Concrete Log House
設計|IKAWAYA建築設計
第51回東京建築賞|住宅部門 優秀賞
リビングからダイニング、アウトダイニング、庭を見る。
  • リビングからダイニング、アウトダイニング、庭を見る。
  • アウトダイニングからツリーハウスを見る。
  • 庭からリビング、ダイニングを見る。
  • 主寝室からテラスを見る。
  • 外観。丸太型枠コンクリート壁。
  • 丸太型枠再利用壁。
建築主:
非公開
表彰建築士
事務所:
株式会社IKAWAYA建築設計一級建築士事務所
施工:
株式会社岩本組
所在地:
東京都
主要用途:
住宅、音楽スタジオ
構造:
RC造
階数:
地上2階、地下1階
敷地面積:
405.37㎡
建築面積:
201.77㎡
延床面積:
442.55㎡
竣工:
2022年10月
撮影:
三嶋一路
設計趣旨:
 森の静寂と共にある暮らしを都心で実現する。
 敷地は駅から徒歩5分でありながらその先には緑深い森林が広がる。
 外壁は木々の連なりを感じさせる、丸太型枠を使用したコンクリート打ち放しとした。堅牢なコンクリート壁には、自然素材が作り出すやわらかな肌理や、繊細なルーバーが作り出す光の揺らぎや立体感が生み出されている。
 二面道路に対して建物を配置し、隣地側に面して大きな中庭を設けた。道路からの騒音は自らの建物によって遮断し、隣地の庭に対し中庭を設け、隣地の森と繋がる「共有の森」をつくり出した。
静寂を獲得した中庭で気づく、ささやかな環境の変化。多方向に庭があり空が見える。緩やかな時の流れ、大きな自然に身を任せることで得られる、豊かな時間を実現した。
 シンボルツリーの脇には、ツリーハウスを設置し、木の上の隠れ家を計画した。
 約300のブロックを積み上げてシェルターを作り上げている。1ブロックは軽く、子どもたちに参加してもらい共にツリーハウスを制作した。
 ブロック同士は隙間を持ちながら繋がっており、風や光、さらに枝葉までも入り込んでいる。ツリーハウスへは木を登り内部に入り込んだ幹を手すり代わりにして中へ入る。(井川 充司)
井川 充司(いかわ・あつし)
IKAWAYA建築設計
1980年 大阪生まれ岐阜育ち/2004年 東京都立大学大学院修士課程修了/2005年 中村拓志&NAP建築設計事務所/2013年 井渡屋建築設計事務所設立/2017年 株式会社IKAWAYA建築設計設立/2021年~ 東京都立大学非常勤講師
選考評:
 本作品の最大の特徴は、周辺の庭と連なる中庭を核とする空間体験にある。比較的交通量の多い道路の角地に、建物は道路境界に寄せてL型に配置されている。道路側の開口は絞られ、丸太型枠による打ち放しコンクリートの力強さと、ツタの絡まるアイアンメッシュの柔らかさが、存在感を保ちつつ、住宅街に穏やかな印象を与えている。
 中庭の眺望は、敷地境界を越えて周辺の家々の庭へと連続し、豊かな広がりと奥行きを感じさせる。建屋建設前に慎重に調整しながら植えられたシマトネリコや、凝った作りのツリーハウス、外部階段といった要素が、この緑の深さを強調し、樹冠を歩くような体験を可能にしている。床が700mm下げられたリビングからの地面に近い視点からは、より親密で没入感のある緑の眺望が得られる。丸太型枠の一部は再利用され、庭の塀やスタジオの壁面に転用されており、素材への高い意識もうかがえる。庭を内部に取り込む工夫や、エントランスからリビング、テラスから中庭へと展開する一連の流れなど、この深い緑を軸に、日常の中に豊かな体験を織り込んだ空間構成が高く評価される。(篠﨑 淳)
篠﨑 淳(しのざき・じゅん)
建築家、株式会社日本設計代表取締役社長
1963年 東京都生まれ/1986年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1988年 同大学理工学研究科修士課程修了後、日本設計入社/2003年 チーフアーキテクト、2015年 執行役員フェロー、2019年 取締役常務執行役員を経て、2020年現職