増減の家
設計|Sデザインファーム
第52回東京建築賞|住宅部門 奨励賞

南西側より俯瞰する。手前は敷地西側の寺院の参道。






- 南西側より俯瞰する。手前は敷地西側の寺院の参道。
- 西側の参道の緑に開いた外リビング。玄関は外リビング奥。
- 外リビング。南方向を見る。
- LDKより外リビングのある西方向を見る。
- 1階平面図
- 構成ダイアグラム
建築主:
非公開
表彰建築士
事務所:
事務所:
Sデザインファーム株式会社一級建築士事務所
施工:
株式会社ニットー住宅
所在地:
千葉県
主要用途:
一戸建ての住宅
構造:
木造在来工法
階数:
地上1階
敷地面積:
217.39㎡
建築面積:
86.92㎡
延床面積:
84.46㎡
竣工:
2023年9月
撮影:
Yasu Kojima
設計趣旨:
東京近郊に建つ断熱等級6(UA値:0.44、C値:0.3)の木造平屋の住宅です。脱炭素、エネルギー問題、温暖化対策などを考えると、このような小さな建築でも担うべき役割がある思います。
高断熱化、高気密化などの断熱強化、トリプルガラス、創エネとなる太陽光発電はわずかなエネルギーで家が涼しくなり、太陽の恵みで室内は暖かくなります。これらは建物としてのスペックを「増やす」ことで生み出される豊かさだと思います。
一方で「減らす」ことで生み出される豊かさもあると思います。建物をごそっと刳り抜いたようにつくった外リビングは屋根があり、単板サッシによる欄間がありますが、室内が残されたまま外化されたような空間です。室内空間ないので暑さ寒さなど外的要因が如実に反映されます。ただ、ふとした瞬間に見せる夕日の木漏れ日、鳥や虫やカエルなど思わぬ来訪者、気がついたら居座ってしまった野良猫など、内部空間に閉じこもっていては出会えないものと出会える空間となっています。
法整備もあり高断熱住宅のボトムアップは進むと思います。ただその快適な室内空間に閉じこるでいいのだろうか? という疑問もあります。高断熱・高気密による快適な空間があるからこそ、すこし不便でも「人として生き物として実感する空間」も必要だと思います。(鹿内 健、鹿内 真沙子)

鹿内 健(しかうち・たけし)
Sデザインファーム
1978年 東京都生まれ/2001年 東京都立大学工学部建築学科卒業/2003年 東京都都立大学院工学研究科建築学専攻修了/2003〜04年 建築設計スピードスタジオ勤務/2004〜08年 オンデザイン勤務/2008〜17年 鹿内健建築事務所主宰/2017年 Sデザインファーム株式会社設立
Sデザインファーム
1978年 東京都生まれ/2001年 東京都立大学工学部建築学科卒業/2003年 東京都都立大学院工学研究科建築学専攻修了/2003〜04年 建築設計スピードスタジオ勤務/2004〜08年 オンデザイン勤務/2008〜17年 鹿内健建築事務所主宰/2017年 Sデザインファーム株式会社設立

鹿内 真沙子(しかうち・まさこ)
Sデザインファーム
1979年 千葉県生まれ/2002年 東京都立大学工学部建築学科卒業/2002〜05年 有限会社ビービーアール一級建築士事務所勤務/2006〜17年 八千代市役所勤務/2017年 Sデザインファーム株式会社
Sデザインファーム
1979年 千葉県生まれ/2002年 東京都立大学工学部建築学科卒業/2002〜05年 有限会社ビービーアール一級建築士事務所勤務/2006〜17年 八千代市役所勤務/2017年 Sデザインファーム株式会社
選考評:
建築家の自邸であるこの小住宅は、桜の古木が立ち並ぶ寺の参道に面している。道には放課後の子どもたちが三々五々集まっていて、そこに近隣の母親たちも混ざって長々と談笑している。参道が地域のパブリックスペースとして生かされている、近年希少な長閑な暮らしの界隈がそこには形成されていた。この得難い都市空間を保持、あるいは促進すべく、塀や壁で隔てるのではなく、住宅のベース形状である立方体を一部削り取ることで生み出されたイン・ビトゥインな「軒先空間」を介して、かつての参道脇の町家のように、地域の空間とつながることが選択された。その結果、住宅としては参道までを自分の領域とする広がりを獲得しつつ、地域としては日常的に参道へ滲み出る人の営みの気配や、植栽越しに仄かに交わされる視線によって、皆の居場所としての安心感がもたらされている。
特筆すべきはこのような地域と連続した住空間が高効率な「省エネ住宅」として成立していることにある。この手の住宅は高断熱高気密が求められるため、壁は厚く、開口等は最小化されるなど、内外の関係は断ち切られることが一般的であるが、この住宅ではボリューム上部に屋内外の空間を跨ぐ連続窓を設けたことで、認識的には常時内外がつながった状態として現象しているのである。これからの社会に重要であるが相性の悪い「住みびらき」と「省エネ性」が両立された住宅のプロタイプとして評価した。(原田 真宏)

原田 真宏(はらだ・まさひろ)
建築家、芝浦工業大学建築学部建築学科教授、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO主宰
1973年 静岡県生まれ/1997年 芝浦工業大学大学院建設工学専攻修了/1997〜2000年 隈研吾建築都市設計事務所/2001〜02年 文化庁芸術家海外派遣研修員制度を受け、ホセ・アントニオ&エリアス・トレースアーキテクツ( バルセロナに所属)/2003年 磯崎新アトリエ/2004年 原田麻魚と共に MOUNT FUJ I ARCHITECTS STUDIO 設立/2008年 芝浦工業大学准教授/2016年 芝浦工業大学 教授
建築家、芝浦工業大学建築学部建築学科教授、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO主宰
1973年 静岡県生まれ/1997年 芝浦工業大学大学院建設工学専攻修了/1997〜2000年 隈研吾建築都市設計事務所/2001〜02年 文化庁芸術家海外派遣研修員制度を受け、ホセ・アントニオ&エリアス・トレースアーキテクツ( バルセロナに所属)/2003年 磯崎新アトリエ/2004年 原田麻魚と共に MOUNT FUJ I ARCHITECTS STUDIO 設立/2008年 芝浦工業大学准教授/2016年 芝浦工業大学 教授














































