

上:高崎市美術館の「旧井上房一郎邸」前で。
下:「鬼石多目的ホール」
下:「鬼石多目的ホール」
出発当日の朝は土砂降りの雨だったが、バスが高速に入り、最初の見学場所である群馬県高崎市の「高崎市美術館」に併設された「旧井上房一郎邸」に到着するころには雨も小止みになった。旧井上邸はかつて東京・麻布にあったアントニン・レーモンドの「笄町の自邸」(昭和26/1951年)を精密に再現した住宅(昭和27/1952年)である。レーモンド・スタイルを知ることができる建築として、平成22(2010)年から公開されている。案内役の館長はかつて高崎市の建築課にいらした方で、建築についての造詣も深く、マニアックな説明に一同から感嘆の声が上がった。
館長に感謝を述べ、宿泊場所である吾妻郡嬬恋村の「万座温泉日進舘」に早目の到着。万座温泉は硫黄濃度日本一であり、当館は大小9つの趣の異なった温泉が楽しめる。なかでも露天風呂はアワードでNo.1にもなっている名湯。温泉三昧と宴会を楽しんだ。
翌日は藤岡市にある妹島和世建築設計事務所の設計による「鬼石多目的ホール」を見学した。室内外を限りなく一体に繋ぐガラスの壁や、屋根ラインを揃えるため体育館の床レベルを掘り下げる着想など、前日の井上邸とはまた違った設計の力を感じさせる。
参加者は少なかったものの、共感したり反論したりの建築談義と、共に温泉に浸かった時間は、互いの距離感をいっそう縮めるものになった。

記事カテゴリー:歴史と文化 / 都市 / まちなみ / 保存