モランボン本社ビル
設計|プランテック
第47回東京建築賞|一般二類部門奨励賞
西側ファサード。
  • 西側ファサード。
  • 5階休憩室と北側のテラス。
  • 2階オープンスペース。
  • 執務スペース。
  • 1階エントランス。
  • 俯瞰CG
  • 配置図
  • 南北断面図
建築主:
モランボン株式会社
設計:
株式会社プランテック一級建築士事務所
施工:
株式会社安藤・間
所在地:
東京都府中市晴見町2-16-1
主要用途:
事務所
構造:
S造
階数:
地上5階
敷地面積:
1,548.99㎡
建築面積:
1,098.51㎡
延床面積:
3,761.32㎡
工事期間:
2017年3月〜2018年2月
撮影:
小林 浩志/SPIRAL
設計趣旨:
 韓国食材を中心に展開している食品メーカー、モランボン株式会社の本社ビル。
 府中街道とJR北府中駅に面した旗竿状の特殊な敷地形状の中で、周辺の住宅街に配慮しつつ、最大限のボリュームを確保した計画である。日影規制や高さ制限等の厳しい制約がある中、「モランボン(牡丹峰)=丘」をイメージして、多面体が立体的に展開する建物形状とした。建物北側は上階に向けて徐々にセットバックし、建物ボリュームを最大限確保。2、3階の執務エリアは、セットバック部分を吹き抜けでつないで上下階の連続性を確保し、部署間のコミュニケーションを誘発する構成とした。4階と5階の来客エリアや社員エリアは、セットバック部分に緑化を施したテラスを設け、もてなしの場、リフレッシュの場とした。本計画に際し、社員メンバーと設計者で「オフィス環境研究会」を発足させ、フレキシブルな働き方やコミュニケーションが自然と生まれる空間づくりを目指した。
(奥田 裕史、新井 ゆかり)
奥田 裕史(おくだ・ひろし)
プランテック
1985年 大阪府生まれ/2009年 近畿大学建築学科卒業/2012年 京都工芸繊維大学大学院修了後、株式会社プランテック入社
新井 ゆかり(あらい・ゆかり)
プランテック
1989年 青森県生まれ/2011年 宮城大学卒業/2011年 株式会社NTTファシリティーズ東北入社/2016年 株式会社プランテック入社
選考評:
 建設地は住宅地に囲まれた旗竿敷地に、日影規制、高さ制限などの厳しい法的制限がかけられたエリアにある。これらの規制をクリアしながら、最大限の床面積を確保するために、入念な検討が繰り返されたことが滲み出ているような建築である。立地にかかわる悪条件を克服し、周辺環境に配慮しながらさまざまに工夫された空間のつくり方に、設計者の並々ならぬ努力と力量が感じられる。
 その結果として生み出された空間は、各階に分かれたエリア相互の目線をできる限り遮ることなく、外部の眺望や緑化がされたバルコニーが巧みに取り入れ、全体的に本社ビルにふさわしい一体感を自然に醸し出すような構成となっている。
 こうしたことから、設計意図とされた「フレキシブルな働き方やコミュニケーションが無理なく生み出されることを目指した」ことが十分に理解できる。「旧社屋では仕事中の私語が禁止されていたが、新社屋ではそれが自由になった」との会社幹部からの言葉が、この建築のあり方を表現しているようで印象的であった。
 ただ、旗竿敷地の竿部分に相当するこの建築の顔である部分が、銀色に輝く多角形の屋根とアルミパネルの外壁で特徴付けられている。街道沿いのまちなみに対して突出し過ぎないように配慮したとのことではあるが、やや突出し過ぎてはいないだろうか。(金田 勝徳)
金田 勝徳(かねだ・かつのり)
構造家、株式会社構造計画プラス・ワン会長
1968年 日本大学理工学部建築学科卒業/1968〜86年 石本建築事務所/1986〜88年TIS&Partners/1988年〜現在 構造計画プラス・ワン/2005〜10年 芝浦工業大学工学部特任教授/2010〜14年 日本大学理工学部特任教授、工学博士