私の趣味⑩
居合道
高橋 功次 (東京都建築士事務所協会北部支部、有限会社高橋功建築設計事務所)
京都武徳殿にて
 この趣味を始めたきっかけは、武道場を持つ建物の設計からでした。この建主の奥様が居合道を教えられていて、私に奨めてくださったので「仕方なし」に入門した次第です。また私としても50歳の手習いと思い、始めることを決意しました。
居合道の目的は「人間形成」のひとことに尽きると教えを受けています。稽古は『全日本剣道連盟居合』(解説)を教本とし修練をしています。
 教本は、作法・術技・補足の3つから構成されています。
 作法には、携刀姿勢、入退場、神座への礼、帯刀などの要領。
術技には、「正座の部」、「居合膝の部」、「立ち居合の部」の技前12本についての解説。
 補足には、神殿内の出場、退場における足の運び方、回り方、神座への礼、演武の心得など。
 この中では特に、演武の心得として、充実した気勢、正確な刀法、適法な姿勢、いわゆる「気・剣・体の一致」を心がけ、全身全霊を打ち込んで真剣勝負の心境で「行ずる」心が大切であるという教えを大切にしています。
 平成5(1993)年4月に神奈川県で初段をいただきましたが、教本もあることも知らず、ただただ、指導者の真似をするばかりの稽古でした。仮想の敵に向かって抜刀しろといわれても、そんなことはできるものではありませんでした。
 平成14(2002)年4月に同じ神奈川県四段をいただき、これを機に所属を東京に移し、流派も無双直伝英信流にしました。稽古にも熱が入り,豊島の道場を基点とし、火・水曜日は巣鴨で朝の6時から8時と木曜日夜の稽古をし、教本も少しではありますが理解できるようになりました。
 その後、五段と六段は諸先生方の指導をいただいたおかげで、1回で拝受しました。六段になってからは、月に2回ほど先生のお供で夜間稽古に出かけ、「居合の理念」は何かなど、理論的な教えを受けました。
 たとえば、居合には三の大事があります。
一、體育り:「適法な姿勢」
二、掌の内:「自在に使えること」
三、鞘放れの冴え:「引き手を利かすこと」
 このような指導を受けながらも、不器用な私なので、なかなか七段には昇段できませんでした。先生曰く、「『流水先不争』ですよ、そう慌てずに稽古したらどうですか、まあ精進することです」と。
 このようなご指導のおかげで、平成28(2016)年6月10日に4回目の挑戦でようやく「七段位」を拝受することができました。今後も初心に帰り稽古(稽古とは古を考える)に励みます。この趣味が続けられたのは、仕事のオーナー、よき先生方、よき仲間たち、そして家族の理解に恵まれたからこそです。皆様に心より感謝申し上げます。
高橋功次(たかはし・こうじ)
東京都建築士事務所協会北部支部、有限会社高橋功建築設計事務所
1937年東京生まれ/1960年明治大学建築学科卒業後、株式会社東急不動産/1962年早川正夫建築設計事務所を経て、1975年一級建築士事務所高橋功設計事務所設立
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