空き家処分に関する相続税の勉強会
北部支部|令和元(2019)年10月8日(火)@菊池建設株式会社会議室
小山 充男(東京都建築士事務所協会北部支部、建築工房 上二 一級建築士事務所)
勉強会風景。(撮影:奥山 安雪)
 北部支部主催による「空き家処分に関する相続税の勉強会」は、講師に税理士で明治大学経営学部客員教授でもある浅見透先生をお招きし、支部会員と協力会を合わせて28社が参加して開催された。
 空き家は年々増加しており、支部地域の武蔵野市でも13%、小平市では10%となっている。人口減少に歯止めがかからない状況下では空き家は増えるばかりである。空き家は活用するアイデアも大事だが、大方は売却などの処分が現実的になる。このような状況においてクライアントの相談に応じるには、建築士のスキルだけでは不十分であり、相続税に関する知識も必要だということが勉強会の趣旨である。
 「空き家処分に関する相続税の勉強会」と銘打っているが、会の冒頭には消費税が10%に上がった時期と重なったこともあり、消費税など税制に関して幅広くご講演いただいた。消費税の話は、それに関わるキャッシュバック(期間限定)に関するお得な情報や、制度が複雑になったゆえの税制の不備などの裏話など、多岐に渡る話を興味深く聞くことができた。
 本題の居住(空き家)に関する税務に関しては煩雑なうえ適用要件も多く、税理士でも間違える場合があるとのこと。建築士はどんな税制上の特例があるかを押さえ、クライアントから相談を受けた際は「こういったものがありますよ」と説明ができれば、その後は専門家にお願いすればよさそうである。居住に関しての税制は譲渡税、所得税、住民税、相続税、贈与税と多岐に渡っている。
 勉強会はその中の所得税、贈与税、相続税の特例に関する話が中心となった。この税の特例に関しては国税庁のホームページにチェックシートが用意されているとのこと。こういった情報を得られただけでも有意義であった。
 税制に関しては私たちの実務に直接的には関わってこない。しかし空き家問題が顕在化してきた昨今において、建築のゼネラリストとして税制の知識の必要性を感じた勉強会だった。
小山 充男(こやま・みつお)
東京都建築士事務所協会北部支部、建築工房 上二 一級建築士事務所
1967年長野県松本市生まれ/武蔵野美術大学建築学科卒業