思い出のスケッチ #325
EMPIRE STATE BUILDING
森川 浩弌郎(元YENDO ASSOCIATES INC.、米国コネチカット州在住)
 ニューヨークのシンボルとなるこのエンパイア・ステート・ビルディングは、一九二九年のウオール街の株価大暴落で始まる大恐慌のあと、一九三〇年三月に建設が始まり一九三一年四月に完成したオフィスビルですが、一九四〇年代まで多くが空室で、エンプティ・ステート・ビルディングと呼ばれていました。
 このビルができるまでクライスラービルが世界一の高さを誇っていましたが、それを追い越すべく一年と一カ月の超スピードで完成しています。そしてワールド・トレード・センターが完成する一九七〇年まで世界一の高さを誇っていました。
 今ではニューヨークを訪れる観光客は必ず訪れる名所となっています。八六階と一〇二階に展望台があり、ここから三六〇度見渡すマンハッタンの光景は素晴らしく、特に夜景のすばらしさは筆舌に尽くせません。空気の澄んだ冬の季節は特に良いのですが、外に出ると風が冷たくて5分も居られなくなります。
 建物は五番街の三四丁目と三三丁目の間の西側にあり、グランドセントラル駅から四二丁目の通りを西に歩いて五番街に出ると左手にその姿を現します。スケッチをするには距離や角度によって建物の表情が異なるので、建物が良く見える所を探すのに苦労します。
 このスケッチは少し離れたマジソンスクエアパークの横、五番街とブロードウェイに挟まれた広場のフラットアイアン・パブリック・プラザから見える姿を描いています。このちょうど後ろにフラットアイアンビルがある所です。
 夜になると建物上層部にライトアップされます。通常は白色ですが、特別の記念日にはその日の内容に応じて色が変えられ、独立記念日や、大統領就任の日には赤白青に、クリスマスの時は赤と緑に変わります。最頂部はテレビ塔でアール・デコのデザインが施されています。
森川 浩弌郎(もりかわ・こういちろう)
1960年 大阪市立都島工業高等学校卒業/1960年 大阪で圓堂建築設計事務所に入所/1962年 圓堂建築設計事務所東京に移転にともない東京に移転/1966 - 1968年 圓堂建築設計事務所勤務中、中村順平先生に師事する/1991 - 1997年 YENDO ASSOCIATES INC.ニューヨーク事務所に勤務/現在、米国コネチカット州に在住