つながるテラス – MADO TERRACE, DOMA TERRACE –
ビーフンデザイン+プラグ建築研究所
第46回東京建築賞|共同住宅部門優秀賞
中央にA棟。
  • 中央にA棟。
  • 西側街路より見る。A棟(左)とB棟(右)。
  • B棟1階 06週末カフェ。
  • B棟(左)とC棟(右)の間の「みち」。
  • 断面パース
  • 配置・1階平面図
建築主:
株式会社NICO
設計:
株式会社ビーフンデザイン一級建築士事務所
合同会社プラグ建築研究所一級建築士事務所
施工:
株式会社ジーエスビルド
所在地:
東京都江戸川区
主要用途:
新築長屋2棟+既存共同住宅改修
構造:
木造(新築2棟)
階数:
地上3階(新築2棟)
敷地面積:
355.05㎡(新築2棟合計)
建築面積:
170.59㎡(新築2棟合計)
延床面積:
501.74㎡(新築2棟合計)
工事期間:
2016年12月〜2019年4月
撮影:
平井 広行、*ビーフンデザイン
設計趣旨:
 子どものころ、商店街で食べたホクホクのコロッケ、友だちとキャッチボールした路地、そんなあたたかな空気感をつくりたい。私たちは敷地内に地域に開く住民主体型の「みち」を計画した。
 街への広がりと融和を目指し、同所有者3敷地を既存改修と新築を混在させた全体計画とし、新築2棟の工期をずらしつつ既存を随時改修する連続しながらゆっくりとした環境づくりを行った。建物は1階店舗+上階住居の住みながら働ける「半店舗アパート」とし「みち」に開くことで居住者と地域住民の関わりの場を生み周辺の活性化をもたらした。設計事務所が企画から管理まで一括して行い地域コミュニティのきっかけをつくり出した。
 すでにカフェ、焼き菓子教室、バーなど多様な人が入居し住民と地域の永続的なコミュニティが始まっている。今後、今計画に共感した人びとがそれぞれの場所で自発的に地域に開く場を広げていくことで、住民主体のまちづくりの原動力になればと思う。(進藤 強、千葉 健史)
進藤 強(しんどう・つよし)
ビーフンデザイン
1973年 兵庫県生まれ/1996年 京都精華大学美術学部デザイン学科建築専攻卒業/1998〜2002年 アーキテクトン/2001年 ビーフンデザイン共同設立/2004〜2007年 Boo-Hoo-Woo.com/2008年 ビーフンデザイン一級建築士事務所設立/2012年 株式会社ビーフンデザインに改称
千葉 健史(ちば・たけし)
プラグ建築研究所
1975年 東京都生まれ/1998年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業/1998〜2002年 竹山実建築綜合研究所/2002〜2005年 Techno 80.2Craft(共同設立)/2006〜2013年 竹山実建築綜合研究所/2013 〜2018年 プラグラボ(設立)/2018年 プラグ建築研究所一級建築士事務所に改称
選考評:
 この設計者は毎年のように刺激的な集合住宅の作品を応募してくる常連である。ぼくもかつてこの設計者設計の集合住宅の審査に関与したことがある。ところが、今年は趣向が少し違った。既存の集合住宅を改修し、さらに大きく増築したということだったのだが、単なる改修増築ではなかった。敷地内に「ロジ」をつくったのである。「ロジ」沿いの1階には地域の人びとのたまり場となるような店舗が入ることのできる店舗付き住宅を計画し、設計者がいわばプロモーターとなって該当する入居者を募ることで、活気のある「ロジ」づくりを主導している。「住まいに地域の人びとの居場所となるような小さな商業をドッキングさせることがエリアづくりにつながる」という新しいまちづくりの手法を実践している点で、この設計者が「次のステージ」に到達したことを感じさせる作品である。(渡辺 真理)
渡辺 真理(わたなべ・まこと)
建築家、法政大学デザイン工学部建築学科教授、設計組織ADH共同代表
群馬県前橋市生まれ/1977年 京都大学大学院修了/1979年 ハーバード大学デザイン学部大学院修了/磯崎新アトリエを経て、設計組織ADHを木下庸子と設立