テクノロジープラス ②
最新シロアリ事情
平 一暁(東京都建築士事務所協会賛助会員会副代表、企画・広報委員、株式会社 テオリアハウスクリニック)
■はじめに
 世間一般で、シロアリはどのように認識されているのでしょうか。『広辞苑』で調べてみると、「シロアリ目の昆虫の総称。体の形はややアリに似るが常に暗い所にすみ、体の色も白い。アリに似た社会生活を営み、木材の内部に食い入って、家屋などに大害を加える。日本にはヤマトシロアリ、イエシロアリなど。熱帯には巨大な塚をつくるツカシロアリなどがいる」とあります。ここまで語ることができたら大したもので、おそらく一般的には「木を食べる家の害虫」という程度かと思います。
 このシロアリたちによる日本での被害は、この10年ほどで想定外なことが起こり始めています。原因のひとつは、温暖化に伴う変化。もうひとつは、建物に関わる人たちの知識不足から派生する想定外。最後に、外来種による脅威。今回は、この3点について述べてみたいと思います。
写真1 ヤマトシロアリの職蟻。
写真2 イエシロアリの職蟻。
図1 シロアリの分布図。
■1 温暖化に伴う変化
 桜の開花が早くなり、夏は猛暑、台風や豪雨の被害はより甚大になり、日々の寒暖差も激しくなっています。地球規模の温暖化により、南極の氷河の融解による海面上昇なども心配されていますが、これはシロアリの活動でも例外ではありません。
 まずは生息域の変化です。『広辞苑』でも説明されていたように、日本には主にヤマトシロアリとイエシロアリという2種類のシロアリが生息しています。(図①)
-4℃のラインを超えるヤマトシロアリ生息域
 ヤマトシロアリ(写真1)は北海道の一部を除いて日本全国に生息しているシロアリです。1月の平均気温-4℃のラインが生息域の限界といわれ、冬眠はせず、6℃で活動を始め、12℃~30℃が活動好適温度。このため北海道の地図には-4℃ラインが引かれて、そのままヤマトシロアリの生息域として説明されてきました。また生息をしているといっても活動開始温度は6℃前後ですから、北海道の住宅はこれまでほとんどシロアリのことを想定されないままに建てられてきたと思われます。特に北海道の場合、断熱施工なしに住宅は考えられず、基礎断熱処理も相当量行われてきました。今後、ヤマトシロアリを想定していない建物にシロアリ被害の多発が心配されています。生息地域に関して別の学説では、「1日の最低気温0℃以下の日が150日より少ないところ」という説明もあります。昨今の北海道の気象状況を考えると、生息域がかなり変化していてもおかしくはないように思われます。
イエシロアリも4℃ラインを超えて
 イエシロアリ(写真2)についても同様です。私が現在の防蟻業界に入った17年前、イエシロアリ生息の北限は三浦半島の突端、ならびに房総半島の突端まで、と教わったものです(図1)。このイエシロアリ、水の持ち運びができることから、壁の中や小屋裏にまで巣をつくることが可能で、そのためヤマトシロアリに比べて被害はより甚大になります。ただ当時、私は「どうせ被害のエリアは西日本の温暖な地域に限られるので、自分には関係ない」と高を括ってました。実際、イエシロアリの場合は1月の平均気温4℃のラインが生息域とも聞いていました。しかし業務を行う中で、被害発生地域が年々北上していったのです。横須賀から逗子、横浜、川崎、そして新宿。自分がこれまでに聞く限りの被害確認地域は、茨城県結城市になります。まだイエシロアリがそこら中にいる、という訳ではないにしろ、被害に遭う可能性は東京でもゼロではなくなっています。イエシロアリの生息域は、実は1月の平均気温0℃のラインという説もありますので、注意が必要です。
図2 シロアリやクロアリの羽アリ群飛時期。
シロアリの羽アリの発生時期の変化
 さらに温暖化で影響があるのは、シロアリの羽アリの発生時期です。ヤマトシロアリの場合、羽アリが飛び立って土の上に着地すると、羽根を落として2匹が対になって地中に潜り、一方が女王アリ、もう一方が王アリになって卵を産み始めます。羽アリが飛ぶという行動は、まさに子孫繁栄の行為です。またシロアリのコロニー(集団)が数千、数万頭単位になると飛び立つので、室内での羽アリ発生はシロアリ被害の目安でもあります。
 この羽アリ発生の時期ですが、ヤマトシロアリの場合、関東地方であれば4月下旬から5月にかけて、特にゴールデンウィークの前後が定番(図2)で、ここが防蟻会社の繁忙期。社内の電話も一斉に鳴り始め、ここからの1~2カ月で被害が発見された住宅の診断や駆除をこなしていくのが常でした。しかし一昨年(2018年)、今まででは考えられない事が起こったのです。
 この年は桜の開花も相当早かったのですが、4月6日に杉並区のあるお宅から「羽アリが出ているので見に来て欲しい」との電話が。その後、続々とあちこちから着電が続きました。実際に点検すると、やはりヤマトシロアリの羽アリ。そして蟻害。未だかつて関東でヤマトシロアリの羽アリが4月上旬に飛んだという話は聞いたことがなく、驚愕の出来事でした。この年は、羽アリ群飛の点検依頼がダラダラと5月まで続きました。
 羽アリ発生が異常に早かった一昨年とは裏腹に、この10年でほとんど羽アリが発生しないという年もありました。ヤマトシロアリの羽アリの群飛は、気象状況に左右されます。雨上がりの翌日、湿気があって風がなく、暖かくてモァ~っとしたこの時期特融の気象状況になった午前中に、羽アリは飛び出します。なので殺虫剤を撒かなくても、急に風が吹き出したり、カラッと晴れるような気象状況に変わると、ピタッと止まります。最近は4月からの2カ月間でこの時期特有の気象状況にならない年もありました。ジメッとせず、ずっと乾燥している。カラッと晴れて、何かと風が吹く、という状況です。
 目に見えて被害の有無に気づくことができる、年に一度のチャンスが羽アリの発生なのですが、その機会がないと被害発見に至らず、気がついた時にはより甚大な被害になってしまう恐れがあります。
 温暖化に伴うシロアリの行動の変化は、これまでの常識を覆してしまうほどのスケールになってきています。
■2 知識不足から派生する想定外
 「マンションにはシロアリ被害はない」。なぜかと聞けば、重量鉄骨造だから……、コンクリートの箱だから……といった回答になるのですが、実際にはマンションでもシロアリの被害が出ています。主な被害は1階になりますが、理由は「室内の部材に木材が使われ、シロアリはコンクリートも貫通するから」です。
写真3 ベタ基礎を突破した蟻道。
写真4 ベタ基礎を突破した蟻道。
図3 ベタ基礎でのシロアリ侵入経路。
シロアリはベタ基礎を突破する
 シロアリは室内に使われている木材を食べるためには、コンクリートも突破します(写真3、4、図3)。
 0.6mmのクラックがあればコンクリートの粒をひとつずつ外し、貫通するといわれています。また鉄骨そのものと無機質のガラス以外は、プラスチック、ビニール、発泡スチロール、鉛など何でも貫通してしまうのです。建物に携わる方々に、この知識がないと想定外ということになってしまうのですが、こんな想定外があっていいものだろうか、と心配になってしまいます。さすがに鉄骨造であれば、どんなにシロアリに食害されても建物が傾く、崩れる、といったことは起こりません。しかし、室内のフローリングがズタズタになる、柱からとめどなく羽アリが出てくる、といった現象はたとえマンションでも実際に起きているのです。
 同様のことは戸建住宅でも起きています。最近の住宅の床下は、土間コン、ベタ基礎です。「ウチの住宅の床下はコンクリートで湿気もないですから安心ですよ……」と販売し、「コンクリートだから、シロアリ被害は起こらないのネ」と安心して購入する。そもそも、建築基準法施行令第49条第2項の外壁内部等の防腐措置等では、「構造耐力上主要な部分である柱、筋交い及び土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を構ずるとともに、必要に応じて、白蟻その他の虫による害を防ぐための措置を構じなければならない」とありますが、明確な措置の方法がなく、長期固定金利住宅ローンの「フラット35」の定義では、ベタ基礎で床下部分の地盤を覆うことだけで防蟻処理を行ったと看做されたことから、新築時で防蟻処理薬剤を散布しない住宅も増えました。結果として、ウチの床下はコンクリートだから、築5年以上経っても予防しなくていい、と思っている方が非常に多く、想定外の被害に遭われています。
写真5 基礎断熱材にできたシロアリの痕跡。
写真6 外基礎断熱材を剥がして見つかった蟻道。
図4 基礎断熱からのシロアリ侵入経路。
図5 発泡ウレタン材が施された際のシロアリ侵入経路。
基礎断熱がシロアリ被害を深刻化させるケース
 さらにこの10年ほどで、高気密高断熱を謳う住宅が増え、コンクリート基礎に断熱材を施すケースが増加しています。実はこれに伴ってシロアリ被害の急増が深刻化しています。シロアリは体内の水分が蒸発しないように直射日光や明るい場所を避け、地中を徘徊しています。住宅に入り込んで被害を及ぼす場合は、基本的に薄暗い床下から基礎の内側などに、土や排泄物で蟻道というトンネルをつくり、その中を通って木材に達するとそれを食害します。しかし基礎に断熱材が施されていると、その接した面すべてがシロアリの通り道になる可能性があるのです(写真5、6、図4)。蟻道をつくる労力がいらず、光は入らず、温度が保たれ、湿気も失われない、シロアリからすればそんな天国のような通り道、それが基礎全面に準備されている基礎断熱なのです。
 しかも始末が悪いのは、シロアリがそんな悪さをしているか否かは、断熱材をすべて剥がしてみないと確認できません。最近では発泡ウレタン材による内基礎断熱が施される住宅(図5)もありますが、気がついた時には甚大な被害になっているケースは多く、駆除を行うにも発泡ウレタン材を全面剥がし、削り取った上で駆除施工しなければならず、その労力は半端ではありません。
 シロアリのことをまったく想定しないまま普及してしまったであろう基礎断熱。前項でも述べましたが、北海道ではシロアリなどたいしていない、という考えで、予防対策も行わずそこら中の住宅が基礎断熱仕様ですが、今後の温暖化で生息域が広がったらいったいどうなってしまうのか、心配でなりません。
写真7 アメリカカンザイシロアリの職蟻。
■3 外来種の脅威──アメリカカンザイ(乾材)シロアリ
 そして、外来種。以前はほぼヤマトシロアリしかいなかった東日本の人たちからすれば、イエシロアリは西日本からの外来種のようなものです。ヤマトシロアリであれば、雨漏り、水漏れなどがなければ被害は建物の1階までで収まるものが、イエシロアリとなると、2階でも、3階でも、小屋裏にさえ被害が及ぶ。だからこそ東日本に住む人たちに比べ、西日本の人たちはシロアリ被害に対して敏感なのですが……。
 被害が甚大なイエシロアリ。しかし、それを上回る脅威の被害を及ぼす外来種のシロアリが、1976年に発見されました。その名もアメリカカンザイシロアリ(写真7)。原産地は北アメリカのカリフォルニア州からワシントン州にかけてで、西海岸に広く分布。日本で初めて発見されたのは、東京都江戸川区。おそらくは輸入家具、輸入木材とともに上陸したものと思われます。でも、ろくに水分もない中で、どうやって輸入家具とともに入国できてしまったのか……。アメリカカンザイシロアリの「カンザイ」を漢字で書くと「乾材」。ごくわずかな水分しかない乾いた木材ですら関係なく食害できてしまうことに由来しています。発見から40年以上経ちましたが、アメリカカンザイシロアリは日本の気候に適合してしまい、現在に至っています。
 かなり注目されたのは、2009年1月19日に弊社が取材協力を行って放送された、NHK総合の「クローズアップ現代」。このオンエアをきっかけに民放夕方のニュース番組や情報番組でも一斉に取り上げられ、アメリカカンザイシロアリの知名度はかなり上がり、有名になりました。その後、マスコミに取り上げられる頻度も減り、収束したと思っている方も多いのですが、残念なことにジワジワと被害は広がり続けています。
写真8 アメリカカンザイシロアリの食害。
写真9 虫孔から落ちるアメリカカンザイシロアリの糞。
写真10 アメリカカンザイシロアリの被害。
浸入経路が想定外のアメリカカンザイシロアリ
 アメリカカンザイシロアリは、レイビシロアリ科に属するシロアリで、近い仲間にはハワイシロアリ、ダイコクシロアリ、ニシインドカンザイシロアリ等がいますが、これまで日本にいるヤマトシロアリやイエシロアリとの決定的な違いは、水分補給とそれに伴う住宅への侵入方法の違い、ということになります。水の持ち運び能力の有無はあれど、ヤマトシロアリもイエシロアリも地中を徘徊して水分補給を行う地下シロアリの部類。どちらも住宅に侵入する場合は、基本的には土の中から床下に入り込み、蟻道をつくって構造部材の木部に入り込むという経路をたどります。しかしアメリカカンザイシロアリの場合、気乾状態の木材に含まれるごくわずかの水分を体内に取り入れることができるので、必ずしも床下から侵入する必要はありません。
 たとえばアメリカカンザイシロアリの羽アリが家の屋根に着地したら屋根の部材から食害することが可能なのです。外壁の若干の隙間や、柱のちょっとした釘穴から入り込むことも可能。通常のシロアリ対策であれば、床下に入り蟻道や食害をチェックし、駆除や予防措置をとれば問題なかったのに、どこから被害が発生するのかわからない、侵入経路がまったく想定外のシロアリだったのです。人間の病気に例えるなら癌が体内のどこに転移し、病巣がどう拡大してしまうのか見当もつかない……そんな感じです。
 アメリカカンザイシロアリは、木部内に入り込むと、1匹だけでも食害を始めます。食害の痕跡は、木部内に滑らかな空洞を舐めるように広げていくという感じ(写真8)。被害が進行しているかどうかは一見してもよくわかりませんが、木部の小さな穴から木くずが落ちてくるようだと要注意。窓枠、軒下など、気がつくと木くずが小山になっているようだともっと要注意。それが漢方薬のような、丸くて小さな俵みたいな粒状の木くずなら、それはアメリカカンザイシロアリの糞です(写真9)。被害の有無は表面上ではまったくわかりませんが、木部表面に直径3~4mmの丸い虫孔をつくり、木部内から糞を落とします。この糞のみが食害の手がかりになります。黒っぽい土台を食べれば黒っぽい糞に、薄茶色の窓枠を食べれば薄茶色の糞になります。
 このアメリカカンザイシロアリは、そこら中にまんべんなくいるわけではなく、ある特定の地域に局所的にいます。羽アリは6月前後に飛び立ちますが、状況によっては1年中飛ぶ可能性もあります。飛び方は地下シロアリの2種と同様、弱い風に乗って漂うようにフワフワと飛ぶ感じですから、何百mも一気に移動できるわけではありません。ただ、ある被害地域では、1件の廃屋がアメリカカンザイシロアリの巣窟になってしまい、毎年その廃屋から6月前後に羽アリが群飛し、10年近くかけて廃屋を中心に半径2㎞のエリアで被害が拡大した、という例があります。被害エリアの拡大は、少しずつ、ジワジワと。逆に、発見が早ければ、その1件だけでエリア拡大せずに終わる場合もあります。怖いのは人が気づかずに運び出してしまうケース。新型コロナウイルスのようですが、東京の被害エリアに住んでいたお宅のお嬢さんが宮城県の大学入学と共に単身で引っ越したら、食害されていた机と共に移動してしまい新たな被害エリアができた、という事例もありました。被害があり、食害中のアメリカカンザイシロアリがいる家具や部材を、人間が移動させているケースはまだまだあるかと思います。
 予防対策が難しいアメリカカンザイシロアリ。地下シロアリと違って家のどこから侵入してくるのかわからないわけですから、予防するとしたら建物全面に対策を行わなければなりません。考えられる予防対策は、圧力をかけて薬剤を浸透させた加圧注入木材を、使用するすべての木部材で使うこと。ただこの場合、コスト的にはかなり割高になりますし、建築中に木材に一部穴を開けたり、削ったり、くり抜いたりすると、アメリカカンザイシロアリが侵入できてしまう可能性をつくってしまうことになります。また、最近はホウ酸を提唱する団体もいくつか出てきています。自然物で安全、アメリカカンザイシロアリ対策にも有効、と打ち出しています。確かにそんな強みもありますが、反面弱点もあります。元々、ホウ酸は鉱物。それを砕いて粉々にしてパウダー状にし、使用する場合は水に拡散させて塗布します。このため、雨や結露などで水滴が流れ落ちると、ホウ酸も一緒に流れ落ちてしまいます。建築中には工程ごとに何度となく塗布する上に、雨が降れば再度塗り直しということになり、非常に手間がかかります。また建築後、結露が発生してしまえばそこから侵入される恐れもあります。また防蟻薬剤の場合、シロアリが薬剤に触れればやがて死んでしまいますが、ホウ酸は自然物なので塗布してある木部表面を歩いただけでは死にません。木部表面をかじってホウ酸を体内に入れて初めて効果があるのです。またアメリカカンザイシロアリに対するホウ酸の致死量は相当量を取り込まないと死なない、という説もあり、一長一短があります。
 弊社がアメリカカンザイシロアリの駆除を行う場合は、床下、室内、収納部、小屋裏など、ありとあらゆる箇所で糞の有無をチェック。その上で、糞のあった各所から木部材の虫孔を探し、被害箇所のあたりをつけて千鳥で穿孔し、そこにムース状の薬剤を注入。食害部分に薬剤を流し込んで、そこにいるアメリカカンザイシロアリに触れさせて駆除する、と気の遠くなるようなしらみつぶしの作業を続けます。それでも薬剤が届かず、アメリカカンザイシロアリが生き残る場合もあるため、保証はつけられません。それほど駆除が厄介なシロアリといえます。アメリカでは住宅を丸ごと幕で包み込み、幕内に毒ガスを注入して一網打尽で駆除する、という方法があり、日本にも導入されました。ただ日本の住宅事情では、家を丸ごと幕で包み込めるような環境にあるお宅はなかなかなく、この駆除方法を行った際に立ち会った業者の方が毒ガスを吸って死亡してしまった事故もあり、なかなか日本では浸透していないのが現状です。
 前述した、半径2㎞の範囲でアメリカカンザイシロアリの被害が出ているというエリアは、弊社に割と近い所にあり、もう10数年来のお付き合いのお宅も多々あります。住宅を一旦、スケルトン状態にして徹底駆除した上で、大規模リフォームを行ったというお宅もありました。ただ、エリアでは未だに羽アリも飛ぶため、なかなか完全駆除は難しく、被害が出たら呼ばれて駆除、という作業を繰り返し続けさせてもらっています。それにしてもこのエリアを歩くと、門柱脇や窓枠下など、あちこちに糞の山が当たり前のように見られ、こんな風景を目にするといたたまれなくなります。糞は見受けられるのに、被害に気づいていないお宅もまだまだあり、また、そんなエリアで家の新築が始まっても自分にはどうすることもできず、何ともいえない気持ちになります。
■最後に
 たかがシロアリ、されどシロアリ。シロアリをまったく想定せずに住宅を建ててしまうと、完璧に建てたつもりでも、そのしっぺ返しはけして軽くはありません。何ごとも、「知らない」ということは、ある意味怖いことでもあります。今年の4月1日からは民法改正となり、知らなかったでは済まされない事象も増えてくることでしょう。住宅を建てる際、ぜひ頭の片隅にシロアリ対策を置いていただけたら、長期に渡って住み継がれる住宅になるのではないか、と思っております。
平 一暁(たいら・かずあき)
東東京都建築士事務所協会賛助会員会副代表、企画・広報委員、株式会社 テオリアハウスクリニック 取締役 法人営業部長
1987年 日本大学芸術学部文芸学科卒業後、約17年に渡り芸能界にてマネージャー業務やプロモーション担当、ファンクラブ運営、総務・経理・著作権管理、Webチケット販売の開拓などに携わる/2003年 関東白蟻防除(現テオリアハウスクリニック)に入社。点検業務から営業所所長を経て現職