ヤマト本社ビル A棟・B棟
設計|日建設計、鹿島建設
第52回東京建築賞|東京都知事賞
昭和通り越しの西側外観全景。独立して建つA棟(右)とB棟が区道を挟んで一体的に計画されている。木質化された内外装。*
  • 昭和通り越しの西側外観全景。独立して建つA棟(右)とB棟が区道を挟んで一体的に計画されている。木質化された内外装。*
  • A棟より見る夕景。2棟は互い違いにテラスを配している。
  • 区道上空をアトリウムに見立てて2棟のワークプレイスをつないでいる。
  • B棟オフィスの西側の木質段床エリア。柱のない窓際空間。
  • A棟オフィス。奇数階の木質段床エリアより見る。
  • 配置・1階平面図
  • 基準階平面図
  • 基準階平面図
建築主:
ヤマトホールディングス株式会社
表彰建築士
事務所:
株式会社日建設計一級建築士事務所
鹿島建設株式会社一級建築士事務所
施工:
鹿島建設株式会社
所在地:
A棟:東京都中央区銀座2-12-16
B棟:中央区銀座2-12-18
主要用途:
A棟:事務所、飲食店、駐車場
B棟:事務所、駐車場、倉庫
構造:
S造、一部CFT造、SRC造、RC造
階数:
地上11階、地下1階
敷地面積:
A棟:998.73㎡、B棟:970.13㎡
建築面積:
A棟:797.67㎡、B棟:769.17㎡
延床面積:
A棟:9670.18㎡、B棟:8805.53㎡
竣工:
2024年10月
撮影:
長谷川 健太、*島尾 望|エスエス
設計主旨:
 銀座で創業し、100周年を迎えた物流企業の新本社。都⼼の区道によって分かれたふたつの⼟地における2棟⼀体の本社機能に加え、宅急便センターやカフェなどの地域に根差した機能を内包する。
 区道上空をアトリウムに見立て、ワークプレイスをつなぐ要素としてデザインに取り込み、2層おきのテラスと、床・天井のレベル差によってお互いの棟や都市と視覚的なつながりが生まれる⼀体感をもたらす空間構成とした。これからの働き⽅を⾒据えた多様な選択肢をもつワークプレイスとして、天井高さ2.1〜4.4mまでの空間のスケール感の変化と造作家具の組み合わせを⽊質の段床で構成するとともに、パーソナルな環境のカスタマイズが可能なフィールドコントロールシステムを導入している。
 外周柱をオフセットすることで窓辺に遮るものがない縁側のような空間と、適材適所の材料選択によって広範囲な木質化を行うことでまちに開く⽊質オフィスとし、流通機能を担う企業として社会との関わりや環境への姿勢を体現している。(金子 裕介、伊藤 周平)
金子 裕介(かねこ・ゆうすけ)
日建設計 設計グループ アソシエイト
1981年 新潟県生まれ/2006年 京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業/2008年 同大学大学院修了後,日建設計入社
伊藤 周平(いとう・しゅうへい)
日建設計 設計グループ アソシエイト
1985年 北海道生まれ/2009年 東北大学工学部建築・社会環境工学科卒業/2011年 早稲田大学大学院修士課程修了/ 2011~18年 竹中工務店設計部/2019年~ 日建設計
河野 信(かわの・しん)
日建設計 設計グループ ダイレクター
1971年 埼玉県生まれ/1994年 東京理科大学建築学科卒業後、日建設計入社
池澤 和夫(いけざわ・かずお)
KAJIMA DESIGN 建築設計本部 グループリーダー
1966年 栃木県生まれ/1989年 東北大学工学部建築学科卒業/1991年 同大学大学院修士課程修了後、鹿島建設入社
田持 成輝(たもち・しげき)
KAJIMA DESIGN 建築設計本部 チーフ
1986年 大阪府生まれ/2009年 神戸大学工学部建設学科卒業/ 2011年 同大学大学院修士課程修了後、鹿島建設入社
選考評:
 銀座、昭和通りに面して2棟の積層する木庇と内部の木天井が水平、上下に連続し、そのままファサードとして立ち現れた建築である。銀座でもひときわ目立つこの建築は、街の人びとやインバウンド客が立ち止まり、ふと見上げてしまうほどの魅力を持ち合わせている。
 街に浮遊するかのような庇状の外周部のワークプレイスは、階高の中で床、天井のレベルを段階的に変化させた木質段床空間としてスケール感の抑揚をつくり出している。この空間の変化によって居心地の良さを増し、気分にあわせ、時には大通りに面し、背を向け、仲間と語り合いながら自分の働き方を見つけられる。木質化は、使用環境や加工性から適材適所で選択して広範囲に実現されている。
 2棟を分断する区道をアトリウムと見立て、縁側テラスを介して、レベルを変えた大小の空間がワークプレイスと互い違いに見合う。視線は、斜めに抜け、お互いを広く見渡し、存在を感じ、一体感を持たせている。この見合いは、街との繋がりを持たせ、日々の働きに、季節、天候の移ろいを感じさせる。
 新しい働き方を見据え、多様な選択肢をもつワークプレイスでまちに開く木質オフィスをつくり上げた建築作品を高く評価したい。(奥野 親正)
奥野 親正(おくの・ちかまさ)
構造家、株式会社久米設計 執行役員 構造設計本部本部長
1968年 三重県生まれ/1991年 明治大学工学建築学科卒業/1993年 明治大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了/1993年 久米設計