年頭のご挨拶
大内 達史
一般社団法人東京都建築士事務所協会 会長

 新年あけましておめでとうございます。
 東京都建築士事務所協会会員・賛助会員の皆様におかれましては、輝かしい2016年を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
昨年の6月1日の総会にて3期目の会長に就任させていただき、身の引き締まる思いでいっぱいです。これからの2年間を自身の集大成と考え、平成27年度の事業計画を実のあるものにすることを、役員と一緒に考えてまいります。そして会員のために何ができるのか、会員ひとりひとりが当協会に入会してよかったと思える協会づくりを皆で考えていきたいと思います。
 昨年8月末日に、財政基盤の確保のひとつとして当協会事務所の移転を実施しました。講習会などを当事務所で行うことで会場費を削減するだけでなく、当事務所において講習会、研修等を随時、率先して行うことにより、質の向上と倫理を養うことを心掛けてまいります。
 昨年6月25日、建築士法の改正が施行されました。それぞれに普及活動に専念していただきました会員の皆様に深く感謝いたします。これからも、この建築士法を基に「業の確立」に結びつけるため、会員それぞれの立場で、官庁、民間に対して積極的に普及活動をしていきましょう。
 会員増強については、ひとりの会員がひとりの入会を確保すれば現在の倍になるはずですが、そう簡単にはまいりません。会員増強対策特別委員会と一緒に考え、行動し、根気よく入会促進に努めていきたいと思います。
また、青年部会は、部会長と幹部の方々の努力により活発に活 動していただいており、会員増強はもちろんのこと、これからの当協会の柱になると思います。東京で開催される今年の一般社団法人日本建築士事務所協会連合会(日事連)の全国大会では、青年部会を設けている単位会の青年部会が一同に集結する、初めての公式会議を企画しています。若手設計事務所の経営や仕事のやり方などを話し合う場をつくりますが、そのためにはなにより情報の発信が必要です。
 多様な発注方式のあり方のひとつとして、デザインビルド(設計施工一括方式)についての話題を頻繁に耳にするようになりました。われわれ設計事務所は、たいへんな時代になるのではないかと危惧しています。その適正な運用を広く要望すると共に、設計監理業務を専業とする設計者の、社会における役割の大切さを明らかにしたいと思います。
 昨年の建築士法改正は消費者保護をいちばんの目的として施行されました。われわれは、10年前の構造計算書偽装問題以来、業務に携わる者として、消費者に対し安心・安全な建物づくりに取り組んでまいりましたが、今回の「杭データ改ざん事件」が起きてしまったことは残念でなりません。消費者の方々に設計・監理の重要性を認識していただきたいと思うと同時に、都民が安心して暮らせるお手伝いを当協会が率先してやるべきと考え、当協会内に「杭打ち工事に関する緊急相談窓口」を設置しました。これからも都民の皆様に安心・安全を提供することを心掛けてまいります。
ひとりひとりが技術はもとより、倫理の重要性を認識し合いましょう。

大内 達史(おおうち・たつし)
1943年北海道生まれ。日本大学卒業後、1967年株式会社協立建築設計事務所に入社。1998年同社代表取締役社長に就任。同社の主な設計建築物に「ヨドバシAkiba」など。2011年一般社団法人東京都建築士事務所協会会長に初選出され、今回で3期目となる。2014年一般社団法人日本建築士事務所協会連合会の会長に選出される。
西倉 努
一般社団法人東京都建築士事務所協会 会長代行(副会長)
 皆様におかれましては清々しい年を迎えられたこととお慶び申し上げます。東京五輪とパラリンピック開催まで4年と数ヶ月になりました。今後も建設業界へのさまざまな影響があるものと考えられ、その対応が必要になると思われます。また、安倍総理が提唱した「1億総活躍社会」に向けた緊急対策が発表されました。それには2020年までに介護の新たな受け入れ施設を50万人分以上整備するなどが盛り込まれておりますので、建築界にとっても追い風となりそうです。
 建築界では、構造計算書偽装事件から10年目の昨年、今度は「杭打ちデータ改ざん問題」が発覚し消費者の不安を駆っておりますが、今回、一連の関係者の対応を見ていて気になったことがあります。それは元請施工者がなかなか見解を示さなかったことです。杭打ち業者の過失は当然のことですが、施工全般の最終的な管理責任は元請施工者にあり、その意識の欠如がうかがえます。もうひとつは、設計・工事監理者の姿が浮かび上がらないことです。これは、一連の建築生産システムの中で設計・工事監理者の果たした業務が社会一般に知られていないことを示しています。この機会を捉え、建築士法で謳われてている業務を認識していただけるよう社会にアピールする時と考えます。
 そして、法定団体である私たち東京都建築士事務所協会は、建築の設計と工事監理およびその広範な周辺業務を行う事務所の団体として、会員への数々のサービスの提供と共に、消費者である顧客や国民に信頼される社会貢献をする責務があります。今年も、私たちは地域に根差した活動を基盤に、行政等と協働し都民全般の負託にこたえられる協会へと発展する活動をしたいと考えています。それには、改正建築士法を広く社会に広報すると共に、私たちの組織の存在と活動を認知してもらう必要があります。年頭にあたり、会長を補佐して協会の透明性の確保に努め、会員加入率を高めて、建築士事務所登録事務や事務所の業務等の年次報告受付などの公的業務を通じて、社会に貢献する協会を目指して努力することをお誓い申し上げます。
西倉 努(にしくら・つとむ)
1948年生まれ/1970年日本大学工学部建築学科卒業後、株式会社ユニバァサル設計事務所入社/現在、株式会社ユニバァサル設計事務所 代表取締役会長/港支部
加藤 昇
一般社団法人東京都建築士事務所協会 副会長
 明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては、平成28年の新年を健やかに迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
 歳のせいでしょうか、1年が瞬く間に過ぎてしまった感があります。そう感じているのは私だけでしょうか?
昨年もさまざまな出来事、事件がありましたが、「パークシティLaLa横浜」傾き事件で発覚した杭騒動について考えてみました。
 一部マスコミは面白可笑しく、「傾斜マンション」、「データ改ざん、偽装」と訴え、責任所在の追及と住民への補償について取り上げています。住民への補償は大事なことではありますが、設計技術者の端くれとしてこの問題を捉えてみますと、ここには「建築生産の多重性、専門分割の問題」、「設計技術力の問題」、「建築物の品質確保と工事監理業務のあり方、そしてそれに伴う報酬」、等々の多くの問題が含まれていることが分かります。これらの問題ひとつひとつについて、本質の問題解決に向けての検討を進めていくことが必要であり、同時に社会やマスコミに丁寧に説明をして理解を求めることを行っていかなければと思っています。
 さて、昨年6月には改正建築士法が施行され、業の確立に向けての第一歩を踏み出すことができました。また8月には、本部事務所を新宿五丁目の渡菱ビルへ無事に移転をすることができ、さらに10月の全国大会では、会員増強活動の優秀単位会表彰を受けることができました。これらはすべて、会員の皆様の努力と協力のおかげであり、心より感謝しております。
 今年1年の会員の皆様のご健勝、ご活躍と業務の発展を祈念し、微力ながら本会発展のために全力で取り組んでまいる所存ですので、会員の皆様には引き続きのご指導、ご協力を、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
加藤 昇(かとう・のぼる)
1948年生まれ/1971年日本大学生産工学部建築工学科卒業/1971〜92年日本鉄道建設公団/1992年株式会社安井建築設計事務所/現在、同企画部部長/千代田支部
竹松 和利
一般社団法人東京都建築士事務所協会 副会長
 皆様、新年明けましておめでとうございます。本年が素晴らしい年となりますようお祈り申し上げます。
 思い起こせば、昨年は人為的な大きな事件がいくつもありました。テロや戦争、難民等、以前からあったようで段々身近に来ているような漠然とした不安を感じさせられる年だったように思います。今年は、皆が前を向き、事態を好転できるよう、祈念してやみません。
 昨年、われわれの周囲で関心の高かったのは、杭打ち工事の偽造の発覚でした。しかし、世の中の騒ぎに比べ、身近なわれわれの方が遥かに落ち着いて受け止めたのはなぜでしょうか。われわれが、「これは悪意ある偽造かもしれないが、建設業界の構造からきたものかもしれない」と思っていたからではないでしょうか。今回発覚したのはマンションでしたので、「青田売り」による工期の問題が取り沙汰されましたが、元請から下請、孫請と連なる受注構造が抱える歪みが、原因のひとつではないかと思っている建築関係者は多いと思います。
 どんな業界にもよさがあり、そうでない部分があります。設計業界はどうでしょうか。皆様にもさまざまな思いがあろうかと思います。長年の構造を簡単に変えることは難しいかもしれません。が、よりよい業界になれるよう、力を合わせてまいりましょう。そのためにも会員増強に力を入れ、多くの皆様の立場が反映される団体にしたいと思っております。
 本年もどうぞよろしくお願い致します。
竹松 和利(たけまつ・かずとし)
1949年生まれ/日本大学法学部卒業/1983年事務所設立/現在、有限会社竹松建築設計事務所代表 代表取締役/北部支部
山下 登
一般社団法人東京都建築士事務所協会 副会長
 会員の皆様におかれましては平成28年の輝かしい新春をお迎えになりお慶び申しあげます。
 昨年の全国大会において、東京会は会員増強において顕著であり、これを表彰されました。これも会員皆様の努力のおかげと感謝申し上げます。それでもなお今年の課題も会員増強にあると思います。何といっても会員数の増加がこの会の趨勢を決めるものです。引き続き会員ひとりひとりが新会員を紹介していただき、会員数を倍増してもらいたいと思います。本部の理事、各委員会の役員等、皆様本当に一生懸命その役目を果たしていただいています。
 一般の会員の皆様は本部やブロックそして支部の活動に参加していただき、会の活性化になおいっそう取り組んでいただきたい。そして新会員を増やそうではありませんか。辞めていく会員は総じて会の活動に参加しなかった方々です。そういう会員に声をかけて活動への参加を促し、酒を飲んでも飲まなくてもさらなるコミュニケーションを図っていただきたい。
 会の活性化については、ブロック、支部の役員は、常に少しずつ本部の新役員、新委員に入っていただきたいと思います。古くからいる役員、委員の皆様を追い出すのではなく、そのもっている情報や技術をだんだんと新メンバーに伝えることで、会が充実すると思います。何年かかけて更新していくことが、業務の引き継ぎをスムースにし、役員や委員の方々の情報やご苦労が、新役員、委員に伝わるでしょう。
 その他いろいろありますが、会員の皆様には、会のホームページや、会報誌『コア東京』と「コア東京Web」をご覧いただき、支部やブロックの会員相互の情報交換によって会を活性化させていただきたいと思います。われわれ副会長は会長を支え、会の充実のためになおいっそう努力する所存です。
 皆様のますますのご発展とご健勝をお祈り申し上げます。
山下 登(やました・のぼる)
1943年生まれ/日本大学理工学部建築学科卒業/現在、有限会社山下建築事務所 代表取締役/荒川支部
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