土地家屋調査士豆知識 第1回
土地家屋調査士とは
國吉 正和(國吉土地家屋調査士事務所)
土地家屋調査士の徽章。
土地家屋調査士とは
 土地家屋調査士という資格者をご存知でしょうか?
 土地家屋調査士は、法務大臣が実施する土地家屋調査士試験に合格し、土地家屋調査士会に入会、登録を受けた国家資格者です。
 業務の概要は、土地建物の調査・測量、表示に関する登記、筆界特定手続、土地境界に関係するADR(裁判外紛争解決手続)、その他これらに関連する業務です。中でも土地や建物の状況を調査・測量し、その結果を登記に反映するという仕事をメインとしています。
不動産登記法
 民法177条では、不動産に関するいろいろな権利については、不動産登記法などの法律の定めるところに従って、その登記をしなければ第三者に対抗することができないと定められています。不動産は、登記をしておかなければ、その権利をきちんと主張できない場合があるということです。
 そして、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度を不動産登記法として定めています。
登記簿
 登記情報(登記簿)には、不動産を特定するための「表題部」の情報と、権利関係を示す「権利部」の情報があり、権利部の情報のうち甲区には所有権に関する情報が、乙区には利用権や担保権に関する情報が記録されています。
 主に、不動産の物理的現況を調査・測量し、各種図面の情報と共に、この表題部の情報の新設・変更・更正などを記録することを、表示に関する登記といいます。
 建物の場合は、新築・増築・取壊し・マンションのような区分建物の登記など、土地の場合は、分筆・合筆・地積更正・地目変更などの登記です。
 土地家屋調査士は、この不動産の表示に関する登記を担っています。
境界の確定
 土地に関する仕事の中でも、土地家屋調査士が最も知見を発揮し依頼者の負託に応えている業務が、お隣との土地の境界の確定です。土地を特定する資料には、登記所にある地図(地図に準ずる図面)や地積測量図がありますが、実際には、地積測量図が収められていなかったり、その資料だけでは土地の境界を現地で確認できない場合が多く見られます。その場合には、官公署や関係者の持っている図面・資料、現地を調査・測量した成果、関係者の証言等から境界を推認し、関係者の立会確認を得るという作業をしなければなりません。それぞれの土地には、個人の戸籍と同じように、現在の状況になった経緯がありますので、その経緯をたどって境界を見つけ出すということになるわけです。
 このことは、道路や水路との境界についても同様です。

 われわれ土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的として制定された、土地家屋調査士法に基づき存在する資格者です。依頼者からの依頼に対し、建築士の皆様とは、協力して業務を処理する場面が多くあると思いますので、あらためて土地家屋調査士をご理解いただき、今後も情報交換を密に互いに発展できますよう、よろしくお願いいたします。
國吉 正和(くによし・まさかず)
國吉土地家屋調査士事務所、東京土地家屋調査士会顧問
1954年東京生まれ/1977年 早稲田大学理工学部土木工学科卒業/1981年土地家屋調査士登録
記事カテゴリー:建築法規 / 行政