キトー山梨本社
設計|竹中工務店
第52回東京建築賞|一般部門二類 最優秀賞

北側外観全景。ブドウ棚を参照したエキスパンドメタルの大屋根による日射制御。






- 北側外観全景。ブドウ棚を参照したエキスパンドメタルの大屋根による日射制御。
- 南側外観夕景。
- 1階エントランス・展示スペース。
- 1階事務室。井水を利用した床・天井輻射熱空調。
- 配置・1階平面図
- 断面図
建築主:
株式会社キトー
表彰建築士
事務所:
事務所:
株式会社竹中工務店東京一級建築士事務所
施工:
株式会社竹中工務店
所在地:
山梨県中巨摩郡昭和町築地新居2000
主要用途:
工場
構造:
鉄骨造
階数:
地上2階、塔屋1階
敷地面積:
162,713.42㎡
建築面積:
2,435.49㎡
延床面積:
3,571.60㎡
竣工:
2023年10月
撮影:
沖 裕之|ブルーアワーズ
設計趣旨:
ブドウ棚から学ぶ環境建築
甲府盆地に立地するマテリアルハンドリング機器メーカーの新社屋である。周辺には、富士山や八ヶ岳などの山々に囲まれた雄大な景観と、甲府盆地によって育まれた豊富な水資源があり、甲州式棚栽培の葡萄棚が織りなす風景が広がっている。新社屋に集まる人びとが、甲府盆地の豊かな環境を享受し、交流を促進するため、甲府の気候風土から誕生した棚式栽培の成り立ちそのものを建築に応用した。具体的には、エキスパンドメタルで構成した大屋根による日射制御を取り入れ、周辺の豊かな環境資源と知恵を生かした設え、富士山への眺望を軸に計画を進めた。また、生活や地域産業の基盤として井水を利用している本地域の特性を生かし、井水を100%利用した空調システムを導入し、資源の地産地消を促した。
同時に、再生可能エネルギー利用による環境負荷低減を図り、長い日照時間を活用し、太陽光発電で建物消費エネルギー量を上回る創エネルギーを確保することで、Net ZEB を達成した。
ブドウ棚という地方の伝統的な農業の生産方法を参照し、周辺の豊かな環境資源と伝統的な知恵を生かした建築により、サステナブルな地球環境の実現への寄与と共に、地方のもつ価値の再発見を目指した。(中楯 哲史、齊藤 康男)

中楯 哲史(なかだて・さとし)
竹中工務店東京本店設計部 グループ長
1976年 山梨県生まれ/1999年 法政大学工学部建築学科卒業/2001年 法政大学大学院建築学専攻修士課程修了後、株式会社竹中工務店入社
竹中工務店東京本店設計部 グループ長
1976年 山梨県生まれ/1999年 法政大学工学部建築学科卒業/2001年 法政大学大学院建築学専攻修士課程修了後、株式会社竹中工務店入社

齊藤 康男(さいとう・やすお)
竹中工務店大阪本店設計部チーフアーキテクト
1983年 中華人民共和国生まれ/2006年 広島大学工学部第四類 卒業/2008年 広島大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、株式会社竹中工務店入社
竹中工務店大阪本店設計部チーフアーキテクト
1983年 中華人民共和国生まれ/2006年 広島大学工学部第四類 卒業/2008年 広島大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、株式会社竹中工務店入社
選考評:
富士山などの山々に囲まれた雄大な景観と、葡萄棚が織りなす風景が広がる甲府盆地に立地する、マテリアルハンドリング機器メーカーの新社屋である。豊富な伏流水に恵まれた地域で、生活や地域産業の基盤として井水が利用されている地域特性を生かし、冷涼な地下水を空調利用した後、気化冷却とライトシェルフ効果をもつ水盤としてカスケード利用し、室内に良好な反射光と冷涼な空気をもたらした後に、釜無川へと放流している。大気と地下を循環する水資源サイクルの中に新社屋の水循環を組み込むことで、甲府盆地の微気候が尊重されている。さらに、日本有数の日照時間と晴天率を活用し、太陽光発電で建物消費エネルギー量を上回る創エネルギーが確保される設計がなされているとともに、竣工後の建築主・設計者・施工者によるコミッショニングが継続されることによって、Net ZEB(BEl=0.03)、BELS☆☆☆☆☆、CASBEE☆☆☆☆☆(BEE=4.0)が達成されている。
また、地域の伝統的な葡萄栽培方式である葡萄棚をデザインモチーフにした軽快なフィーレンデール架構の鋼材の約50%に電炉鋼が採用されるなど、ライフサイクルカーボン削減にも取り組まれている。
以上の通り、地域の豊かな自然環境と伝統的な知恵を活かした優れた環境建築である。(伊香賀 俊治)

伊香賀 俊治(いかが・としはる)
慶應義塾大学名誉教授、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長
1959年 東京都生まれ/1981年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1983年 同大学院修了/(株)日建設計 環境計画室長、東京大学助教授、慶應義塾大学教授を経て、2024年より現職/博士(工学)/日本建築学会副会長(2020〜21年)
慶應義塾大学名誉教授、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長
1959年 東京都生まれ/1981年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1983年 同大学院修了/(株)日建設計 環境計画室長、東京大学助教授、慶應義塾大学教授を経て、2024年より現職/博士(工学)/日本建築学会副会長(2020〜21年)









