グローバルキッズ飯田橋園・飯田橋学童クラブ
東京都千代田区 2015年
竣工 : 2015年4月 計画地:東京都千代田区
用途:認可保育所・学童クラブ 定員:保育所138人、学童クラブ60人
延床面積:保育所1,034.25m2、園庭296.54m2、学童クラブ280.84m2 所在階:地上2〜4階
設計チーム:設計統括:石嶋設計室/意匠:のみぞ計画室/設備:山崎設備設計/照明:ぼんぼり光環境計画/家具・大きな積み木:laboratory/園庭デザイン:コト葉LAB./煉瓦:高山煉瓦建築デザイン/PLAY TREE:OZA METALSTUDIO/撮影:黒住直臣 (※印の写真を除く)
外観。2階に屋内園庭。3階に保育室。
2階にある屋内園庭。起伏のある人工芝エリア。滑り台や砂場のほか、よじのぼれる煉瓦壁、鉄棒や登り棒となる鉄の木などが遊びを誘発する。
2階屋内園庭。積み木に変化するテーブル。
2階屋内園庭。デッキエリア。壁面のジャングルジム。
3階保育室。腰高の家具で間仕切ったワンルーム。
3階廊下。
4階学童クラブ。
足洗い場を子どもたちとつくるワークショップ。※
 都心居住が進む東京都千代田区にある4階建3,000m2弱の既存事務所ビルを1棟丸ごと上階から学童クラブ、保育所、屋内園庭、保育所運営会社の事務所に改修する計画で、2〜4階は事務所から児童福祉施設に用途変更した。
 3階の保育所は腰高の家具で間仕切ったワンルームタイプの間取り。各保育室が面する隣地境側の開口部は、隣地境界線からの離れが2m程度で、建築基準法上の採光はゼロである。したがって、採光が採れる面が道路側に限られるため、4・5歳児室と3歳児室の境目に大きな引戸を設け、2室1室として採光を確保した。
 この園舎の特徴は2階の屋内園庭にある。保育所の設置基準では代替遊戯場(公園等)が近くにあれば、園庭を確保する必要はなく、都心では園庭がない保育所が多い。一方で、多くの公園では、禁止事項の羅列等、子どもの遊びに窮屈さを強いている。これらが園外での外遊びを遠のかせる状況をももたらし、子どものストレスの発散機会の減少や身体能力の低下を加速させている。園庭が持つ役割はとても大きい。幼少期の心身の発達には、日々の生活の中で繰り返される遊びを通して、環境を介した身体的な学びを経験する場所=「園庭」が特に重要となる。この園舎でも外部に園庭を確保することが不可能であったため、私たちは室内に園庭をつくることを提案した。
 園庭は大きくふたつのエリアで構成。起伏のある人工芝エリアは地面の凹凸がそのまま砂場や滑り面となり遊びを誘発する。一方、デッキエリアは、夏はプール、それ以外の季節はブランコやボール等の遊びの場とし、床面は防水+ゴム舗装とした。
 壁面は煉瓦·木·土によって構成し、園舎の外壁に見立てたデザインとしている。よじのぼれる煉瓦壁、鉄棒や登り棒となる鉄の木、壁面のジャングルジム、積み木へと変化するテーブル、季節や時間とともに変化する照明システムの導入等々、子どもたちのアクティビティを誘発する仕掛けをいたるところに配している。
 最後に、子どもたちとのワークショップによって足洗い場をつくりあげた。一緒に園庭をつくることで「自分たちの園庭」という愛着心が芽生え、今後ここで繰り広げられる活動が子どもたちにとっての原風景となってもらえれば幸いである。
石嶋 寿和(いしじま・ひさかず)
建築家、株式会社石嶋設計室代表取締役
1969年 東京都生まれ/1989年 小山工業高等専門学校建築学科卒業/1991年 千葉大学工学部建築工学科卒業/1991〜2004年 曽根幸一・環境設計研究所/2004年 石嶋設計室開設/2006年 株式会社石嶋設計室に改組、現在に至る
記事カテゴリー:建築作品