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栗田 幸一(株式会社栗田建築事務所、東京都建築士事務所協会台東支部支部長)
1年ぶりに日光へ行って来ました。毎年5月、日光の自然観察に行くようになってから、もう20年になるでしょうか。野鳥の会に入っている友人に誘われるままに戦場ヶ原を回ったり、日光が雨の時は尾瀬ヶ原を訪れたりしていました。
ルートは東京から高速道で宇都宮へ出て、小児科ドクターのYさんを乗せて「いろは坂」を上り、中禅寺湖畔のレストハウスで一服。その後プリンスホテル周囲を散策し、赤沼バス停で車から低公害(ハイブリッド)バスに乗り直し、千手ケ浜で下車。湖畔でキャンプバーナーを焚きながら昼食。食後のコーヒーをいただいた後、一路赤沼車庫目指して木道を歩きます。
最初に訪れたころは草は生い茂り、野鳥も多くいて、花も多数咲いていました。涼しい風と鳥のさえずりの中を歩くことは、毎日無機物の中で過ごしている私には別世界で、深呼吸したり、双眼鏡で鳥の頭や、胸、しっぽなど覗いて、リフレッシュでき、その週は楽しく仕事に励んだものでした。
5年前くらいから鹿が増えて木の下部の皮が鹿に食べられ、草もほとんどなくなってしまいました。草がなくなれば鳥は巣をつくれず(もちろん木の上につくる種もありますが)数が激減しました。毎年がっかりして帰ったものでした。
今年は少し状況がよくなりました。フクロウは見られませんでしたが、夕方食事時には数種の鳥のさえずりが聞こえました。キビタキが枝にとまる美しい姿を双眼鏡で見ることができました。
自然はバランスが壊れると、なかなか元に戻るのは難しいものですね。
栗田 幸一(くりた・こういち)
建築家、株式会社栗田建築事務所代表、(一社)東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長
京浅草生まれ/祖父、父と3代目/1970年 東海大学工学部建築学科卒業/1970〜74年 伊奈建築設計事務所/1975年 父の経営する株式会社栗田建築事務所入社し、現在に至る
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