伝統的建造物群保存地区と現代アート巡り
文京支部
藤本 祥(東京都建築士事務所協会文京支部副支部長、環境装備株式会社)
ここはルーヴル美術館? 大塚国際美術館の展示作品。
うだつの町並みと文京支部旅行参加者。
祖谷のかずら橋。※渡る際には足元注意。
豊島。右の白いドーム状建物が豊島美術館の一部。
 平成29(2017)年10月6日(金)〜8日(日)の3日間、全国大会和歌山大会に便乗して文京支部研修旅行が行われました。初日は天気が今ひとつで、誰が雨男かと責任の所在を追求しながら一路新幹線で西へ。途中新大阪で全国大会参加組としばしのお別れをし、残りの者は新神戸〜淡路島〜鳴門海峡へと移動しました。遊覧船から渦潮を間近に見た後、徳島県鳴門市の「大塚国際美術館」(設計:坂倉建築研究所、1998年)に行きました。ここは大塚製薬グループが開設した美術館で、陶板で複製された数々の世界的名画が展示されており、作品を手で触ることや写真撮影も自由に行えます。かつては日本一床面積の大きい美術館だったということで全部見て回るのは一苦労でした。
 2日目は徳島城跡の石段をひたすら登って城主気分で徳島市街を一望した後、和歌山からフェリーで渡ってきた全国大会参加組と合流し、美馬市脇町南町重要伝統的建造物群保存地区の「うだつの町並み」を訪れました。この地はかつて吉野川の水運などにより藍産業が盛んな城下町で、防火や装飾を目的にやがては富の象徴として「うだつ」が付いた建物が並ぶようになりました。その後大歩危峡を横目に見ながら山奥へ進み、平家屋敷と祖谷のかずら橋へ。かずら橋は名の通り主材料がシラクチカズラのつり橋で日本三奇橋のひとつです(見解は分かれます)。足元が隙間だらけのため、よそ見をしていると踏み外しそうです。ここからさらに山奥へと進み、こちらも重要伝統的建造物群保存地区となっている落合集落に行きました。なぜこんなところにというような山の急斜面に家々が建っています。
 3日目は瀬戸内海の豊島島内を巡りました。周辺の島も含めてベネッセホールディングスと福武財団が行っているアート活動の一環で、付近の風景もアートに含んだ「豊島美術館」(設計:西沢立衛建築設計事務所、2010年)や空家となった民家を改装した美術館などが島内各所に点在しています。折しも連休中日ということもあり、島内のレンタサイクルが全部出払うほど島外からの観光客で賑わっていました。
 あっという間の3日間でしたが、次の支部旅行をどうしようかと話しながら岡山より新幹線で帰路につきました。
藤本 祥(ふじもと・ひろし)
東京都建築士事務所協会文京支部、環境装備株式会社
1972年千葉県生まれ/千葉工業大学建築学科卒業
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