宅地の更新の履歴も敷地が持つ「小さな環境」として大切にした。
 北側の住宅は、以前敷地にあった建物形状を前提に計画され、陽当りや風通し、境内の景色を取り込む小さな隙間が住民の生活に必要だとわかった。
 ここでは、かつての建物の輪郭をトレースした「雁行する壁」と「湾曲する屋根」により、学生のための居場所を「大きな環境」に開くと同時に、住宅地への陽当りや境内の樹々の景色をもたらす「小さな環境」を継承した。
 神社側の高さ制限をかわす「傾いた窓」は、樹々をより近く感じさせるとともに、自然換気によって中間期の空調負荷を抑制した。
 周辺環境を読み解く中で生まれた3つの建築要素を重ね合わせ、敷地周辺で育まれた環境に形を与える五感を刺激する学び舎を実現した。
(浦 俊弥、福井 貴英)
浦 俊弥(うら・としみ)
日建設計設計部門ダイレクター
1976年 東京都生まれ/1999年 工学院大学工学部建築学科卒業/2001年 同大学大学院修士課程修了/2001年 日建設計入社
福井 貴英(ふくい・たかひで)
日建設計設計部門シニアプロジェクトアーキテクト
1989年 兵庫県生まれ/2012年 早稲田大学創造理工学部建築学科卒業/2014年 同大学大学院修士課程修了/2014年 日建設計入社
選考評:
 都心の歴史ある神社と閑静な住宅地の狭間に立つ大学の「離れ」の計画である。敷地が台地の際という地形的背景や、神社の氏子町としての歴史的背景を手掛かりに、自然豊かな環境を築き上げている。この「大きな環境」をありのまま取り入れるとともに、敷地北側の住宅の陽当りや風通し、境内の樹々の景色を取り込む小さな隙間を確保するため、かつての建物の輪郭をトレースした「雁行する壁」と「湾曲する屋根」によって、学生のための居場所を「大きな環境」に開くと同時に、住宅地への陽当りや境内の樹々の景色をもたらす「小さな環境」を継承している。さらに、神社側の敷地境界際にあるふたつの高さ制限をかわす「傾いた窓」は、神社の樹々をより近く感じさせるとともに、境内からの自然換気によって中間期の空調負荷を抑制している。敷地周辺で育まれてきた環境を読み解く中で生まれた3つの建築要素である「雁行する壁」、「湾曲する屋根」、「傾いた窓」を直截的に重ね合わせ、周囲の環境に形を与える鋳型とすることで「五感を刺激する学び舎」を実現している点を評価した。(伊香賀 俊治)
伊香賀 俊治(いかが・としはる)
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授
1959年生まれ/早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了/(株)日建設計 環境計画室長、東京大学助教授を経て、2006年より現職/専門分野は建築・都市環境工学/博士(工学)/日本学術会議連携会員、日本建築学会副会長