ジンズホールディングス東京本社
設計|髙濱史子小松智彦建築設計
第51回東京建築賞|一般部門二類 奨励賞
中央部の既存スラブを撤去して生まれた5〜8階のOpen Art Tube。
  • 中央部の既存スラブを撤去して生まれた5〜8階のOpen Art Tube。
  • 吹き抜けに面したワークエリア。
  • 9階に設けられたサウナ。
  • カフェを併設してまちと繋げた1階エントランス。
  • 折り畳みベンチのある2階「原っぱ」。
  • 5階平面図
  • 断面図
建築主:
株式会社ジンズホールディングス
表彰建築士
事務所:
株式会社髙濱史子小松智彦建築設計一級建築士事務所
所在地:
東京都千代田区神田錦町3-1
主要用途:
事務所
構造:
鉄骨鉄筋コンクリート造
階数:
地上9階、塔屋1階
敷地面積:
704.36㎡
建築面積:
596.21㎡
延床面積:
4,525.98㎡
竣工:
2023年12月
撮影:
太田拓実
設計趣旨:
 第二創業を掲げるアイウエアブランド大手、ジンズホールディングス東京本社の移転プロジェクト。
 大企業病にかかった社員にベンチャー魂を取り戻してもらうことを目標に、「壊しながら、つくる」、「美術館×オフィス」のふたつのコンセプトをもとに地上9階建てのビルを一棟借りし、フルリノベーションしている。
 「壊しながら、つくる」は、入居するビルが将来解体予定であったことから、環境に配慮し、新オフィスに必要な空間を極力既存の仕上げや躯体を解体することで成立させ、すべてがお膳立てされた受動的な環境ではないが、使う人が工夫しながら働きたくなるような能動的な環境を目指すものである。
 また「美術館×オフィス」は、床を抜き、仕上げを剥がし、文字通り壊したことで生まれた余白を、使う人の発想と創造を刺激する場として再構築構成することを意図している。全体としてクリエイティビティが高まる働き方を実験できる新社屋を提案している。(髙濱 史子、小松 智彦)
髙濱 史子(たかはま・ふみこ)
髙濱史子小松智彦建築設計
1979年 神戸市生まれ/2003年 京都大学工学部建築学科卒業/2004年 Christian Kerezインターン/2005年 スイス連邦工科大学チューリヒ校留学/2005年 HHF Architectsインターン/2007年 東京大学大学院建築学専攻修士課程修了/2007〜12年 Herzog & de Meuron/2012年 +ft+/髙濱史子建築設計事務所設立/2012年 神戸大学学術推進研究員/2013〜15年 東京大学特任研究員/2023〜25年 芝浦工業大学非常勤講師/2024年 株式会社髙濱史子小松智彦建築設計に改組/現在、東京大学非常勤講師、工学院大学非常勤講師
小松 智彦(こまつ・ともひこ)
髙濱史子小松智彦建築設計
1989年 神奈川県生まれ/2012年 東京理科大学工学部建築学科卒業/2014年 Aires Mateusインターン/2015年 東京大学大学院建築学専攻修士課程修了/2015〜21年 坂茂建築設計/2022年 +ft+/髙濱史子建築設計事務所共同主宰/2024年 株式会社髙濱史子小松智彦建築設計に改組
選考評:
 この建築は、使う人が工夫しながら働きたくなる能動的な環境を目指し、働き方を実験できる新社屋として地上9階建てのビルを一棟借りしてフルリノベーションしたオフィスである。
 会議室の床を抜き、仕上げを剥がして生まれた余白を、美術に触れて使う人の発想と創造を刺激させる3階の美術館×オフィス。上部の中央既存スラブを剥ぎ取って設けた「Open ART Tube」と呼ぶ吹き抜けとダイナミックな内階段などによるクリエイティビティを高める仕掛けちりばめた5〜8階のワークエリア。外部の空気に触れながら文字通り地に足をつけ、外部の方も利用可能なカフェを併設してまちと繋げた1階エントランス。「種ベンチ」という折り畳み式ベンチを使って、原っぱのように1人でも大人数でも使う人の発想で自ら自由な使い方ができる多様な働く場のランドスケープと呼ぶ2階。そして、ウェルビーイングとコミュニケーションを促進し、そこ生まれるアイデアの共有・発展を図ったオフィスには珍しいフィンランド式サウナを設けた9階。
 これらの仕掛けを将来解体予定のビルに対して極力既成の仕上げや躯体を解体するだけで成立させてクリエイティビティを高め、ベンチャー魂を取り戻そうと試みたリノベーション建築を評価したい。(奥野 親正)
奥野 親正(おくの・ちかまさ)
構造家、株式会社久米設計環境技術本部構造設計室室長
1968年 三重県生まれ/1991年 明治大学工学建築学科卒業/1993年 明治大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了/1993年 久米設計