ミナガワビレッジ
神本豊秋+再生建築研究所
第46回東京建築賞|リノベーション賞、一般一類部門優秀賞
建築主:
株式会社大一
設計:
株式会社再生建築研究所一級建築士事務所
施工:
株式会社ルーヴィス
所在地:
東京都渋谷区神宮前4-9-13
主要用途:
長屋(事務所兼用住宅)、喫茶店、物販店舗
構造:
木造
階数:
地上2階
敷地面積:
454.06㎡
建築面積:
238.32㎡
延床面積:
421.79㎡
工事期間:
2017年10月〜2018年7月
撮影:
長谷川 健太
設計趣旨:
表参道に建つ検査済証のない建物を4戸の長屋(事務所兼用住宅)とカフェ、フリースペース、庭からなる複合施設へ再生し、設計者が入居し運営を行っている。また現行法への適合や断熱改修を行い、さらに60年ぶりに検査済証を再取得し、不動産価値の向上にも寄与している。敷地内の4棟の既存建物と庭がつくる複雑で豊かな状況を一度すべて引き受け、法的に必要な是正などを逆手に取りつつ、既存建物の配置からオーナーの記憶に至るまでを引き継ぎ、多人格的でこれまでの時間の蓄積から切断されない建築を目指した。フリースペースは申請上店舗であるが半共用的に利用されており、さまざまな用途を横断した人が行き交う交差点として機能している。築山や外部空間に面した余白ある豊かな共用部を中心に入居者や来訪者によりさまざまな事業や関係性の創発がされており、地域と協働で成長していく施設を目指している。(神本 豊秋)
神本 豊秋(かみもと・とよあき)
東京大学生産技術研究所特任研究員、神本豊秋建築設計事務所主宰
1981年 大分県生まれ/2004年 近畿大学九州工学部建築学科を卒業後、2012年まで8年間青木茂建築工房に勤務/2012年 神本豊秋建築設計事務所を設立/同年より東京大学生産技術研究特任研究員(川添研究室)として、約100年ぶりの東京大学総合図書館の再生に従事。再生建築の研究を行う/2015年に株式会社再生建築研究所を設立/2018年より企画設計したミナガワビレッジにて入居運営を開始
東京大学生産技術研究所特任研究員、神本豊秋建築設計事務所主宰
1981年 大分県生まれ/2004年 近畿大学九州工学部建築学科を卒業後、2012年まで8年間青木茂建築工房に勤務/2012年 神本豊秋建築設計事務所を設立/同年より東京大学生産技術研究特任研究員(川添研究室)として、約100年ぶりの東京大学総合図書館の再生に従事。再生建築の研究を行う/2015年に株式会社再生建築研究所を設立/2018年より企画設計したミナガワビレッジにて入居運営を開始
選考評:
表参道周辺は、ハイスタイルのブランドが軒を連ねる表参道と、その両側に広がる住宅規模の商業施設と小規模オフィスビルのコントラストが、かえって不思議なアンバランスの魅力を醸し出している。ミナガワビレッジも表参道のすぐ裏にあったオーナー住宅とアパートの改修プロジェクトである。建て替えてしまったほうがプロジェクトの進行としてはよほど簡単だったろうが、この設計者は、建築家青木茂の元で学んだ「リファイン建築」を武器に、既存建物にこだわるという意思を鮮明にすることでプロポーザルに勝ち残った。それにしても、設計者の入念な調査作業により、一敷地一建物という大原則が1964年の東京オリンピック前には一時期緩和されていたことを突き止めたという大発見なくしてはこのプロジェクトは成立しなかったに違いない。設計者自らがキーテナントとなって竣工後もプロジェクトを牽引している点でも、新しいリノベーションのありかたを示すこととして評価したい。(渡辺 真理)
渡辺 真理(わたなべ・まこと)
建築家、法政大学デザイン工学部建築学科教授、設計組織ADH共同代表
群馬県前橋市生まれ/1977年 京都大学大学院修了/1979年 ハーバード大学デザイン学部大学院修了/磯崎新アトリエを経て、設計組織ADHを木下庸子と設立
建築家、法政大学デザイン工学部建築学科教授、設計組織ADH共同代表
群馬県前橋市生まれ/1977年 京都大学大学院修了/1979年 ハーバード大学デザイン学部大学院修了/磯崎新アトリエを経て、設計組織ADHを木下庸子と設立