自由な家
設計|アキチ アーキテクツ
第52回東京建築賞|住宅部門 最優秀賞

東より俯瞰する。緑化された屋上。






- 東より俯瞰する。緑化された屋上。
- 2階階段よりテラスと共用スペースを見る。*
- 3階住居。上部は屋根裏部屋吹き抜け。
- 1階貸室。
- 平面図
- 断面図
建築主:
非公開
表彰建築士
事務所:
事務所:
アキチ アーキテクツ一級建築士事務所
施工:
株式会社篠崎工務店
所在地:
東京都
主要用途:
一戸建ての住宅
構造:
RC造
階数:
地上3階
敷地面積:
37.00㎡
建築面積:
23.40㎡
延床面積:
57.64㎡
竣工:
2024(令和6)年5月
撮影:
関 拓弥、*新建築社写真部
設計趣旨:
小さい豊かな住まい
阿部勤さんとの共同設計である。限られた大きさを超える、意志や思想を幾重にも重ね、密度高く設計に反映させることを目指した。
駐車場2台分の敷地に建つ、ひとりの男性のための家。老後を視野に入れ、自分なりのコミュニティをつくる手段として家を建てる。シェアスペースはひとり暮らしの小さな器を、未知の可能性を秘めた場所にする。内と外の空間を重ねて小さな家を大きく住む。インテリアをコンパクトにして、アウトドアを大きくつくる。屋上まで続く階段とテラスは、空間に立体的な奥行きを与え、生活の変化を許容する豊かな半屋外空間となる。
建設費の高騰が厳しい中で躯体のヴォリュームを諦めず、ガストン・バシュラールのことばを指標として、地下室と屋根裏をつくることができた。鉛直軸は大地と天空を繋ぎ、個性的な住まいの顔を都市に示している。
自分らしさを追求する自由、暮らし方の自由、自然環境とつながる自由。家は人生を拘束するものではない。さまざまな変化に対応できる設えをもち、望むべく最期を育む場所となり、押し付けられた個性から解放される。「私」ではなく、「私たち」の家と建主が呼ぶこの家は、とても寛容で、大らかである。(吉田 州一郎、吉田 あい)

阿部 勤(あべ・つとむ)
1936年 東京都生まれ/1960年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1960年〜 坂倉準三建築研究所勤務/1971年 アーキヴィジョン建築研究所共同主宰/1975年 アルテック建築研究所共同主宰/1984年 アルテック設立/2023年 86歳にて逝去
1936年 東京都生まれ/1960年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1960年〜 坂倉準三建築研究所勤務/1971年 アーキヴィジョン建築研究所共同主宰/1975年 アルテック建築研究所共同主宰/1984年 アルテック設立/2023年 86歳にて逝去

吉田 州一郎(よしだ・くにいちろう)
アキチ アーキテクツ
1974年 長崎県生まれ/1997年 慶応義塾大学経済学部卒業/2005年 早稲田大学大学院修士課程修了/2005年〜 設計事務所、鉄鋼メーカー勤務を経て、2015年 アキチ アーキテクツ共同設立
アキチ アーキテクツ
1974年 長崎県生まれ/1997年 慶応義塾大学経済学部卒業/2005年 早稲田大学大学院修士課程修了/2005年〜 設計事務所、鉄鋼メーカー勤務を経て、2015年 アキチ アーキテクツ共同設立

吉田 あい(よしだ・あい)
アキチ アーキテクツ
1980年 広島県生まれ/2007年 早稲田大学大学院修士課程修了/2007年〜 クライン ダイサム アーキテクツ、スピークを経て、2015年 アキチ アーキテクツ共同設立
アキチ アーキテクツ
1980年 広島県生まれ/2007年 早稲田大学大学院修士課程修了/2007年〜 クライン ダイサム アーキテクツ、スピークを経て、2015年 アキチ アーキテクツ共同設立
選考評:
「自由な家」は、都内の37㎡の極小敷地に建つ単身者用の住宅である。建主の都心居住への思いと、外部から隔絶されたマンション暮らしへの疑念を出発点とし、生活を見つめ直す強い物語性を持つ。現地審査までは、省エネ性能や動線効率を度外視した構成に戸惑いを覚えたが、それが均質な住環境への問いかけであり、光や風を直接肌で感じるための確信的な選択であると家主の話から理解できた。建主はこの小さな家に合わせ、家具を手放し暮らし方を変容させていった。設計者との深い対話が結実し、建築主の強い意思そのものが物質化した力強い建築となっている。空間構成として、存在感の強いコンクリート打ち放しの外殻が、コンパクトな室内と半外部の階段・テラスを一体化し、心地よい光と風を感じる空間を生み出している。また、敷地の特殊性を活かし、手前に住宅地、遠くに高いビル群という都心ならではの風景が広がり、都市の中に浮かぶような居住体験を実現している。
特筆すべきは、上階を住居としながら下階をシェアスペースとして外部に開き、「街と人とつながる装置」として計画した点である。建主が「私たち」の家と呼ぶように、本作品はひとり暮らしの小さな器を未知の可能性を秘めた寛容な場所へと昇華させている。その点にこそ、極小敷地における都市居住の新たな可能性を強く感じた。(篠﨑 淳)

篠﨑 淳(しのざき・じゅん)
建築家、株式会社日本設計代表取締役社長
1963年 東京都生まれ/1986年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1988年 同大学理工学研究科修士課程修了後、日本設計入社/2003年 チーフアーキテクト、2015年 執行役員フェロー、2019年 取締役常務執行役員を経て、2020年現職
建築家、株式会社日本設計代表取締役社長
1963年 東京都生まれ/1986年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1988年 同大学理工学研究科修士課程修了後、日本設計入社/2003年 チーフアーキテクト、2015年 執行役員フェロー、2019年 取締役常務執行役員を経て、2020年現職














































