社労士豆知識 第35回
介護離職について
若田 充子(ヴィジョン・ウィズ社労士事務所)

 高齢者人口は年々増加しており、介護保険制度における要支援・要介護認定者は増え続けています。それに伴い、介護に従事する人は増えていますが、核家族化や兄弟姉妹数の減少から、ひとりに対する介護の負担は増加しています。そのため介護と仕事の両立が難しくなり離職(介護離職)をする人が増えていますが、親の介護を担う世代は40代から50代といった、会社の中で比較的重責を担っている人であることが多いため、介護離職は会社にとっても大きな損失です。
図表1:男女別年齢階級別介護をしている雇用数と雇用者総数に占める割合
総務省「就業構造基本調査」(平成24年)
図表1:介護を機に離職した理由
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)
 さらに、その損失は一事業所の問題にとどまらず、労働力人口が益々減少していくことが予想される日本全体から考えても、早急に手を打たなければならない問題のひとつといえます。
 介護離職を防ぐために、事業所は何をどのように整備する必要があるでしょうか。
 調査によれば、介護に関する具体的な不安として、公的介護保険制度の仕組みがわからない(53.3%)、仕事を辞めずに介護と仕事を両立するための仕組みがわからない(44.7%)が多く挙げられています(株式会社wiwiw「仕事と介護の両立支援事業 社内アンケート(事前)」平成26年度厚生労働省委託事業より)。介護はいつ必要になるかわかりません。突然訪れるその時のために、従業員にあらかじめ介護を行う労働者が利用できる制度や公的給付について周知しておくことが大切です。
育児・介護休業法
 労働者の仕事と介護の両立を支援する法律として、「育児・介護休業法」がありますが、簡単に内容を説明します。
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①対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を取得できる。
②対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで半日単位で介護休暇を取得できる。
③事業主は、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度、介護サービス費用助成のいずれかの措置について、介護休業とは別に利用開始から3年間で2回以上の利用が可能な措置を講じなければならない。
④1回の請求につき1月以上1年以内の期間で所定外労働の免除を請求できる。
⑤1ヵ月に24時間、1年に150時間を超える時間外労働が免除される。
⑥深夜業が免除される。
⑦事業主は、就業場所の変更により介護が困難になる従業員がいるときは、その介護の状況に配慮しなければならない。
⑧事業主は、介護休業などの申出や取得を理由として解雇などの不利益取扱をしてはならない。
⑨雇用保険の被保険者が要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たせば、介護休業開始時賃金月額の67%が介護休業開始日から最長3カ月間支給される。
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 上記①の介護休業は、介護を行うためだけではなく、地域包括支援センターやケアマネージャーへの相談、市区町村窓口での申請手続きなどを行う準備期間として利用できます。
 介護が必要になる従業員の把握や、実際に介護をしなくてはならなくなったときに、どのような手順を踏めばいいのかなどを、社内全体で話し合う機会をもつことは、従業員において、日頃から介護が始まっても仕事を続ける方法をシュミレーションすることにもつながり、介護離職防止について有益だといえます。
若田 充子(わかた・みつこ)
1975年岐阜県生まれ/1999年中部大学工学部卒業/1999年特許事務所入社/現在ヴィジョン・ウィズ社労士事務所代表
カテゴリー:建築法規 / 行政
タグ:社労士