川崎朝鮮初級学校
設計|KACH
第52回東京建築賞|東京都建築士事務所協会会長賞

2階教室。東方向を見る。右はテラスにつながる屋内ひろば。教室は天井高4,394mm。開口部の梁下2,200mm。










- 2階教室。東方向を見る。右はテラスにつながる屋内ひろば。教室は天井高4,394mm。開口部の梁下2,200mm。
- 南側のグラウンドより見る。右側の外部階段がグラウンドから屋階テラスまでつなぐ。
- 教室とつながる2階廊下と屋内ひろば。
- 外光が射し込む吹き抜け下の1階廊下。
- 2階、M2階、屋階にセットバックする雛段状のテラス。外部階段でグラウンドからアクセスできる。
- イベント時のテラスからの眺め。*
- 西側外観。1階西側には保育所がある。
- 断面スケッチ
- 平面図
- 断面図
建築主:
学校法人神奈川朝鮮学園川崎朝鮮初級学校
表彰建築士
事務所:
事務所:
KACH一級建築士事務所
施工:
丹勢建設株式会社
所在地:
神奈川県川崎市川崎区桜本2-43-1
主要用途:
各種学校+保育所
構造:
S造
階数:
地上2階
敷地面積:
3,678.29㎡
建築面積:
535.70㎡
延床面積:
785.97㎡
竣工:
2024年8月
撮影:
千葉 顕弥、*KACH
設計趣旨:
在日朝鮮人とは、1910年に日本が朝鮮半島を併合した後に日本へ移住した人びと、あるいはその子孫を指す言葉である。彼らが自分たちのルーツと母国語を学ぶため継承してきた場所が朝鮮学校であり、現在、日本全国に51校が点在する。そのひとつである川崎朝鮮初級学校は、沿岸部の工場地帯に近接する小学校と保育所が併設された全校生徒40名ほどの小さな学校である。築50年以上の旧校舎は、生徒数の減少や老朽化を背景に建て替え計画が持ち上がり、敷地の一部を売却することで建設費用とし、残る土地に新校舎を建設することに決めた。狭まれた学校の敷地によって子どもたちの活動の場も狭まれてしまうという大きな懸念を払拭するために、2階建ての建築のボリュームを調整し、子どもたちが遊び回れるような、校庭と連続する開放的な雛段状の3段のテラスを提案した。3段のテラスは階段によってグラウンドから直接自由に往来することができ、校庭を補完する子どもたちの活動領域の拡張空間となる。
また周辺地域からよく見渡せる雛段状のテラスは地域社会に朝鮮学校の活動を認知、理解してもらうための役割も担っている。開かれた新しい校舎は地域社会と在日朝鮮人社会を結ぶ多文化共生の新しいシンボルとなる。(笠井 太雅、鄭 愛香)

笠井 太雅(かさい・たいが)
KACH共同主宰
1981年 群馬県生まれ/2005年 宮城大学事業構想学部デザイン情報学科卒業/2007年 イーストロンドン大学大学院修了/2009~23年 山本理顕設計工場勤務/2020年~ KACH共同主宰
KACH共同主宰
1981年 群馬県生まれ/2005年 宮城大学事業構想学部デザイン情報学科卒業/2007年 イーストロンドン大学大学院修了/2009~23年 山本理顕設計工場勤務/2020年~ KACH共同主宰

鄭 愛香(ちょん・えひゃん)
KACH共同主宰
1992年 愛知県生まれ/2013年 朝鮮大学校教育学部美術科卒業/2016年 桑沢デザイン研究所卒業/2016~23年 山本理顕設計工場勤務/2020年~ KACH共同主宰
KACH共同主宰
1992年 愛知県生まれ/2013年 朝鮮大学校教育学部美術科卒業/2016年 桑沢デザイン研究所卒業/2016~23年 山本理顕設計工場勤務/2020年~ KACH共同主宰
選考評:
川崎朝鮮初級学校は、生徒数の減少と建物の老朽化により存続の危機にあった。敷地の一部を売却して建設費を捻出することで建て替えへと展開するが、それは同時に子どもたちの活動の場の縮小という懸念を伴うものであった。加えて従来の校舎は閉鎖的で暗かったことから、明るい環境への刷新と、地域との連帯を高める開かれた建築が求められていた。本計画の核心は、これらの課題を解決する断面構成にある。コスト制約から準耐火構造とするため2階建てに抑えつつ、外形上は3段の雛壇状に構成し、各段のレベル差を低く制御することで、分節されながらも連続性を持つ段々のルーフテラスを成立させている。このテラスは校庭から教室へとシームレスにつながり、屋外空間を立体的に拡張するとともに、建物全体に光と風を行き渡らせている。さらに教室とテラスが滑らかにつながることで、屋外がより身近な環境となり、子どもたちの活発な活動を日常的に促している。
このテラスは遊び場であると同時に、催事の際には観覧席となり、地域へ活動を開く舞台としても機能する。段々テラスの構成によって、屋外全体、屋内外、さらには学校と地域社会を滑らかにつなぐ連続的な関係性が実現されている点は高く評価できる。敷地条件やコスト制約を創造的に転換し、同様の課題を抱える施設建築にも新たな可能性を示した本作は、会長賞にふさわしい卓越した建築である。(石井 秀樹)

石井 秀樹(いしい・ひでき)
建築家、石井秀樹建築設計事務所株式会社代表取締役
1971年 千葉県生まれ/1995年 東京理科大学理工学部建築学科 卒業/1997年 東京理科大学大学院理工学研究科建築学科修了/1997年 architect team archum 設立/2001年 石井秀樹建築設計事務所へ改組/2012年~一般社団法人 建築家住宅の会 理事
建築家、石井秀樹建築設計事務所株式会社代表取締役
1971年 千葉県生まれ/1995年 東京理科大学理工学部建築学科 卒業/1997年 東京理科大学大学院理工学研究科建築学科修了/1997年 architect team archum 設立/2001年 石井秀樹建築設計事務所へ改組/2012年~一般社団法人 建築家住宅の会 理事















































