風の道テラス
設計|成瀬・猪熊建築設計事務所
第52回東京建築賞|住宅部門 優秀賞

西側「四の坂」側のアプローチより見る。敷地は南下がりの斜面地。







- 西側「四の坂」側のアプローチより見る。敷地は南下がりの斜面地。
- 北側の散策路と中廊下のつながり。
- 1階レベルにある中廊下とスリット。西方向を見る。
- 住戸内部。南方向に景色が抜ける。
- コンセプトスケッチ
- 1階平面図
- 断面図
建築主:
風の道テラス建設組合
表彰建築士
事務所:
事務所:
株式会社成瀬・猪熊建築設計事務所一級建築士事務所
施工:
株式会社河津建設
所在地:
東京都
主要用途:
長屋、共同住宅
構造:
RC造、一部S造
階数:
地上2階、地下2階
敷地面積:
1,096.04㎡
建築面積:
561.23㎡
延床面積:
1,675.39㎡
竣工:
2024年11月
撮影:
西川 公朗
設計趣旨:
まちの骨格に暮らしを落とし込む本計画は、都内に建つ20世帯のコーポラティブハウスだ。周囲の地形は、南向きの斜面地で、一の坂から八の坂までの坂がほぼ平行に通っており、密集した住宅地でも気持ちよく景色が抜け、風が通り、明るい豊かな環境を生み出している。そこで私たちが試みたのは、このまちの骨格をそのまま敷地に入れ込むことだ。全体のボリュームに5つのスリットを坂に対して平行に設け、建物を6つに分けた。これにより、南に隣の建物があっても空が見え、風が抜け、光が差し込む。通路はスリットに直行させ、建物を貫通する中廊下と、北側の散策路のふたつを設けた。一見分かれたふたつの通路は、行き来の風景がスリットによって繋がる。また、建物の一番奥では繋がってループしており、奥の住戸は、どちらの通路からも公道に出ることができる。子どもたちは建物全体を使って鬼ごっこやかくれんぼもできるだろう。手前の広場のような場所も、数人で立ち話をするようなシーンをイメージし、クランクさせて死角をつくり、溜まれるような雰囲気をつくり出した。
20世帯が集まって暮らすといっても、多様なライフスタイルがあり、近い距離感で一緒にいるというよりは、街の中にそれぞれが暮らしているような気楽さがあるといい。まとまった大きな共用部をつくらず、通路とスリットによって住人同士の関係性を編むように構成したことは、とても現代的な集合のあり方に繋がったのではないかと思う。(猪熊 純、成瀬 友梨)

猪熊 純(いのくま・じゅん)
成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰、芝浦工業大学教授
1977年 神奈川県生まれ/2004年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了/2006年まで千葉学建築計画事務所勤務/2007年 成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立/2008〜20年 首都大学東京助教/2020〜21年 東京都立大学助教/2021〜24年 芝浦工業大学准教授/2024年より現職
成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰、芝浦工業大学教授
1977年 神奈川県生まれ/2004年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了/2006年まで千葉学建築計画事務所勤務/2007年 成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立/2008〜20年 首都大学東京助教/2020〜21年 東京都立大学助教/2021〜24年 芝浦工業大学准教授/2024年より現職

成瀬 友梨(なるせ・ゆり)
成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰
1979年 愛知県生まれ/2004年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了/2007年 同博士課程単位取得退学/同年、成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立/2009年 東京大学特任助教/2010〜17年 東京大学助教
(撮影:naoakiyamamoto)
成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰
1979年 愛知県生まれ/2004年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了/2007年 同博士課程単位取得退学/同年、成瀬・猪熊建築設計事務所共同設立/2009年 東京大学特任助教/2010〜17年 東京大学助教
(撮影:naoakiyamamoto)
選考評:
南向きの斜面地に建てられた20戸のコーポラティブハウスである。中廊下を介してメゾネットやトリプレットの住戸が連なる構成によって、各住戸が南北両面に開かれている点は、ル・コルビュジエのユニテ・ダビタシオンを彷彿とさせる。さらに本作では、南北方向に加えて5つのスリットを設けることで、各住戸が東西方向にも開口を持ち、水回りの配置にも高い自由度が与えられている。コーポラティブハウスという、各戸の設計自由度を最大限に生かす仕組みが、空間構成そのものに巧みに組み込まれている点が秀逸である。また、各住戸の内装には複数の建築家が関わっており、それぞれに異なる趣を持つ住空間が実現されていた。審査時には4戸の住戸を見学したが、集合住宅において竣工後の住戸内部を見せていただける機会は決して多くない。その中で、住まい手たちがプランニングから家具や設えに至るまで丁寧に住まいをつくり込み、それぞれが誇りを持って暮らしている様子が強く印象に残った。
中廊下を歩くと、南側の緑や北側の通路が垣間見え、風が抜けていく気配が感じられる。急峻な斜面地であり、設計・施工ともに極めて難易度の高い条件であったことが想像されるが、敷地のポテンシャルとプログラムを最大限に生かすと同時に、住まい手ひとりひとりの個性を受け止める豊かな集合住宅となっている点を高く評価したい。(手塚 由比)

手塚 由比(てづか・ゆい)
建築家、株式会社手塚建築研究所代表取締役
1969年 神奈川県出身/1992年 武蔵工業大学卒業/1992-1993年 ロンドン大学バートレット校(ロン・ヘロンに師事)/1994年 手塚建築企画を手塚貴晴と共同設立(手塚建築研究所に改称,1997年)/1999年〜 東洋大学非常勤講師/2001年– 東海大学非常勤講師/2006年 カリフォルニア大学バークレー校客員教授/2023年〜 東京大学非常勤講師
建築家、株式会社手塚建築研究所代表取締役
1969年 神奈川県出身/1992年 武蔵工業大学卒業/1992-1993年 ロンドン大学バートレット校(ロン・ヘロンに師事)/1994年 手塚建築企画を手塚貴晴と共同設立(手塚建築研究所に改称,1997年)/1999年〜 東洋大学非常勤講師/2001年– 東海大学非常勤講師/2006年 カリフォルニア大学バークレー校客員教授/2023年〜 東京大学非常勤講師














































