VOICE
『コア東京』2015年6月号編集後記
田口 吉則(東京都建築士事務所協会編集専門委員)
身の回りの家電製品が、ひとつ故障すると、ウイルスに感染したかのように続けて壊れることはないだろうか? たとえば私の場合、この冬に会社のエアコンが壊れたら、私を媒介して自宅のエアコンも感染し壊れた。「霊感が鋭い人は、気分が不安定だと何らかの電気を発生させて、所有する機械を壊してしまう」と聞いたことがあるが、いままで気分は悪いことがあっても、霊感など感じたことはない。まっ! 仕方がないと買い替えのため機種を調べると、どのメーカーも「フィルターお掃除ロボット付き」が主流だ。便利なことは良いことだが、ここはマーフィーの法則の「高価なものほどよく壊れる」に倣ってお掃除ロボットの付いていないいちばん安価な物を選定した。
故障といえば、パソコンの不具合は、“ええっ、ここで!”というタイミングで起きる。これもマーフィーの法則の 「失敗する可能性のあるものは、失敗する」だ。他にないか? 仕事上思いつくことを挙げてみた。
業務編
・パソコンやプリンタが故障する確率は、その作業中の仕事の重要度に比例する。
・パソコンで後に必要となったデータだけ、ゴミ箱にはない。
・コーヒーや朱肉は、重要な書類に付きやすい。
・探し物で、どうでもよい書類は良く目に付くが、肝心な書類は、なかなか見つからない。
・待ち合わせ時間に丁度と思って出かけると遅刻するが、余裕をもって出発すると時間を持て余す。
設計編
・じっくり練ったプランほど、施主との打合せで変更を求められる。
・ベストなプランは「念のため家相見て」で、大幅変更!
・設備設計者に仕事を依頼したら、意匠図の食い違いを指摘される。
・コンセントは、後でだいたい家具に隠れて使えない。
・設計時に十分検討したはずだが、現場にてどこかの梁が問題になる。
5月の夏日、愛車のエアコンをつけたら生ぬるい風が出てくるだけで、どうやら壊れたようだ。ひょっとして私には霊感があるのかな?
田口 吉則(たぐち・よしのり)
1953年東京生まれ/(株)チーム建築設計代表取締役/東京都建築士事務所協会編集専門委員
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