「建築設計 はじめの一歩」を開催
小学生キャリア教育授業──将来の建築士を発掘!
野瀬 有紀子(東京都建築士事務所協会練馬支部)

 将来を担うこどもたちに建築設計を理解してもらい、おもしろさを体験してもらう機会をつくろうと、東京都建築士事務所協会第4ブロック会(中野、杉並、豊島、板橋、練馬)で意見がまとまったのが2年前(平成28/2016年)。その後、同会では月に1度のミーティングを重ね、昨年(平成29/2017年)9月、明治大学付属明治高等学校(調布市)にて1回目のキャリア教育授業「建築設計 はじめの一歩」を実施した。2回目として、平成30(2018)年6月26日、27日の両日、ご縁があって板橋区立志村第一小学校の5年生を対象に行ったキャリア教育授業をレポートする。
玉田さんの説明を熱心に聞く児童たち。
黒板に書かれた授業の「めあて」。
戸張さんが考え製作した課題。
4人グループで課題を進める児童。
上2点:課題「建物の配置と窓の配置を考えよう」完成。
 初日の授業は5年1組40名の児童を対象に、図工室で行われた。1時限目8:45からスタートし、2時限目終了の10:20まで、途中5分間の休憩を入れて合計90分。
先生役はこの学校の卒業生でもある板橋支部の玉田貴紀さん。他6人(板橋支部|廣瀬光夫、竹澤大一、戸張毅、練馬支部|竹内健、野瀬有紀子、中野支部|呉日煥)が、各テーブルの間に立ち、児童たちをサポートした。図画工作授業の担当教員である松本里緒先生にもお手伝いいただいた。
 今回の授業の“めあて”は「建物の配置と窓の位置を考えよう」。授業は課題の説明のあと、住宅の壁や屋根の形が予め印刷してある升目の入った工作用紙をカッターやハサミを使って切り取り、立体化するところから。そして、別に用意した階段位置の違うふたつの平面図からひとつを選択し、その間取りに合わせて窓の位置を考えて刳り抜き、方位などを考えながら用意された敷地図に配置するというもので、図工室の3〜4人掛けのテーブル単位で作業を行った。
 カッターの使い方、理解の度合いなど、児童によって若干の差はあったものの、われわれがフォローすることで、なんとか建物の形にすることができた。
 作業終了後には、テーブルごとに決めた建物の配置と窓の配置について、理由等を含めて発表してもらった。
 発表の後には、パワーポイントを使って日本国内や世界の著名な建築の紹介も行った。
 授業の最後には、児童たちに「振り返り」として簡単な感想文を書いてもらったが、それを見ると、楽しかった!という意見が多く、授業は上手くいったように思う。建築の世界を身近に感じ、また、興味ももってもらえたのではないだろうか。われわれにとってもたいへん有意義な時間であった。
 翌日も5年2組の児童たちに向けて、同様の内容で授業を行った。
 このような機会を与えてくださった志村第一小学校関係者の皆様に心より御礼申し上げる。
野瀬 有紀子(のせ・ゆきこ)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員会・練馬支部、女性のための住まい相談室/のせ一級建築士事務所
女子美術大学卒業/木造戸建住宅の設計に長く携わる
https://www.nose-architect.com/
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