
高千穂峡の真名井の滝と記念写真。
当日は、台風6号の接近で、羽田発に欠航の懸念があり、急遽、前日に出発時間を1時間前倒しし、6時台の便に変更できたおかげで、欠航を免れ、出発できた。宮崎空港に到着し、県北部の神話の里、高千穂に向かった。高速道路が繋がる前は、高千穂は半日以上かかる遠いイメージがあったが、空港から2時間程度で到着した。宮崎県の観光ポスターで見る、日本の滝百選にも選ばれている真名井の滝を見学して、天照大御神が隠れた天岩戸を御神体として祀る天岩戸神社を参拝。夜は、高千穂神社の夜神楽を鑑賞し、初日は宮崎県の文化を堪能した。
建築とまちづくりの視察──延岡市駅前複合施設 エンクロス
2日目はまず、乾久美子氏設計の延岡駅に併設する広場と建築の「延岡市駅前複合施設 エンクロス」を見学した。かつて百貨店がふたつあった賑わいを取り戻すべく、市民と専門家による協働による賑わいづくりにむけて数十回以上の市民参加のワークショップを開催し、民間を運営主体に2018年に完成。市役所の方とエンクロス職員の方からご説明をいただき、営業中の施設、管理室、機械室、バックヤードなど裏動線を含め、ご説明をいただき、視察した。年間を通して、100万人以上の来館者があり、メンテナンスにも気を配りながら、建物を大事に大切にされている姿勢を感じるとともに、市民と街に根差した駅併設の施設を実感した。
日向市細島
次に、細島に移動。細島は、日向市の入江の深い港町として、漁港と商業港の街で、江戸時代の前より交易の中継地として発展したそうである。街の中心地に児玉先生のご実家があり、ご親族様より大変に歓迎を受け、児玉先生の子どものころのお話しなど、お聞きした。大きな街の印象を受けましたが、児玉先生からは当時はもっと街に賑わいがあって、映画館が何軒もあり、学校にたくさんの児童が在籍していたなど、うかがった。ご親族様や故郷の話しをされる児玉先生が、とてもうれしそうに話す様子が印象に残った。

日向市駅構内。
日向市駅
その後、「日向市駅」に向かう。市役所の方によれば、日向市駅は、鉄道の高架化をきっかけに土地区画整理や駅周辺整備事業などが進められていく中で、行政、市民、鉄道事業者、学識経験者のメンバーによる「日向地区都市デザイン会議」が、共有したデザインコンセプトを持ちながら駅周辺整備を含めて協議し、地場の杉材を活かした市民協働による木造駅舎として20年前に開業したという。設計は、内藤廣氏設計。杉の集成材を湾曲させながら構造材として強くするための工夫の説明や、雨掛りになる小口部分は、木材を張り替えができる工夫など、ご説明をいただいた。見るだけではわからない、そして当時のデザイン会議のコンセプトを今も継承されている姿勢を強く感じ、協働を成しえている印象を受けた。参加者より、駅構内もぜひ見学した方がいいと助言を受け、特別に駅構内も見学をさせていただいた。鉄材と杉集成梁を合わせた屋根の架構形式は、構造と意匠の一体化のご説明の通りだと思った。
日向市役所
次に、市役所の方と共に、「日向市役所」に向かった。2019年竣工で駅と同じ内藤廣氏設計。地震・津波対応の防災拠点も兼ねた施設として、建物周囲にテラスを配置し、一部の外装や内装には、地場木材が使用されていることなど、テラスや議会棟など視察をしながら説明を受けた。テラスからは、街全体が見回せて、児玉先生が通っていた学校や寄り道をしたところなど、会話が弾んだ。

ザ・メイビア宮崎の宴会場。
ザ・メイビア宮崎(旧・ガーデンテラス宮崎)
市役所の方々のお見送りを受けて宮崎市にある、「ザ・メイビア宮崎(旧・ガーデンテラス宮崎)」へ。ラグジュアリーホテルで2012年竣工、隈研吾氏設計。披露宴会場をご案内いただいた際に、天井仕上げ材で写真ではわからなかった発見に一同、感嘆したり、客室もスイート、ツイン、和室など一部屋ずつ説明をしていただいた。また、チャペル、レストランも見学させていただき、チェックイン後の忙しい時間にもかかわらず、丁寧なご対応をいただき、好印象を持った。

雨の宮崎県立美術館。
(撮影:岩﨑 孝一)
(撮影:岩﨑 孝一)
宮崎県立美術館
2日目の最後に「宮崎県立美術館」へ。1995年竣工で岡田新一氏設計。美術館の職員の方から、建物概要の説明とともに、美術作品を外部から搬入する際の搬入口、荷解き室、虫などを確認する一次保管庫、美術作品を運ぶ専用のエレベータなど普段は入れない部屋に入室し、説明をうかがえる貴重な機会をいただいた。また、市民向けのアートギャラリー、製作スペースを利用できるアトリエスペースなど地域に根差した美術館でもあることなど、説明を受けた。ファサードの入口部分とその周辺の石割りのコンセプトは、高千穂の天照大御神が隠れた天岩戸をイメージしたと説明を受け、高千穂の視察研修と繋がった。閉館間近の時間に伺ったにも関わらず、管理部門まで視察ができ勉強になった。3日目は、宮崎観光定番の青島神社、鵜戸神宮、重要伝統的建造物群保存地区の飫肥のまちなみを見学し、帰路についた。
今回の視察研修は、各場所でご説明をいただくことを重視し、公共建築物や宿泊施設などの性格上、平日での2泊3日の視察となった。「平日にも関わらず、また台風による出発時間の度重なる変更でも快くご参加をいただきました5ブロック皆さまには、感謝しかありません」と企画責任者の白石支部長のご挨拶が印象に残った。ひとつひとつの見学先に説明とここを見たいと何回も先方と調整をしていただいた支部長のおかげで、まちづくりや建築ができる過程の部分や、建築の部分でも私たちが本当に見たい、知りたい部分の視察ができ、また、第5ブロックの皆さまとも懇親が深まり、良い時間を過ごせた、とても満足のできる研修であった。

藤井 達生(ふじい・たつお)
東京都建築士事務所協会江東支部副支部長、藤井建築設計事務所
1965年 東京生まれ/1988年 芝浦工業大学建築学科卒業/1988年 株式会社石川洋美建築計画研究室 入社/2021年 株式会社藤井建築設計事務所 設立、現在に至る
1965年 東京生まれ/1988年 芝浦工業大学建築学科卒業/1988年 株式会社石川洋美建築計画研究室 入社/2021年 株式会社藤井建築設計事務所 設立、現在に至る
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