城西大学坂戸キャンパス23号館(JOSAI HUB)
設計|日建設計
第51回東京建築賞|一般部門二類 最優秀賞
大庇の下のひとつながりの空間「JOSAI HUB」。ラウンジより東方向を見る。
  • 大庇の下のひとつながりの空間「JOSAI HUB」。ラウンジより東方向を見る。
  • 北側の正門より見る。
  • 東側のセルフスタディエリア。
  • 中庭を見る。
  • 配置・1階平面図
建築主:
学校法人城西大学
表彰建築士
事務所:
株式会社日建設計一級建築士事務所
施工:
清水建設株式会社
所在地:
埼玉県坂戸市けやき台1-1
主要用途:
大学
構造:
RC造、一部S骨造
階数:
地上7階、塔屋1階
敷地面積:
127,537.89㎡
建築面積:
7,280.48㎡
延床面積:
22,120.32㎡
竣工:
2023年7月
撮影:
エスエス
設計趣旨:
 23号館(JOSAI HUB)は、広大なキャンパスの正門に面して整備したキャンパスコモンと講義室・研究室・実験室の複合棟である。講義室の建て替え要望から始まったこのプロジェクトは、キャンパスの東西で分かれていた文系と理系をつなぎ、約60年間継承されてきた豊かな緑と学生の賑わいでキャンパスの顔をつくるという、1棟の建物でキャンパスのマスタープランを改善する挑戦にまで発展した。
 「JOSAI HUB」はこのキャンパスに通うすべての学生のための活動と交流の拠点である。地上階に設けた大きな庇の下のひとつながりの空間で、学生は正門から「JOSAI HUB」を通り抜けて各棟へアクセスする。動線上にさまざまな居場所をぶらさげ、ラーニング、セルフスタディなどの学習スペースや、カフェ、ラウンジ、事務窓口などを約3,700㎡の空間に仕切りなく配置した。用途を限定しないことで重ね使いによるスペースの有効活用と活動間の相互作用を促進する。屋内・屋外の垣根を超えて大小さまざまな居場所をゆるやかにつなげることで、活動の領域が重なり、キャンパス全体に拡がっていく。
 あらゆる垣根を超えてつなげることで、マスタープランを再構成し、キャンパスの雰囲気を変え、周辺の街の賑わいにまで影響を与える。郊外ならではの豊かな教育環郊外ならではの豊かな教育環境の実現と、交流の連鎖を社会まで拡げるきっかけとなる建築を目指した。(長尾 美菜未、中本 太郎)
長尾 美菜未(ながお・みなみ)
日建設計
1984年 青森県生まれ/2007年 宮城大学卒業後、日建設計入社/2014年 スイス連邦工科大学MAS修士課程修了/2015年 スイス連邦工科大学客員研究員/2016年 日建設計復職/2020年 JIA優秀建築選(ホテルメッツ新木場)ほか
中本 太郎(なかもと・たろう)
日建設計
1966年 大阪府生まれ/1991年 東京藝術大学大学院修了後、日建設計入社/2025年 執行役員設計グループ代表/2011年 JIA日本建築大賞(ホキ美術館)、2023年 JIA環境建築賞優秀賞(ミュージアムタワー京橋)ほか
選考評:
 広大な郊外型キャンパスにおける複合機能棟による再整備計画である。分節されたRC造7階建て講義・研究・実験機能の足元2層をキャンパスコモン「JOSAI HUB」に充てている。
 かつて正門からの人流のクッションであったゲートパビリオンを撤去し、新設した開放的なガーデンの先で、鉄骨造の伸びやかな庇、ガーデンに呼応する明るい中庭や貫通通路が、学生たちを自然とコモンに招き入れている。
 2層分の大らかなコモンスペースは、全周をフルハイトのガラスで囲った上に内外のレベル差をなくすことで周辺環境と視覚的に一体化。学習エリア、カフェ、ラウンジ、学生支援等の機能を仕切りなく配置することで多様な居場所がつくり出された。さらに外周壁からコア、柱型、家具に至るまで、空間全体が柔らかと滑らかさに満ちている。この流動性はスキップボイドにより高層部まで引き上げられており、施設全体を豊かな交流と創発の場にするデザイン手腕は見事である。
 今後、隣接して設ける広場およびそれを囲う開放廊下「JOSAI RING」と連結されれば、キャンパス全体の格子状配置が同心円的連環構造に転換され、計画者の意図通りにここがキャンパスの交差点HUBとなり、キャンパス全体の更なる活力向上が期待される。(北 典夫)
北 典夫(きた・のりお)
建築家、鹿島建設株式会社専務執行役員 建築設計本部長
1958年横浜市生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、鹿島建設株式会社